【1部完・2部準備中】人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ

文字の大きさ
78 / 98

第78話 みんなスゴイ!なんかスゴイ!

しおりを挟む
「今日はぁ、なんの絵本かりよーっかなぁぁぁ」

通いなれた道も、朝だとなんかちょっと違う雰囲気。

「……?」

んん? んんんん? 向こうで誰かなにかしてるっ!
そ、そのまま黙ってすっと行くのは気まずいしぃ、ここはやっぱり――

「こ、こんにちわぁ……」
「……ッ! あ、こ、こんにちは」

しまった。なんか、めっちゃビックリさせてしまった。
でも、この人ここでなにを――

って、もしかしてっ!

「それ、もっているのはゆかをみがくやつ?」
「え、あ……はい。私は、この廊下の掃除をしておりまして……」
「えっ! そうじっ!?」
「え? あ、はい。あの、なにか……」

「じゃあじゃあ、この廊下をテカテカにしてるのは、もしかして、あなた!?」
「あ、ええ……はい。そのようにするのが仕事ですので……」

「すごいっ! え、こんなにテカテカにするの? えっ! どこからどこまで?」
「え? あの……」

「ここから、ここくらいまで?」
ぼくの20歩分くらい? それなら、1日でなんとかなるかなぁ?

「いえ、あの――」
「あ、そうよね。そんなにたくさんはムリよね。じゃあ、このへんくらい?」
ぼくの10歩分くらいかな? それなら、無理なくいけそうな気がする。

「いえいえ、向こうの突き当りから、反対の曲がり角までです」
「ええっ!!」
ぼ、ぼくの100歩分はある……。うそでしょ、そんなにたくさん、1日でどうやって!?

あ――

「も、もしかしてですけど……」
「はい?」
ヒミツかもしれないから、ちょっと声を小さくする。

「ナイショのとくべつなワザとか、ありますか?」
「いえ、そんななにも。ちょっとしたコツくらいはありますが……」

「わ! やっぱりあるんだ! とくべつなワザ!」
「そんな、大層なものじゃ……」

「でもでも、あーっちから、むこーうまで、みーんなテカテカにするんでしょ?」
「それは……はい」

「じゃあやっぱり、それは、とくべつなやつだよーすごい!」
「え……」

「さ、サファさま。そろそろ参りましょうか」
「あ、うん」
そうだった。図書館に行く途中だった。

「お仕事なのに、ジャマしてごめんね?」
「いえいえ、そんな、とんでもございません」

「じゃあ、がんばってね!」
「は、はい。お気をつけて」

***

テカテカになるまできれいにお掃除された廊下を、いつもよりちょっとだけ気をつけて歩く。
それだけで、なんかいつもと違うところを歩いてみるみたいで、少し不思議でほんのり新鮮。

「ん? あれれ? なんかぁ、あそこの部屋、とびらあいてるね?」
「そうですね。いつもは閉まってますが、なにかしてるんでしょうか」
「ねーー」

人がいたら静かにしないとって思いながら、通りすがりにチラッと見ちゃう。
わ、誰かいる!

おーっきな机に、たぁぁぁくさんの本の山と紙の束。袋と封筒と箱と、なんかいろいろが、ドワーーって広げてある。

なんかめっちゃ大変そうなお片付けしてる? それとも探し物?
ざざざっと慣れた手つきで並べかえたり、たたんだり、しまったりしてる人が2人。

「わ、わ……なにしてるんだろぉぉ?」

お片付けさんたちのバババって動いてた手が、ピタっと止まった。

あああ、しまったぁぁ。口に出ちゃってた!

「おはようございます。資料の整理をしてるんですよ」

シャキッとした声の人が、鋭い目つきをちょっとやわっとして教えてくれた。
もう1人は、背中をちょっと丸くしたまま、そうですよ、ってうなずいてくれる。

「え、これ……これぜんぶ、お片付けするんですか?」
「はい。ここに広げてるので、まだ半分の半分くらいですが」

「えっ、えぇっっ!? このドワーーってなってるやつ、あと倍の倍もあるんですかっ!?!」
「おや、計算がお上手ですね。そうですよ、今から2人でザーッとやってしまいますからね」

「すっっごい……こんな、こんな紙と箱と袋の山が、あと3つ分もあるのに……」
じっくりとおっっきな机の上を見渡して、だんだん心配になる。

「あの、2人で大丈夫ですか……? ぼく、お手伝いできたらいいんだけどぉ……あんまり、自信なくて」
「あはは、ありがとうございます。大丈夫ですよ。もしまた通りかかられたときに、もうダメだってなってたら、手伝ってください」
「はい! わかりましたっ!」

ほんとにだいじょうぶなのかな? あんなにたくさんなのに。

「サファさま。さ、参りましょう?」
「うん」
心配だけど、侍女さんに肩をトントンされたら、もう行かないとだ。

「じゃあ、またあとでぇ!」
「はい。いってらっしゃい」
シャキッとさんがバイバイしてくれて、背中丸いさんは、ニコッとお辞儀してくれる。

なんか……なんか、ここのお仕事の人、みんな子どもに親切?
みーんなお仕事忙しそうなのに、通りすがりの子どもにまで優しいとか、すごいなぁ。

ぼくもぉ、おっきくなったらちゃーんとしっかりお仕事とかできるようになるのかなぁ?
薬草探しのお仕事とか……でも、書類整理でも、床磨きでも、いいな。

あんなスゴ技を身に着けたら、なんだか楽しそぉぉ。

そぉゆうお仕事なら、街中のどこにでもありそぉぉだし。
特別な資格とか身分証明とか、いらないお仕事も、あるかも!


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件

やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

姉の忘れ形見を育てたいだけなのに、公爵閣下の執着が重いんですが!?~まっすぐ突き進み系令嬢の公爵家再建計画

及川えり
ファンタジー
突然届いた双子の姉からの手紙。 【これをあなたが読んでいるころにはわたしはもう死んでいることでしょう。わたしのことは探さないでね。双子を引き取ってもらえないかしら?】 姉の遺言通り双子を育てようと姉の嫁ぎ先へと突入する。 双子を顧みなかったという元夫のウィルバート公爵に何とか双子を引き取れるよう掛け合うが、話の流れからそのまま公爵家に滞在して双子を育てる羽目に。 だが、この公爵家、何かおかしい? 異常に気付いたハンナは公爵家に巣くう膿をとりのぞくべく、奮闘しはじめる。 一方ハンナを最初は適当にあしらっていたウィルバートだったが、ハンナの魅力に気付き始め……。 ハンナ・キャロライン・バーディナ 22歳      バーディナ伯爵家令嬢         ✖️ ウィルバート・アドルファス・キングスフォード 26歳      キングスフォード公爵 ブックマーク登録、いいね❤️、エール📣たくさんいただきありがとうございます。 とても励みになります。 感想もいただけたら嬉しいです。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

追放先で気づいた。この世界の精霊使いは全員、聞き方を間違えている~最安もふもふ白狐と始めた、問いかけの冒険~

Lihito
ファンタジー
精霊と暮らす世界で、ノエルはギルドを追い出された。処理ミスは誰より少ない。でも「やりづらい」の一言で、理由には足りた。 手元に残ったのは、最安で契約した手のひらサイズの白い子狐だけ。言葉はたどたどしいし、力もない。誰が見ても「使えない」と笑う精霊だ。 たどり着いた町では疫病が広がっていた。高額な精霊が三度探して見つからない薬草。ノエルは最弱の白狐と半日で見つけ出す。 力で勝ったんじゃない。聞く範囲を絞り、段階を分け、小さな鼻に合った問いを重ねただけ。 ——なぜこの世界では、誰も精霊への「聞き方」を知らないのか。 その違和感が、ノエルの旅を動かしていく。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

処理中です...