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第13章 大聖堂の真実
92話・情報共有
しおりを挟む「創吾ぉ~!元に戻ったんだな!」
「諒真くん痛い痛い痛い!!」
諒真が抱き付くと、創吾が痛みでまた悲鳴をあげた。すぐに痛覚遮断と治癒魔法を掛ける。流れ出た血は戻らないが、怪我と服の穴が綺麗に修復されていく。それを見て、諒真は泣き笑いの表情で大きく息をついた。
「はぁ、良かったぁ……」
「すみません。心配掛けちゃいましたね」
「おまえならワザと引っ掛かってくれると思ってたよ」
「あっちの僕は短絡的でしたからね。多少違和感あっても目先の欲には勝てません」
悪しき心はまだ切り離されておらず、故に創吾の意識も残っている。諒真は彼を信じて賭けに出た。
迂闊に教皇に触れたのも、創吾の本心が元に戻ることを望んだから。完全におかしくなる前の今でなければ、こうも上手くことは運ばなかっただろう。
「とりあえず、これからどうしましょうか」
「それは今から考える」
頼りになる仲間が戻った。
諒真はそれだけで何でも出来るような気がした。
「大司教ルノーは不死身……?それってゾンビとかじゃないんですよね?アンデッド系モンスターは太陽の光や回復魔法でダメージ喰らうとかいうの、アレってゲームの中だけでしょうか」
「意外だな、おまえゲームとかすんの?」
「小さい頃からやってましたよ、勉強の息抜きに」
「ふうん」
お互いに持っている情報を出し合い、知恵を絞る。
情報収集の途中でおかしくなった創吾はラミエナからの調査報告を聞いていない。それも掻い摘んで伝えておく。
「教皇と魔王についてはルノーから聞いていたんですが、今の教皇が先代『魔法使い』だったとは……」
「オレも驚いたよ。でも、教皇サマの顔を見ればすぐ分かるもんな」
魔王と対峙した時のことはよく覚えている。
黒髪、褐色、金の瞳。禍々しい空気を身にまとった恐ろしく強い存在だった。教皇は同じ外見をしているが、闘争心のカケラもない穏やかな雰囲気の青年である。実年齢は軽く百を超えているが、見た目だけならば諒真たちとあまり変わりはない。
「そういえば諒真くん、人に向けて攻撃魔法撃てるようになりましたね」
「ああ、教皇サマのおかげで」
「さっき僕を正気に戻したのも?」
「そうだ。なんでかは分からないけど、触れるだけでそうなるみたいで」
枕元で話し込むふたりに、教皇が声を掛ける。
「おまえたちの身体の中にはわたしの、いや、正しくは『分かたれたわたしの半身』の一部が入り込んでいた」
分かたれた半身とは魔王のことだ。
「教皇と魔王は元はひとりの人間。触れれば引き合う。おまえたちの中にあった魔王の一部はわたしの中に戻った。だから悪い影響が消えたのだ」
そう言う教皇の顔色は先ほどより少しマシになっている。僅かながら自分の一部を取り返したことで、活力が湧いたのかもしれない。
「でも、やっぱり召喚魔法を使ってもらうのは無理そうですね」
創吾の言う通り、教皇は少し元気を取り戻したが、次元を超えるような大きな魔法を使えるほどの魔力はない。身体の中に魔力を留めておけないのだ。
「……いや、それとは別になにか……」
何かに気付いた創吾は目を凝らし、教皇の魔力の流れを観察した。
じわじわと滲み出る魔力が身体から離れ、下に落ちては消えてゆく。まるで少しずつ地面に染み込んでいく水のように、ゆっくりと、確実に減っていく。
「──なるほど。教皇が大聖堂から離れられない理由が分かったかもしれません」
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