22 / 59
第二章
第十話
しおりを挟む
「発電所の増設は各諸侯に頼んだ」
面頬を外すとヴァースキだった。
「じゃ、今度は社会設計といくかね」
「ええ……」
「いいか、エスリーン。人間ってのは魔導や技術の上に立ってるんじゃない。人間あっての魔導だ」
「もちろんです」
「では、公的保険、職業訓練、学校建設及び職業訓練校の増設となるわけだが俺からも提案がある」
皆ヴァースキを見つめた。
「成文憲法を作り、そこに信教の自由を記述する」
(――!!)
「ええっ!?」
エリックが驚愕する。
「そもそも俺はな、ウラドの壁の向こう側から来た。壁の向こう側には様々な宗教があって神もいる。神様っていろんな神が居たっていいじゃねえか」
「聖女様が聞いたら、粛清されますよ!?」
マリアンヌが悲鳴に近い声を上げる。
「宗派同士の争いで孤独を荒廃させて国を滅亡させる気か?」
「おもしれえ、それこそ連盟諸国ってもんよ」
「ザック!!」
マリアンヌが怒る。
「マリアンヌ。時代は変わったんだ。理解してほしい。文明が変わるって事は常識も変わるって事だ」
ヴァースキが手を広げる。
「ウラドの壁の向こう側には東洋文明の大国もある。極東には黄金の国があるという。鉄道で交易出来ねえかな」
(それは、日本と中国の事だ!!)
「俺は狂信ってのが大嫌いだ。だからと言って神様とか聖的なものまで否定しねえぜ」
エリックはうなずく。
「確かにそうです。西方教会の教えだと魔導や真理の教えを教皇命令でねじ伏せられる可能性大です」
「最高神である竜神ザルティス様も喜ぶと思うぜ」
エスリーンは何も驚かない。彼の言ってることはむしろ近代社会において当たり前のことだ。
「次に民法の制定、そして農奴解放と人権の制定だな」
「賛成です」
エスリーンは即答する。
「だろ?」
「我々こそが文明のみならず文化においても最先端であると」
「そうだ。それを全世界に宣言する」
ザックもうなずく。
「それに、あの聖女様。何か隠してると思うんでね」
五人は教室の後ろに闇が潜んでいることに気が付かなかった。その闇がふっと消えた。
面頬を外すとヴァースキだった。
「じゃ、今度は社会設計といくかね」
「ええ……」
「いいか、エスリーン。人間ってのは魔導や技術の上に立ってるんじゃない。人間あっての魔導だ」
「もちろんです」
「では、公的保険、職業訓練、学校建設及び職業訓練校の増設となるわけだが俺からも提案がある」
皆ヴァースキを見つめた。
「成文憲法を作り、そこに信教の自由を記述する」
(――!!)
「ええっ!?」
エリックが驚愕する。
「そもそも俺はな、ウラドの壁の向こう側から来た。壁の向こう側には様々な宗教があって神もいる。神様っていろんな神が居たっていいじゃねえか」
「聖女様が聞いたら、粛清されますよ!?」
マリアンヌが悲鳴に近い声を上げる。
「宗派同士の争いで孤独を荒廃させて国を滅亡させる気か?」
「おもしれえ、それこそ連盟諸国ってもんよ」
「ザック!!」
マリアンヌが怒る。
「マリアンヌ。時代は変わったんだ。理解してほしい。文明が変わるって事は常識も変わるって事だ」
ヴァースキが手を広げる。
「ウラドの壁の向こう側には東洋文明の大国もある。極東には黄金の国があるという。鉄道で交易出来ねえかな」
(それは、日本と中国の事だ!!)
「俺は狂信ってのが大嫌いだ。だからと言って神様とか聖的なものまで否定しねえぜ」
エリックはうなずく。
「確かにそうです。西方教会の教えだと魔導や真理の教えを教皇命令でねじ伏せられる可能性大です」
「最高神である竜神ザルティス様も喜ぶと思うぜ」
エスリーンは何も驚かない。彼の言ってることはむしろ近代社会において当たり前のことだ。
「次に民法の制定、そして農奴解放と人権の制定だな」
「賛成です」
エスリーンは即答する。
「だろ?」
「我々こそが文明のみならず文化においても最先端であると」
「そうだ。それを全世界に宣言する」
ザックもうなずく。
「それに、あの聖女様。何か隠してると思うんでね」
五人は教室の後ろに闇が潜んでいることに気が付かなかった。その闇がふっと消えた。
0
あなたにおすすめの小説
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
うちの大公妃は肥満専攻です!
ariya
恋愛
ルドヴィカは一度目の人生を虚しく終える時に神に願った。
神様、私を憐れむならどうか次の生は大事な方を守れるだけの知識と力を与えてください。
そして彼女は二度目の人生を現代日本で過ごす。
内科医として充実な人生を送っていたが、不慮の事故によりあえなく命を落とす。
そして目覚めた時は一度目の生の起点となった婚約破棄の場であった。
------------------------------------
※突然イメージ画像が挿絵で出ることがあります。
※ストーリー内に出しているのはなんちゃって医学です。軽く調べて、脚色を加えているので現実と異なります。調べたい方、気になる方は該当学会HPなどで調べることをおすすめします。
※※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる