引きこもり令嬢エスリーンの逆襲 婚約破棄・追放からの逆転人生の答えは魔導書にあった!

らんた

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第一章

第一話

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 翌日四人はいつもの閉架図書にやって来た。

 「本物の授業の開始だ」

 エリックが宣言する。

 「実はこの魔法の披露は半分に過ぎないんだよな」

 「はい」

 エスリーンはブレードを二個用意した。

 「どうなるってんだ?」

 ザックがいぶかしむ。

 「見てさないって!」

 エスリーンはランタンのガラスを外す。そして発電用モーターのブレードにランタンの火を当てた。ブレードは逆方向に回る。すると……。

 「すごい」

 なんともう一つのブレードが回ることで軸も回る。マリアンヌが驚く。

 「これが『モーター』よ」

 「えっ? これの何が凄いの?」

 ザックは全く意味が分からない。

 「こんなの俺の魔法剣でどうにでもなる」

 「だから、この本は見捨てられたんだ」

 エリックはザックを諭した。

 「この程度ならば自分の魔法でどうにかなる。だからこそ『カドラの小さな鍵』は見捨てられ、ここの閉架図書に埋もれてる。でもこの発電システムを水車に応用したら?」

 「あっ……」

 ザックはようやく理解した。

 「水力発電になる」

 ――だけどよぅ?

 「でもそんなの上位雷魔法でどうにでもなるじゃないか!」

 ザックはなおも食い下がる。

 「その通り。でも落ちこぼれや魔法を使わない人が救われる。で……これからが見せ場なの」

 エスリーンは小さな車輪にモーターの軸を付ける。

 (まだ、これおもちゃレベルなんだけどね)

 すると車輪が勝手に動き出す。

 「つまり、『モーター』を使えば『MP』を消費せずとも物が楽に運べるって事……」

 「えっ!?それって凄くね!」

 ザックはようやく真の意味を理解した。

 「そう、これを巨大化すれば、物流革命を起こせる」

 エスリーンは元の世界に居た日本の山手線を思い出した。元居た世界はなんて便利な世界なんだろう。

 「そこまでよ!」

 閉架図書エリアの明かりが次々に点く。この世界は魔法石で点灯・消灯するに出来てる。だから電球一個も碌に作れなかったのだ。

 学院騎士団と聖女エリー様だ。

 「ここは火気厳禁なの」

 笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる。

 「貴方たち、面白いおもちゃ作ったのね」

 「俺たちは何も悪いことしてねえぜ」

 ザックは意味が分かって無かった。

 「そうかしら? 火の扱い方を誤ったら貴重書をすべて失うわ」

 騎士団が四人を囲む。

 「この四人を地下牢に入れなさい」

 「はっ!」

 「やめろ!」

 ザックの抵抗も空しく四人は地下牢に入れられてしまった。
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