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田舎町の謎
第27話:忠告
しおりを挟むまた玲司さんが遊びに来た。
連休中ずっとウチに来るつもりなのかもしれない。普段は会えないぶん、お兄ちゃんと交流したいんだろうな。
「来といてなんだけど、ゴールデンウィークなのに旅行とか行かないの?」
「うちはお父さんが曜日関係なくお仕事だから」
「そっかー」
それもあるけど、お兄ちゃんが身体が弱くて遠出できないから近場以外に出掛けたことはない。玲司さんもそれが分かっているようで、それ以上聞いてくることはなかった。
「ねーねー聞いてよ夕月ちゃん! 昨日なんだけど、こいつ俺が来てるのに無視して寝てんだぜ?」
「おまえの話聞いてると眠くなるんだよ」
「朝陽! それがたまにしか会えない親友に言うセリフかよ!」
「あーうるさいうるさい」
こんな調子で、二人はとても楽しそう。
どこに行くかなんて関係ない。
誰と過ごすか、だよね。
「そういや祠の移設先が決まったんだって」
「そうなんですか」
「そのうち工事が始まると思うよ」
良かった。
縁結びの祠の神様も喜ぶかな。
「じーちゃんと地主さんとの話し合いも今日で終わるし、俺も明日には寮に戻んなきゃなんないし、しばらく来れないな」
いつになく切なげな微笑みを浮かべ、玲司さんがそう呟いた。
おじいさんのこの町での用事が終われば玲司さんも来られなくなる。お兄ちゃんも寂しいかな、と思ったけど……
「おまえ、大学に友だちいないのか……?」
「失礼な! いるよ友だちくらい!!」
心底気の毒そうな顔でお兄ちゃんが尋ねると玲司さんはすぐに否定した。いや、連休の半分以上をウチで過ごしてたじゃん。
「じゃあ毎日長文メール送ってくるのやめろ」
「電話しても出てくんないからだろ!」
「高校卒業してからまだ二ヶ月も経ってないし、そもそも話すことがないんだよ!」
「朝陽になくても俺はあんの!」
今更だけど、玲司さんて変な人かも。
二階に戻ると、早速七つの光が姿を現した。
『またあの男と会っていたな』
「玲司さん?」
『違う。裏の家に越してきた男のほうだ』
「たまたま神社で会っただけだよ」
八十神くんのことだった。
姿は消してたけど、ずっと一緒にいたなら知ってるよね。
『あのさぁ、お嬢ちゃんは気付いてないみたいだけど、アイツに触られた後ボクたちと話せるよーになったんだよ』
……そうだっけ?
小凍羅さんの言葉に首を傾げると、他の光が頷くように上下に揺れた。
あんまり記憶にないけど、一番最近の、螺圡我さんの声が聞こえるようになった日だけは覚えてる。あの日は確か、八十神くんちにお礼を言いに行って、帰りに異変に気が付いた。
『あの男が其方に触れた瞬間、毎回側から弾かれてしまう。しかし、その度に我らのうちの誰かの声が其方に聞こえるようになるのだ』
「なんで?」
『わからぬ』
御水振さんに分からないんじゃ、あたしに分かるわけないか。
「でもそれ、悪いことじゃないよね? みんなと話せるようになるなら、もっと触ってもらったら──」
他の四つの光の声はまだ聞こえない。
この前色々助けてもらったし、話せるなら直接お礼も言いたいし、どんな人(人?)なのかも気になるし。
でも……
『ダメだ。あの男には近付くんじゃねえ!』
螺圡我さんからキツく言い含められてしまった。
御水振さんも小凍羅さんも同じ意見みたい。
なんでそんなに八十神くんを警戒するの???
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