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消えたクラスメイト
第19話:お見通し
しおりを挟むその後、意識のない叶恵ちゃんの身体に小凍羅さんが一時的に取り憑いて山を降りた。
七つの光は全員人間の身体に取り憑くことが出来るらしいんだけど、相性があるから誰でもいいわけじゃないんだって。
『いてて。あちこち傷だらけだよ~!』
叶恵ちゃんは学校帰りに直接縁結びの祠に来たらしく、セーラー服姿のまま。そんな格好で荒れた山道を登ったから、手や膝に擦り傷がいっぱいあった。それに、さっき蔦に縛られたり地面の亀裂に挟まれたりしたせいで傷が増えてる。
歩きながら小凍羅さんが泣き言を漏らすのも無理はない。
『あの場に捨て置けば良いものを……』
「それだけはダメ!」
前を飛ぶ青色の光、御水振さんは不満そうだ。あたしに危害を加えようとした叶恵ちゃんのことを許せないんだろう。あたしもまだ複雑な気持ちだけど、だからって見捨てるなんて出来ない。
「叶恵ちゃん、今日のこと覚えてるかなあ」
『禍ツ神に憑かれている間の記憶は無いだろう。だが、その前……祠に辿り着くまでのことは覚えているはずだ』
「……そっかぁ」
あたしの排除を願うため、わざわざこんな山の中に来たんだよね。憎まれたままっていうのは嫌だな。
そう思っているのが伝わったのか、御水振さんがすす、とあたしの側に寄り添った。
『記憶はなくとも何かは残る。其方がこの者を助けようとした気持ちは無駄にならぬ』
「……御水振さん……」
『しかし、もしまた其方に害をなす場合は容赦はせぬ。見逃すのは今回だけだ』
「う、うん」
次はないと宣言されてしまった。
でも、たぶん大丈夫だと思う。
根拠なんかないけど、きっと。
麓まで降りてフェンスを乗り越える。周りに家はないけど、道路と街灯がある場所だ。耳を澄ませば、遠くの方からザワザワしている声が聞こえる。叶恵ちゃんを探している人たちだ。
『こちらに向かってくるようだ』
「じゃあ、ここなら見つけてもらえるね」
小凍羅さんに目配せする。紫色の光が飛び出すと同時に、叶恵ちゃんの身体は糸が切れたようにがくりとその場に倒れ込んだ。
うん、行き倒れたようにしか見えない。
木陰に隠れ、捜索隊の人が叶恵ちゃんを保護するのを見届けてから、あたしは家に帰った。
お父さんとお母さんは叶恵ちゃん捜索に加わっていたようで留守だった。
手洗いうがいを済ませてからお兄ちゃんの部屋に報告に行くと、まだ何も言ってないうちから怒られた。
あたしが無事に帰ってくるまで気が休まらなかったのだろう。すごく疲れた顔をしている。
「危ないことをするなって言っただろ!」
「な、なんにもしてないよぉ……」
「隠しても無駄。僕は全部お見通しだからね」
「えええ???」
なんで?
あたしが洗面所に寄ってる間に誰か告げ口した?
疑惑の目を向けると、御水振さんと小凍羅さんは『我らは何も言ってはおらぬぞ』『ねぇ?』と弁解した。
じゃあ何でバレてるのよ!!
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