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第2章 魔力消費計画
10話・魔力消費合戦
しおりを挟む「僕が標的になりますから、思いっきり魔法を使ってください」
「いやいやいや、無理だって!」
創吾の申し出に、諒真は慌てて首を横に振った。仲間に向かって攻撃するなんて有り得ない。
しかし、狙うべき的がなければ強力な魔法は撃てない。省エネ効率化により、自動で威力が調整されてしまうからだ。何もない空間に攻撃魔法を放っても、せいぜい威嚇になる程度の小規模爆発が関の山。魔力の大量消費には向かない。
「どうしてですか。せっかく来たのに、目的も果たさず帰るつもりですか」
「おまえに危害を加えるくらいなら帰る」
「……魔力を持て余したままですか?」
「そうだ」
その返答に、創吾は口の端を歪めて笑った。『魔法使い』から見れば『僧侶』は非戦闘員で、守るべき相手くらいに思われている。確かに『勇者』や『格闘家』に比べれば戦闘力は低いが、同じ勇者パーティーの一員だ。これでも修羅場は潜っている。仲間とは言え、舐められたままではいられない。
「僕だって戦えますよ。君たちから見れば弱いですけどね」
そう言いながら、創吾はありとあらゆる補助魔法を使って自身を強化した。身体強化、痛覚遮断、全属性耐性、基本ステータス全上昇。この時点で創吾の身体能力は限界まで引き上げられている。更に、幾つか防御盾を生み出す。これでほとんどの攻撃を撥ね返すことが可能だ。
「諒真くんから来ないのなら、こちらからいきます」
まずは自分に掛けたものとは真逆の基本ステータス全下降を掛け、諒真の身体能力を弱体化させる。
そして、魔法で生み出した盾同士をぶつけ、弾丸のように飛ばした。攻撃を撥ね返す性質を利用し、防御に使う盾を攻撃手段として用いたのだ。
魔王を倒す旅でも使ったことがある戦法だが、魔物の大群と乱戦状態だったため、諒真は見ていない。
「うわっ、そんな使い方ありかよ!」
本当に攻撃されるとは思っていなかった諒真は、慌てて手をかざして火弾を生成、物凄い勢いで飛んでくる盾を攻撃した……が、火弾はアッサリと弾き返されてしまう。
「げえっ!?なんで??」
「この盾は弱い魔法では壊せません。ホラ、早くしないと当たりますよ」
「マジか!」
盾は火弾によって軌道を逸らされ、勢いはなくなったが、まだ諒真目指して飛んでくる。すぐさま火弾より強力な炎弾を数十個生み出し、一度にぶつけた。今度は相殺され、魔法の盾は消滅した。
「ふぃ~……びっくりした」
「ほらほら、まだ魔力はたくさんあるでしょう。次行きますよ」
「わ、分かった!」
意表さえ突かれなければ、この程度の的なら容易に破壊できる。
互いの魔力が尽きるまで、ふたりは現実世界と隔絶された空間の中で魔法を使い続けた。
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