コレは誰の姫ですか?

月那

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 本来双子の誕生日会をする予定だったその日、キリエの部活が午後練習のみだということで、朝イチで撮影することになった。
 バスケ部も忙しいらしいので、今日は夜二人きりで誕生日会な、と恵那が涼に言ってくれたからそれはそれでいいことにする。

「女の子が変身する過程なんて、男の子は見なくていいんだから。涼ちゃんが仕上がるまで、恵那は待ってて」と言われ、涼の部屋から追い出されたのは朝八時。
 撮影場所も、なんだかんだで涼の家が一番“映え”るんじゃないかということで。
 写真部には十時集合と伝えておいたが、涼からは「早く来てー」と言われていたからバスケ部の集合と同じ時間に出てきたというのに、家に着くなりそんなことを言われ、仕方がないからリビングでピアノを弾いていた。

 もはや勝手知ったる、というヤツである。
 涼が恵那の家に来る方が断然回数は多いのだが、とは言えこの家を訪れることもなくはない。
 恵那がピアノを弾くと、香が喜ぶから膝に乗せて弾いてやる。そうやって子守をしてくれるから、馬場が家事に力を入れられるらしく、恵那の来訪はこの家にも重宝されているようである。
 いつ来ても、ここの両親は多忙で殆ど顔を合わせることがないのだが。藤堂と馬場が留守中のこの家を護っているらしい。

「涼ちゃんの、オトコノコらしいトコ発見しちゃった」
 一方部屋でキリエにいいように遊ばれている涼としては、あーでもないこーでもない、とキリエの持ち込んだいろんな洋服を着せられて目が回っているわけで。
「えー、そりゃーもう、僕結構逞しくなっちゃってるからねー。ほら、筋肉とか」
 ぐ、と力こぶを見せようとして、「そんなんどこにもないってば」キリエにふにゃ、と潰される。

「じゃなくって、ほら、指先」
「ええー、指先って?」
「涼ちゃん指先のお手入れしてないでしょお? ほら、ささくれちゃってるし。爪もなんか切りっぱなし」
「だって爪長いと演奏するのに邪魔だし」
「ん、短いのは全然いんだけど。もお、ほら、ちゃんとヤスリで整えて。甘爪も綺麗にして。ネイルも塗って可愛くしたげるね」
「待って待って! そんなん、困るー。明日学校あるんだから」
「ダイジョブだってば。ちゃんと除光液もあるから。後で落としてあげるから」

 完全にノリノリなキリエに、何の抵抗も無駄である。
 涼の裸なんて見慣れたものだから、パンツ一枚であーだこーだと着せ替えられ、結果「やっぱ涼ちゃんは清楚ってヤツだし、清楚と言えば」と、白いワンピースに落ち着いた。

 シフォン素材の二重スカートになっていて、内側のスカートがミニだから涼の白い脚が綺麗に透けて見える。
 この透け具合がミソで、しっかりがっつり晒すとエロ過ぎるというヤツである。
 髪もミルクティ色のロングヘアなウィッグを被せられた。それはふわふわした巻き髪でサイドに編み込みが施されていて。
 肌なんて何もしなくても透明感溢れる白いつるつる素肌だから、そのまま薄いピンクのチークだけ。
 ばさばさに長い睫毛にはちょっとだけマスカラを付けて。眉を少し整えるだけで全然印象は“女の子”になってしまうから、アイメイクはパールで少し輝きを与えるだけで十分。
 そしてぷるぷるのリップにほんのりピンクのグロスだけ塗ってフルメイク完了。
 どこからどう見ても極上な美少女が出来上がった。

「かーわーいーいー」
 キリエがきゃぴきゃぴしながら涼の写真を撮りまくる。
「ええー、きーちゃん僕、どーなってんのさ?」
 何がなんだかわからない状態でただただ人形のようにされるがままだったから。キリエに手を引かれて大きな鏡の前に立つと。

「わお」自分の姿に目を見開いた。
「ほら、可愛いでしょ?」
 キリエが恵那ばりにドヤってみせて。
「はい、お外は寒いからこの白いフワモコのショールを羽織ってね。あ、帽子もアリかもー。あと、イヤリングとネックレス」
 涼自身、まるで誰だかわからなくて。
 交代式で制服を着た時は、顔なんてそのまんまだったし、「これのどこが女の子だよ」なんて自分では思っていたけれど、こうしてメイクしたりウィッグを付けたり、イジられまくったこの姿だと確かに鏡の中に写っているいるのはただの女の子。

「さ、じゃあ恵那待ってるから見せてあげよーねー」
 キリエが涼の手を取って部屋を出る。
 螺旋階段を降りているとピアノの音が聴こえて来て。

「お待ちー」なんてキリエが声を掛けると、涼の姿を見た恵那が固まった。
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