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「きーちゃん! どーゆーこと? もお僕、びっくりしたじゃん!」
一方涼は、まさかの響との関係についてキリエに問い質していた。
あの後これからデートだ、と言ってファミレスを先に出て行った二人を見送り、仕方ないからバスで家まで帰ったけれど。
久々に家族揃って食事なんてして、まったりしたお茶の時間なんてのを過ごした後、詳しい話を聞きたくて、部屋に帰ってキリエに電話した。
「ごめんねー。ちゃんと返事したのがついこないだだったし、なんとなく言い出せなくて」
キリエが少し照れながら話してくれた。
「えっとね、キリが土岐くんにフられた話って、みんな誰も響にしてなかったでしょ?」
「そりゃ、言えないよお。僕、えなにも言ってないし」
「うん、恵那も知らなかったからキリがゆった」
「あ、そーなんだ?」
双子の誕生日会のこと、誰もその話に触れないままバスケ部の忙しさに追われてしまっていたから、気になった響がキリエに相談したらしい。
けれど、当然ながらキリエとしては土岐との一件があるから気まずいわけで。
キリエ自身、恵那は涼と過ごすということを写真部の話の流れで聞いていたから、とにかく自分は土岐には会えないことだけを話して。
結局フラれたことを説明せざるを得なかったから、話をしているうちにやっぱり辛くなって泣いてしまって。
そしたら。
「響がね。キリちゃん、俺にしーひん? ってゆってきたの」
電話の向こうで泣いているキリエに。
響は半分冗談交じりに、
「俺にはさ、恵那みたいなアクの強さも、土岐のような底なしの包容力もないねんけど、俺にはこの平凡力があんねん。キリちゃん、俺にしときいな」と。
笑わせるつもり半分、口説くつもり半分の、微妙なラインで言った。
「だってさ、笑っちゃうじゃん? 何それって」
ふふふ、と今も笑いながらキリエが話す。
「でもね。それが嬉しかったの。ずっとちゃんと笑えなくて、何考えてもしんどくて。なのに、響はそうやって笑わせてくれたの」
それに。
そのままでいいと言ってくれた。
土岐を好きなら好きでいいし、気持ちが落ち着くまで泣いてたっていい。
ただ、泣く時は傍にいてあげるし、気が向いた時にちょっとでも思い出してくれる存在になれたらそれでいいから、と。
「さすがにすぐすぐ、なんて無理だったよ。でも、言ってくれたことがすごく嬉しくて、キリがどん底まで落ちてた時に、そう言ってくれたのは、甘えてもいいんだって思えたから」
痛い想いしているから、その傷を癒してくれる響の存在が嬉しくて。
返事なんていらないから、なんでもいいから電話して、って言ってくれて。
何度か電話で話しているうちに、どんどん傷が癒えていくのがわかった。
「そんで、ウィンターカップの映像、動画で見たの。ネット配信されてたから。そしたら響、めっちゃカッコイイんだもん」
今までずっと土岐ばかり見ていて、響がどんだけ活躍しているかに目を向けられていなかったことに気付いた。
試合でシュートを決めるトコも、ドリブルでコート内を駆け抜けてるトコも。
全部全部、カッコイイって思って。
「だからね。電話で、お返事したの。こんなキリで良かったら、付き合って下さいって」
まだまだ遠征中、なんて状態でそんな話になったから。付き合うってなって、初めて一緒に出掛けたのは響が遠征から帰って来てから。ほんとに昨日。
「土岐くんのこともあったし、キリずっと悩んでたのね。でも、涼ちゃんにゆったら、なんか怒られそうな気がして話せなかったの」
「え、なんで僕が怒るのさ?」
「だって。土岐くんにフられたら今度は響、なんて。ちょっと節操無いっぽいし、おまけに涼ちゃんのお友達ばっかだし」
「そんなの、全然僕気にしないよ? きーちゃんが幸せなのが一番イイコトだと思うし」
というよりも。
そんな話を相談されても、涼の側に問題があったかもしれない。
何しろキリエのことなんて考えていられる余裕なんて全然なかったから。
物理的にはクリコンで忙しくて。そして感情的には恵那と別れて――友達に戻って――、グダグダの状態で。
他人に構っていられる余裕なんて、全くなかった。
「きーちゃん! どーゆーこと? もお僕、びっくりしたじゃん!」
一方涼は、まさかの響との関係についてキリエに問い質していた。
あの後これからデートだ、と言ってファミレスを先に出て行った二人を見送り、仕方ないからバスで家まで帰ったけれど。
久々に家族揃って食事なんてして、まったりしたお茶の時間なんてのを過ごした後、詳しい話を聞きたくて、部屋に帰ってキリエに電話した。
「ごめんねー。ちゃんと返事したのがついこないだだったし、なんとなく言い出せなくて」
キリエが少し照れながら話してくれた。
「えっとね、キリが土岐くんにフられた話って、みんな誰も響にしてなかったでしょ?」
「そりゃ、言えないよお。僕、えなにも言ってないし」
「うん、恵那も知らなかったからキリがゆった」
「あ、そーなんだ?」
双子の誕生日会のこと、誰もその話に触れないままバスケ部の忙しさに追われてしまっていたから、気になった響がキリエに相談したらしい。
けれど、当然ながらキリエとしては土岐との一件があるから気まずいわけで。
キリエ自身、恵那は涼と過ごすということを写真部の話の流れで聞いていたから、とにかく自分は土岐には会えないことだけを話して。
結局フラれたことを説明せざるを得なかったから、話をしているうちにやっぱり辛くなって泣いてしまって。
そしたら。
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「俺にはさ、恵那みたいなアクの強さも、土岐のような底なしの包容力もないねんけど、俺にはこの平凡力があんねん。キリちゃん、俺にしときいな」と。
笑わせるつもり半分、口説くつもり半分の、微妙なラインで言った。
「だってさ、笑っちゃうじゃん? 何それって」
ふふふ、と今も笑いながらキリエが話す。
「でもね。それが嬉しかったの。ずっとちゃんと笑えなくて、何考えてもしんどくて。なのに、響はそうやって笑わせてくれたの」
それに。
そのままでいいと言ってくれた。
土岐を好きなら好きでいいし、気持ちが落ち着くまで泣いてたっていい。
ただ、泣く時は傍にいてあげるし、気が向いた時にちょっとでも思い出してくれる存在になれたらそれでいいから、と。
「さすがにすぐすぐ、なんて無理だったよ。でも、言ってくれたことがすごく嬉しくて、キリがどん底まで落ちてた時に、そう言ってくれたのは、甘えてもいいんだって思えたから」
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返事なんていらないから、なんでもいいから電話して、って言ってくれて。
何度か電話で話しているうちに、どんどん傷が癒えていくのがわかった。
「そんで、ウィンターカップの映像、動画で見たの。ネット配信されてたから。そしたら響、めっちゃカッコイイんだもん」
今までずっと土岐ばかり見ていて、響がどんだけ活躍しているかに目を向けられていなかったことに気付いた。
試合でシュートを決めるトコも、ドリブルでコート内を駆け抜けてるトコも。
全部全部、カッコイイって思って。
「だからね。電話で、お返事したの。こんなキリで良かったら、付き合って下さいって」
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何しろキリエのことなんて考えていられる余裕なんて全然なかったから。
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