ペンギンのかまぼこロード

ゆきみ教授

文字の大きさ
1 / 3

1話『ペンギンに出会った日』

しおりを挟む
ピピピ、ピピピ

 目覚まし時計の音は毎朝私を絶望させる。

 鳴って欲しくなくても鳴ってしまう。

 希望にあふれていた高校生活が始まり早1年、友達も作らず平凡な日常を過ごしていたら2年生になっていた。

 アニメや漫画で観たような青春なんて現実じゃ起きることはない。そんなことは分かっていた。
 
 
 私の家は曾祖父から続く、かまぼこ屋で父はその3代目だ。

 母は私が小さい頃に病気で亡くなったと聞いている。私は覚えていないがどうやら母はペンギンについて研究をする仕事をしていたらしい。

 
 「行ってきます」

 「いってらっしゃい。車には気を付けるんだよ」

 「うん...」

 父は私の性格を理解してくれているが、今のままではダメだと分かっている。
 
 学校は電車と徒歩で30分ぐらいのところにあり、基本1人で登校している。

 席に着いたら予鈴が鳴るまで本を読むか寝たフリで時間を潰すのが日課だ。

 そう、去年までは...。

 「茅野さん。おっはよう!」

 「ビクッ! 」

 いきなり声をかけられたことによる驚きと緊張で声が出なかったがなんとか軽い会釈はすることができた。

 彼女は同じクラスの七瀬姫奈さん、明るく元気でクラスの中心的人物と、私とは正反対みたいな人だ。

 「今の挨拶、流石に暗すぎたかな。あぁ...人と話すと、いつも後悔しているなぁ。」

 考えても変わらないのに頭の中に残ってしまう。

 放課後、私は自宅から少し離れたところの砂浜に向かった。
 
 海に沈む夕日を見ると少し心が落ち着く事できるから落ち込んだ時はいつもこの場所に来ている。
 
 私、このまま何もなく高校生活が終わっちゃうのかなぁ

 そんなことを考えていると夕日が沈み辺りはすっかり暗くなっていた。

 砂浜に置いたバックを持ち上げ家に帰ろうとしたその時...

「ピ――」

 「!?」

 微かだけど何か声のようなものが聞こえた気がする。

 声のする方向に向かうと砂に埋もれた何かが動いている。

 慎重に砂をかき分けると何か黒っぽいものが見えてきた。

 それはペンギンだった
 
 「ペ...ペンギン?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...