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ホイッスルの音が響き、二セット目が終了した。
校内球技大会のバスケである。
四セットフルでの対戦ではなく、二セット目でハーフタイムの後三セット目で終わるようスリム化された独自ルールで行われる。
ハーフタイムは五分と短いが、コート横で軽く打合せをするだけなので、そんなもんだろう。
「あ。響、気付いたな」恵那が言い、目が合った響に、
「おーい、頑張ってー」涼が手を振った。
響に促され、土岐の目も涼を捉えた。
「あ……」
「二人共、頑張って!」
涼の声に、しっかりサムアップして答えた二人は、ドリンクを飲むとミーティングの輪に戻った。
午前中の試合はこれが最後である。
各学年の代表が決まり、午後からは三学年総当たりでの決勝戦となる。
「すごいね。一年代表、土岐たちのチームに決まりそうじゃん」
涼が興奮して、言う。
二セット目が終わった時点で、既にダブルスコア状態で土岐たちのクラスが勝っている。
「あのクラス、ガチ中のガチ。何の因果かバスケ部四人が固まってるからな。おまけにバレー部四人。後二人は陸上部だし、体力のバケモンばっかじゃねーか」
恵那が腕組みして「ずりーわ」なんてぐちっている。
最低でも学年代表! と息巻いていた恵那たちだったが、初戦即敗退の涼たちの試合後、卓球部で固まったA組の一軍にぶち当たり、綺麗に完敗していた。
二人は第二体育館で行われていたバスケの試合に、土岐たちのクラスが残っているからと応援に来たのだ。
二階のギャラリーから見下ろしていると、どうやら三セット目が始まるらしい。
「二人共スタメンだね」
「中学ん時からゴリゴリにやってるからね。部活でも多分すぐに試合出るんじゃねーの?」
ティップオフのジャンプボールは、土岐。
「背、高いね、土岐。……あ、やった」見事に土岐のチームにボールが渡る。
「土岐、カッコいー」
「高身長ってのは百難隠すからなー」
涼のセリフに恵那がポソ、と呟いた。
長身を活かしてスリーポイントを決めた土岐の姿に、涼の目がきらきらしているのが気に入らない。
「えな、えな。土岐、ホント凄いねー」
「いやいや、今のは響のパス回しがいいんだろ。あいつ喋ってないと、結構イケてるよな」
「うん、響もカッコいー。いいなー、あんなの女子が見たら、絶対モテるヤツじゃん」
「あー響は結構試合の度に女子に囲まれてたな」
「土岐もでしょー? モテないわけがない!」
涼が力説すると、恵那は不貞腐れた。
「何、えな。弟褒められて、嬉しくないの?」
「あー……俺、昔あいつ嫌いだったんだよなー」
「は? 弟なのに?」
「弟だから、だよ。双子だからな」
コートでは、響からのノールックパスを受けた土岐がドリブルしながら三人を抜き去り、見事にダンクを決めた。
のを見て、涼の目がわかりやすくハートになるから。
恵那としては面白くないわけで。
「すっごおい。ちょおカッコいー」
「惚れんなよ」
「惚れるかもー」
「だから、そーゆーの」
「え?」
涼がきゃぴきゃぴした声で言っているのを、恵那が鼻で笑って。
「小学校ん頃はさ、今より全然似てたんだよ、あいつと。で、しょっちゅう間違われるし、でもあいつは俺みたいにふざけてないから女子受けが良くてさ」
恵那の表情が少し曇る
「で、そんな土岐に惚れた女子が、間違えて俺にコクってくるわけだ」
面白くないのは、それが自分もいいなと思っていたコだったから。
六年の頃、クラブチームのバスケの試合を見たという女子から声を掛けられた。
それは同じクラスの清純派でおとなしい女の子。
クラスで自分がバカやって、それ見てくすくす笑ってるのが可愛くて。
なのに、笑って欲しくてふざけてた自分なんかじゃなくて、黙ったままその運動神経だけで彼女をオとした土岐が悔しくて。
「ムカついたから、あいつと間違われないように髪伸ばしたら校則違反で坊主にされるし。私服も、かーちゃんがバカみたいにあいつとおソロばっか買うのに反発して、でちょっと派手めなのを着たら中学生に睨まれるし」
ホイッスルが鳴り響き、試合が終わった。
結局のところ、大差をつけて土岐達のクラスが圧勝したのだが、それを喜ぶよりも涼は恵那の過去の話の方に夢中で。
「だから、ちょっと前まであいつのことは嫌いだったんだよ」
「えな……」
「ま、そんなん引きずるほどガキじゃねーから、今は普通だけど」
恵那の表情が、またいつもの明るいものに戻っていて。
涼が茫然として見つめてくるのを、恵那はいつものようにくふ、と笑うと。
「メシ、行こ。午後からまた、あいつらの試合、観るだろ?」
ホイッスルの音が響き、二セット目が終了した。
校内球技大会のバスケである。
四セットフルでの対戦ではなく、二セット目でハーフタイムの後三セット目で終わるようスリム化された独自ルールで行われる。
ハーフタイムは五分と短いが、コート横で軽く打合せをするだけなので、そんなもんだろう。
「あ。響、気付いたな」恵那が言い、目が合った響に、
「おーい、頑張ってー」涼が手を振った。
響に促され、土岐の目も涼を捉えた。
「あ……」
「二人共、頑張って!」
涼の声に、しっかりサムアップして答えた二人は、ドリンクを飲むとミーティングの輪に戻った。
午前中の試合はこれが最後である。
各学年の代表が決まり、午後からは三学年総当たりでの決勝戦となる。
「すごいね。一年代表、土岐たちのチームに決まりそうじゃん」
涼が興奮して、言う。
二セット目が終わった時点で、既にダブルスコア状態で土岐たちのクラスが勝っている。
「あのクラス、ガチ中のガチ。何の因果かバスケ部四人が固まってるからな。おまけにバレー部四人。後二人は陸上部だし、体力のバケモンばっかじゃねーか」
恵那が腕組みして「ずりーわ」なんてぐちっている。
最低でも学年代表! と息巻いていた恵那たちだったが、初戦即敗退の涼たちの試合後、卓球部で固まったA組の一軍にぶち当たり、綺麗に完敗していた。
二人は第二体育館で行われていたバスケの試合に、土岐たちのクラスが残っているからと応援に来たのだ。
二階のギャラリーから見下ろしていると、どうやら三セット目が始まるらしい。
「二人共スタメンだね」
「中学ん時からゴリゴリにやってるからね。部活でも多分すぐに試合出るんじゃねーの?」
ティップオフのジャンプボールは、土岐。
「背、高いね、土岐。……あ、やった」見事に土岐のチームにボールが渡る。
「土岐、カッコいー」
「高身長ってのは百難隠すからなー」
涼のセリフに恵那がポソ、と呟いた。
長身を活かしてスリーポイントを決めた土岐の姿に、涼の目がきらきらしているのが気に入らない。
「えな、えな。土岐、ホント凄いねー」
「いやいや、今のは響のパス回しがいいんだろ。あいつ喋ってないと、結構イケてるよな」
「うん、響もカッコいー。いいなー、あんなの女子が見たら、絶対モテるヤツじゃん」
「あー響は結構試合の度に女子に囲まれてたな」
「土岐もでしょー? モテないわけがない!」
涼が力説すると、恵那は不貞腐れた。
「何、えな。弟褒められて、嬉しくないの?」
「あー……俺、昔あいつ嫌いだったんだよなー」
「は? 弟なのに?」
「弟だから、だよ。双子だからな」
コートでは、響からのノールックパスを受けた土岐がドリブルしながら三人を抜き去り、見事にダンクを決めた。
のを見て、涼の目がわかりやすくハートになるから。
恵那としては面白くないわけで。
「すっごおい。ちょおカッコいー」
「惚れんなよ」
「惚れるかもー」
「だから、そーゆーの」
「え?」
涼がきゃぴきゃぴした声で言っているのを、恵那が鼻で笑って。
「小学校ん頃はさ、今より全然似てたんだよ、あいつと。で、しょっちゅう間違われるし、でもあいつは俺みたいにふざけてないから女子受けが良くてさ」
恵那の表情が少し曇る
「で、そんな土岐に惚れた女子が、間違えて俺にコクってくるわけだ」
面白くないのは、それが自分もいいなと思っていたコだったから。
六年の頃、クラブチームのバスケの試合を見たという女子から声を掛けられた。
それは同じクラスの清純派でおとなしい女の子。
クラスで自分がバカやって、それ見てくすくす笑ってるのが可愛くて。
なのに、笑って欲しくてふざけてた自分なんかじゃなくて、黙ったままその運動神経だけで彼女をオとした土岐が悔しくて。
「ムカついたから、あいつと間違われないように髪伸ばしたら校則違反で坊主にされるし。私服も、かーちゃんがバカみたいにあいつとおソロばっか買うのに反発して、でちょっと派手めなのを着たら中学生に睨まれるし」
ホイッスルが鳴り響き、試合が終わった。
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「えな……」
「ま、そんなん引きずるほどガキじゃねーから、今は普通だけど」
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