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第10章 強いられた運命
71話・魔法使いの頼み
しおりを挟む「元の世界じゃオレはごく普通の、どこにでもいる会社員なんだ」
「かいしゃいん?」
「えーと……雇われて仕事をこなして、給料貰ってる人ってこと」
「なるほど、理解しました」
異世界にも商会などの雇用の仕組みがある。雇い主から給金を貰って働く職人や人夫は珍しい存在ではない。リエロは何となくイメージを掴んで頷いた。
「もちろん元の世界じゃ魔法も使えない。こっちの世界に召喚されて初めて使ったんだよ」
「だから最初の旅では苦労なさっていたんですね」
「今までにない感覚だからな、魔力の操作に慣れるまでは大変だったよ」
召喚され、能力と役目を与えられ、魔王を倒す旅に出た。案内役の聖騎士団の遠征部隊と共に旅をしていくうちに魔力の使い方に慣れていった。
「由宇斗たちとも召喚されるまで知り合いですらなかったんだぜ?」
「そうなんですか。皆さま仲がよろしいので、てっきりあちらでもお知り合いだと思っておりました」
「住んでる地域も離れてるし、一度も会ったことがない赤の他人だったんだ。それが今や命を預けられるくらいの仲間になってさ。不思議だよなぁ」
それは諒真の人柄のおかげだろうとリエロは思った。
旅が始まる前から何かと周りに気を配り、他の三人にも積極的に声を掛けていた。緊張を解し、こちらの世界の人との仲を取り持つように立ち回っていた。
「リエロの家は聖都にあるのか?」
「いえ、僕はもっと田舎の出身で。隊長のご実家の男爵家領内にある小さな村です」
「ハルクの?じゃあ昔から顔見知りだったんだな」
「僕が一方的に追い掛けていただけですけどね。その縁で同じ部隊に配属していただけました」
だからこそ、リエロはハルクの役に立とうとしたのだろう。
「あと、ラミエナさんも同じ男爵領出身なんですよ。前回も今回も一緒に任務に参加出来て心強かったです」
「へぇ、そうだったんだな」
案外、ハルクは自分の隊に身内を集めているのかもしれないと諒真は思った。
聖騎士団の上層部は何を企んでいるか分からない。周りを信頼出来る仲間で固めていないと不安だったのかもしれない。
「そういえば、ラミエナさんが今日の昼間にソウゴ様と約束していたのに部屋に入れてもらえなかったと言ってました」
「創吾が調べ物を頼んでたんだよ。そういや追加で報告が来るかもって昨日の夜言ってた」
リエロが来る前、諒真が訪ねた時も扉を開けてくれなかった。中に居るのは間違いないのに、余程会いたくないのか、それとも表に出られない理由があるのか。
「……リエロ、ラミエナと話がしたい。彼女が調べていたことを知りたいんだ」
「わかりました。明日連れて参ります」
諒真の頼みに、リエロは快く頷いた。
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