引きこもり令嬢エスリーンの逆襲 婚約破棄・追放からの逆転人生の答えは魔導書にあった!

らんた

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第二章

第四話

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土曜日。それはヒキコモリ令嬢にとって至福の日である。なんせ一日中引きこもっていいのだ。何もしなくてよい。ゆえに前日から二日分の食料を買いだめる。ドアのノック音がしてもおかまいなし。

(あー、幸せ……)

エスリーンはこの嵐の日々が嘘のように感じていた。

◆◇◆◇

一方のザック。

あの屈辱から立ち直るべく必死に鍛錬をこなしていた。そして剣の対抗戦も行われた。見事に優勝したが顔はさえない。なにせ、ぱっと出の女に、負けたのだ。

(なぜだ!!)

心の曇りは晴れない。そんな時ふっと教会の横を通り過ぎた。聖歌が流れてくる。ふっと覗くとエリックと青獅子級の生徒全員だった。声はまだバラバラだったが声が澄んでいた。

(エリックすげえな)

歌が終わったのかエリックらが自分に向かってくる。

「おう、ザックじゃん」

エリックの顔はさわやかだった。

「ちょうどこいつらの授業が終わったんだ。ちょっと付き合えよ」

「付き合うってどこだよ?」

「食堂さ。そこで水道建設について話し合おうって思ってね」

(水道……)

「君の領地にもプラスになる。しかも衛生状態もよくなるってもんだ」

食堂では異様な盛り上がりだった。電気をどこに使おうか。水力発電はどうしよう。三圃制を辞めて劇的に農業生産があがるぞ。鉄道と駅を自分の領土にと話が尽きない。

(羨ましい。クラスが違うだけでこうも違うのか!)

「それじゃ、俺はお昼寝タイムなんで」

エリックが去っていく。

替わりになんと我らが盟主様と金鉾組らが来たではないか。

「おもしれー会話してるな。俺たちも入れてくれよ」

そしてなんとヴァースキとアドルフが隣同士の席に座った。

「ちょうど俺たちは温室の建設を考えていたんだぜ。ゴム園のこともあるしな」

事実上の王と隣国の王子。すごい組み合わせだ。

「水道についてもっと話聞かせてくれねえか」

ザックは自分の領土にも水道を引くことを真剣に考え、やっぱここに来たことが正解だと考えた。

「そうそう、あのお嬢ちゃんだけどよ、早く忘れちまいな」

(そう、だよな)

「この学校も含めて世の中劇的に変わるぜ。俺たち二人でこの案を校長に上奏しようか」

「それはいい案だ」

「なあ、ところで一年なんてあっという間だよな」

アドルフがふっと重要なことを言う。

「そうだな」

上を見上げるヴァースキ。

「出来れば同窓会をやりたいな……。まあ、食堂でだが」

ヴァースキの言葉を聞くと全員うなだれた。いくら貴族向けの学食とはいえ、所詮学食だからだ。

「ところで双鷲級の連中は何やってるんだ?積極的にこちらにかかわってこないんだが」

「さあ……」
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