コレは誰の姫ですか?

月那

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 涼の了承を得た川島の動きは早く、翌日には吹部の部長である芝崎に依頼の話が来ていた。曰く、女子用制服を借りて涼に着せて撮影させて欲しいと。
 困ったのは芝崎で。
 部長という肩書を冠しているとは言え、その実権は恵那にあると言っても過言ではない現状である。
 自分の一存でそんなこと決められるわけがない、とすぐさま恵那に相談に来たのだ。

 恵那も改めて涼から話は聞いていたし、撮影するなら自分が間に入るのは絶対条件。涼の美少女戦士姿なんて、俺の目の届かないところで他人に晒してたまるか、というヤツである。それに、誰よりも見たいと思うのは自分だから。

 すぐに徹に連絡を取り、音楽準備室に呼び出したのは、その日の放課後だった。本来ならば三年生は夕課外の授業がある時間なのだが恵那が無理を言って。

「まず、制服は門外不出だ、つったろ?」
 ふう、と大きくため息をついて徹が告げる。

 徹が久しぶりに音楽準備室に行くと知った辰巳と奏も嬉しげについてきていて。
 トルソに掛かった制服を見て、辰巳は過去の自分の華奢な体型を思い出す。今現在の辰巳なら腕も入らないだろう。

「音楽室から出すわけにはいかない。一応、学校としてはこの制服は“無い”とされているものだ。ウチで保管してるのはもう、公然の秘密というヤツだからな。大っぴらにするわけにはいかない」
 徹が真面目な顔をして断言する。
 代々部長が受け継いでいるこの制服については。
 さすがにその存在自体が、公式上なかったものとなっているわけで。恵那が思っていた以上に取り扱いについては厳戒態勢となっているらしい。

「大体、それは俺も言ったし芝崎にも伝えておいただろうが。誰だよ、写真外部に漏らしたバカは!」
 交代式で最初にしっかりと注意している。姫の存在については、完全に吹部内部でのみでの扱いで、SNSに載せるなんて論外で、とにかく吹部以外の人間に漏らすことは厳禁であること。
 芝崎の口からもそれは伝えられていたが。

「あ、多分それ俺の知り合いっス」
 と、声が上がったから恵那が驚いて振り返ると。
「佐竹先輩のことめっちゃ可愛いって、あん時目えハートマークにしてたし。待ち受けにしたいってゆってて。多分そっから漏れたんだと思う」
 参ったなーと頭を掻きながら頭を下げるのは甲斐悠平。

「え。悠平、おまえなんで、ココにいんの?」
「だって徹先輩とか部長とか連れて準備室入ってくの見えたし、てっきり昨日のホール打合せの話でもすんのかと思ったんだよ。クリコンの話はついでにおまえも聴いとけってゆったの恵那先輩じゃん」
 と、マジメな顔で言う。
 こいつは恵那と同類で、完全に懐いてしまっている相手に対して敬語なんて使わない。

「まあ別に悠平がいてもいいよ。とにかく姫に関しては基本的に取り扱い注意事項なんだよ。トップシークレットってヤツだ。だからいつだってこの部屋の奥で布被せて隠してっだろーがよ」
「あでも。SNSとかに乗っけたわけじゃねーっすよ、多分。そこまでアホじゃねえから。ただあいつ、なんかファンクラブ会員とかで、多分っスけどその画像を他の会員に見せたっつーか送っただけっつーか」
「それだけでも困るんだっつの。とにかくそいつには後で俺から説教しとく」
 悠平がしゅん、としてしまったから、「まー涼が可愛すぎたってヤツで」なんて軽く言って肩を叩いて。

「とにかく、写真部の写真展だなんて、論外。佐竹の制服姿なら、その辺に売ってるコスプレ衣装で十分だろーが」
「それはそれで俺も見てみたいけどなー。佐竹、どんな制服も似合いそう」辰巳が笑う。この場の空気を読んで徹が今“ムチ”になっているから、フォローの為に場を和らげているのだろう。このままだと管理不行き届きで芝崎までもが下を向いてしまう。
 この辺の連携が上手い塩梅だからこの三人は常にセットでいるのだろう。
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