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そして、いつメンでのお昼ご飯中。
食堂で、とりあえず土岐と響に可愛くパッケージしたトリュフを「いつもお世話になってます」と手渡し、恵那が「俺にはないの?」と言うから「えなには朝、ちゃんと本命チョコ渡したでしょ」と二人が砂を吐くしかないイチャくりを見せつけられて。
いつものように四人でわちゃわちゃやっていると、涼の前に三年生が並んだ。
「え?」
と完全に涼は固まってしまって。
恵那がまず、立ち上がった。
「先輩ら、何か用ですか?」
目つきが変わる。
いつものへらへらした笑顔はそのままに、けれどもその目にはふざけた色はない。スっ、と涼をガードするように傍らに立つ。
「いや。おまえに用はない。俺たちが話したいのは、佐竹だ」
割と体格のがっちりした男たちの中、一人がそう言って恵那を睨む。
さすがに多勢に無勢もいいとこなので、土岐と響も立ち上がる。二人の目も、それまでの柔らかい色が消えていて。どちらかと言うと喧嘩とは縁のない二人だけれど、この場で素知らぬ顔をする人間ではない。
「ああ、悪い。その……おまえらに喧嘩売りたいわけじゃ、ないんだ」
ところが、三人の騎士が立ち上がった瞬間、男は慌てて両手を上げて手を振った。
「ちょっと……佐竹と話がしたくて。ほんの数分でいいから、借りられないか?」
「内容によりますねえ、そりゃ。猫のコじゃないんで、はいどーぞ、なんてやれないんスよ」
物怖じというものを知らない恵那がさらっと言うと、
「俺たちはただの佐竹ファンクラブ会員だ。今日は、っつーか今日だけは佐竹に想いを伝えさせて欲しい!」
と、五人の男たちが揃って手に持ったプレゼントを涼へと差し出した。
「へ?」
「付き合ってくれ、なんて大それたことを言うつもりはない。ただ。とにかく俺たちファンクラブは常に佐竹を見守っているし、来年こそは佐竹をミスコンのクイーンにして見せる!」
拳を握りしめて、どうやら“ファンクラブ会長”であるらしい彼が主張した。
「あー……ちょい、移動しよっか」
さすがに昼時の食堂なんて場所でそんな目立つ行動を取られると涼が困るだろうと、恵那が提案した。
「悪いけど、俺だけは付き添うけどな。こいつは俺の、なんで」
「ああ、わかっている。佐竹の傍には常におまえがいることは、いつも見ているからな」
「なん、そのストーカー発言。こえー」
軽口を叩きながらも、とりあえず土岐と響を残して恵那が涼と一緒に食堂を出た。
「で、涼。どーする?」
恵那の影に隠れるようにくっついていた涼が縋るように恵那を見た。
「いや、別に受け取るくらいはしてやってもいんじゃね?」
「でも僕、今日誰からのチョコも受け取ってないし。受け取るつもりもないし」
「チョコではない。それぞれが佐竹をより可愛くするだろうモノを揃えた。これを使って、来年こそは瑞浪に負けないクイーン姿を見せて欲しい!」
会長の目が真剣で。
と、いうか。
「クイーンって……こいつ、エントリーすらしてねーぞ? おまけにあんたら、来年はもうこのガッコにいねーだろ?」
恵那が疑問をぶつけた。
「我々ファンクラブ会員は既に五十名を超える。ここにいるのは三年の幹部のみだ。来年は二年に引き継ぐ。そして、ミスコンの実行委員には、来年以降は女装の有無は条件から外すよう申し出ておいた。来年からは佐竹がたとえ女装などしていなくても、ちゃんと選出されるハズだ」
流れるように会長が言って。そのあまりの下らない内容に涼がぽかんと口を開けていると。
「あ、会長さん、ナイス。俺もそれ、提言したかったんだわ。やっぱ涼が一番じゃないとおかしいんだよなー、あれは」
恵那がくふくふ嗤って会長の肩をポンポン叩く。
「そしてこれはファンクラブ全員からの贈り物だ」
どうやら中身は美顔器を始めとする美容機器らしい。
「今も当然、一番美しいのは佐竹だ。それは揺るぎない事実だ。だが、このふざけた男もまた、佐竹の横にいて恥ずかしくないだけの整った顔をしているのは致し方ないことだろう。ならば、来年はこの男にも負けない、さらなる美を佐竹には追求して貰いたいのだ!」
「いや、俺来年はその土俵に乗るつもりないし」
という恵那のツッコミは「構わん! 受けて立つ! 誰よりも佐竹が美しいのは世の理である!」とスルーされた。
食堂で、とりあえず土岐と響に可愛くパッケージしたトリュフを「いつもお世話になってます」と手渡し、恵那が「俺にはないの?」と言うから「えなには朝、ちゃんと本命チョコ渡したでしょ」と二人が砂を吐くしかないイチャくりを見せつけられて。
いつものように四人でわちゃわちゃやっていると、涼の前に三年生が並んだ。
「え?」
と完全に涼は固まってしまって。
恵那がまず、立ち上がった。
「先輩ら、何か用ですか?」
目つきが変わる。
いつものへらへらした笑顔はそのままに、けれどもその目にはふざけた色はない。スっ、と涼をガードするように傍らに立つ。
「いや。おまえに用はない。俺たちが話したいのは、佐竹だ」
割と体格のがっちりした男たちの中、一人がそう言って恵那を睨む。
さすがに多勢に無勢もいいとこなので、土岐と響も立ち上がる。二人の目も、それまでの柔らかい色が消えていて。どちらかと言うと喧嘩とは縁のない二人だけれど、この場で素知らぬ顔をする人間ではない。
「ああ、悪い。その……おまえらに喧嘩売りたいわけじゃ、ないんだ」
ところが、三人の騎士が立ち上がった瞬間、男は慌てて両手を上げて手を振った。
「ちょっと……佐竹と話がしたくて。ほんの数分でいいから、借りられないか?」
「内容によりますねえ、そりゃ。猫のコじゃないんで、はいどーぞ、なんてやれないんスよ」
物怖じというものを知らない恵那がさらっと言うと、
「俺たちはただの佐竹ファンクラブ会員だ。今日は、っつーか今日だけは佐竹に想いを伝えさせて欲しい!」
と、五人の男たちが揃って手に持ったプレゼントを涼へと差し出した。
「へ?」
「付き合ってくれ、なんて大それたことを言うつもりはない。ただ。とにかく俺たちファンクラブは常に佐竹を見守っているし、来年こそは佐竹をミスコンのクイーンにして見せる!」
拳を握りしめて、どうやら“ファンクラブ会長”であるらしい彼が主張した。
「あー……ちょい、移動しよっか」
さすがに昼時の食堂なんて場所でそんな目立つ行動を取られると涼が困るだろうと、恵那が提案した。
「悪いけど、俺だけは付き添うけどな。こいつは俺の、なんで」
「ああ、わかっている。佐竹の傍には常におまえがいることは、いつも見ているからな」
「なん、そのストーカー発言。こえー」
軽口を叩きながらも、とりあえず土岐と響を残して恵那が涼と一緒に食堂を出た。
「で、涼。どーする?」
恵那の影に隠れるようにくっついていた涼が縋るように恵那を見た。
「いや、別に受け取るくらいはしてやってもいんじゃね?」
「でも僕、今日誰からのチョコも受け取ってないし。受け取るつもりもないし」
「チョコではない。それぞれが佐竹をより可愛くするだろうモノを揃えた。これを使って、来年こそは瑞浪に負けないクイーン姿を見せて欲しい!」
会長の目が真剣で。
と、いうか。
「クイーンって……こいつ、エントリーすらしてねーぞ? おまけにあんたら、来年はもうこのガッコにいねーだろ?」
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「我々ファンクラブ会員は既に五十名を超える。ここにいるのは三年の幹部のみだ。来年は二年に引き継ぐ。そして、ミスコンの実行委員には、来年以降は女装の有無は条件から外すよう申し出ておいた。来年からは佐竹がたとえ女装などしていなくても、ちゃんと選出されるハズだ」
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