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「無理、あるよー。徹、だからこそ! ここはもう俺らでこの秘密は絶対に、何が何でも死守してやんないと」
ぐ、と力が入った辰巳に「ん?」と目を向けると。
「俺が護ってやってさ、でさ、辰巳先輩頼りになるんですね、つってこう、うるうるした目で見つめてくるだろ? したら、そんなの女の子護るのはオトコの責任ってヤツだから、とかゆっちゃって。辰巳先輩、カッコイイ、付き合って、ってなるわけさ」
「……なかなかのお花畑発言だな、おい」徹が呆れ返る。
「まあ、別に止めねーけど。ただキリ、マッチョマンがいいって言ってたぞ?」
「俺、何気に結構マッチョじゃね?」
「んー……ビミョー?」恵那が首を傾げると、
「何をお? 牛乳と筋トレの無限ループ、俺はこの正月がっつりやったぞ! 一回りも二回りも、デカくなってるハズだ!」と辰巳が胸を張る。
「いや、ただの正月デブだろ。おまえ、牛乳だけじゃなくて餅も無限ループしたんじゃねーの?」
徹に言われ、「うぐ」と辰巳が怯む。
「……きな粉餅っつーのは、意外と牛乳と合うんですわ……」
「あーあれ、ぱさぱさしてるから飲みモン欲しくなるよねー。俺、甘いのより大根おろしの辛味餅が好き」
項垂れる辰巳の横で恵那があっけらかんと畳みかけた。
「餅の話はどーでもいい。とにかく、本気でお前ら彼女のこと護ってやれよ?」
「そこはほら、徹も部長だから」
「だから俺の責任問題になるだろーが、ばかたれ!」
「しーってば。声、大きいって」
慌てて恵那が徹を抑え込む。
「ま、大丈夫だよ。だって、先輩らも涼の“姫”姿見たろ? あれ見て思わんかった? これ、まんま女子じゃんって」
恵那に言われ、涼の女子制服姿を思い出す。
顔なんて素顔のままだというのに、どこからどう見ても女子にしか見えなかった涼。あれを見た見ず知らずの人間が、「おまえほんとは男子だろ」なんて絶対に言わないと、百パー言えるあの姿。
つまり。
アレが男子校で男子として通用する、というのがこの学校、特にこの吹部においては常識なのである。
だからこそ、涼の血縁者であるキリエが“男子中学生でーす”と男の子仕様の姿でいればそれは当たり前に「ああ、可愛い男の子だねえ」で通じる。
恵那が思い付いたこの遊び。確かにリスクはある。バレればヤバイのは確かだろう。
が、まずバレない。
多少仕草が女の子でも、あの涼のイトコであり、しかもまだ中学生となれば、そんなの誰も気に留めない。よっぽど、それこそ裸でも見られない限り、断言できる。
……黒髪さらさらロングヘアだけど。
「実際ほら、河野先生も会ってるからね。なーんも疑わなかったし」
「それな。ほんと、あの人ってかなりのぼんやりだよなー。ステージ以外では」
徹が苦笑する。
「男子校で絶対ナめられるタイプの先生だろうって思うけど、本番直前鬼になるし、ステージでの耳の良さとか、まじそこだけは尊敬モンだしさ」
ほわほわと「Jから合わせるよー」なんて言ってニコニコ指揮棒振ってる姿がいつもだけれど、ステージに乗った時の表情は真剣で、そのステージを最高のものに仕上げる為にはどんな音も聴き逃さない。
そして本番の為の仕上げに入った瞬間から人が変わったように罵声、怒声を飛ばしまくる。それこそ鬼の形相で。
それを知っているから、誰もナめた態度を取らないのだ。
「おーい、パートで合わせるよー。辰巳たちそこで盛り上がってるけど、大丈夫?」
サックスの新しいパートリーダー、ソプラノの宮脇に言われて恵那たち三人も真面目に練習に入った。
ぐ、と力が入った辰巳に「ん?」と目を向けると。
「俺が護ってやってさ、でさ、辰巳先輩頼りになるんですね、つってこう、うるうるした目で見つめてくるだろ? したら、そんなの女の子護るのはオトコの責任ってヤツだから、とかゆっちゃって。辰巳先輩、カッコイイ、付き合って、ってなるわけさ」
「……なかなかのお花畑発言だな、おい」徹が呆れ返る。
「まあ、別に止めねーけど。ただキリ、マッチョマンがいいって言ってたぞ?」
「俺、何気に結構マッチョじゃね?」
「んー……ビミョー?」恵那が首を傾げると、
「何をお? 牛乳と筋トレの無限ループ、俺はこの正月がっつりやったぞ! 一回りも二回りも、デカくなってるハズだ!」と辰巳が胸を張る。
「いや、ただの正月デブだろ。おまえ、牛乳だけじゃなくて餅も無限ループしたんじゃねーの?」
徹に言われ、「うぐ」と辰巳が怯む。
「……きな粉餅っつーのは、意外と牛乳と合うんですわ……」
「あーあれ、ぱさぱさしてるから飲みモン欲しくなるよねー。俺、甘いのより大根おろしの辛味餅が好き」
項垂れる辰巳の横で恵那があっけらかんと畳みかけた。
「餅の話はどーでもいい。とにかく、本気でお前ら彼女のこと護ってやれよ?」
「そこはほら、徹も部長だから」
「だから俺の責任問題になるだろーが、ばかたれ!」
「しーってば。声、大きいって」
慌てて恵那が徹を抑え込む。
「ま、大丈夫だよ。だって、先輩らも涼の“姫”姿見たろ? あれ見て思わんかった? これ、まんま女子じゃんって」
恵那に言われ、涼の女子制服姿を思い出す。
顔なんて素顔のままだというのに、どこからどう見ても女子にしか見えなかった涼。あれを見た見ず知らずの人間が、「おまえほんとは男子だろ」なんて絶対に言わないと、百パー言えるあの姿。
つまり。
アレが男子校で男子として通用する、というのがこの学校、特にこの吹部においては常識なのである。
だからこそ、涼の血縁者であるキリエが“男子中学生でーす”と男の子仕様の姿でいればそれは当たり前に「ああ、可愛い男の子だねえ」で通じる。
恵那が思い付いたこの遊び。確かにリスクはある。バレればヤバイのは確かだろう。
が、まずバレない。
多少仕草が女の子でも、あの涼のイトコであり、しかもまだ中学生となれば、そんなの誰も気に留めない。よっぽど、それこそ裸でも見られない限り、断言できる。
……黒髪さらさらロングヘアだけど。
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徹が苦笑する。
「男子校で絶対ナめられるタイプの先生だろうって思うけど、本番直前鬼になるし、ステージでの耳の良さとか、まじそこだけは尊敬モンだしさ」
ほわほわと「Jから合わせるよー」なんて言ってニコニコ指揮棒振ってる姿がいつもだけれど、ステージに乗った時の表情は真剣で、そのステージを最高のものに仕上げる為にはどんな音も聴き逃さない。
そして本番の為の仕上げに入った瞬間から人が変わったように罵声、怒声を飛ばしまくる。それこそ鬼の形相で。
それを知っているから、誰もナめた態度を取らないのだ。
「おーい、パートで合わせるよー。辰巳たちそこで盛り上がってるけど、大丈夫?」
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