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situation
situation -5-
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食後。まだ時間に余裕があったので、そのまま海岸線を歩くことにした。
「お腹いっぱい過ぎてヤバいー」
ゆかりが言うのももっともで。
「わかる。パスタ、かなりの量だったよ。ゆかりちゃんも、俺につられて結構パン食べてたよね」
「だってー、焼き立てのクロワッサンめっちゃ美味しかったんだもーん」
初夏、という気候で天気もいいから海風が心地よく、腹ごなしにちょうどいいお散歩。
大好きな彼女がふわふわと横を歩いているこの夢見心地な状況で。
「るーちゃん、午後の授業は?」
なのにゆかりが現実に引き戻してくれる。
「行かなきゃダメかなー?」
「そりゃそーでしょ」
「三コマ目は一時半からですが」
このままサボる気満々ですが。
「え? 今まだ一時過ぎでしょ? 間に合うじゃん。帰んなきゃ」
……帰りたくない。
「ブスくれないの。学生はお勉強がお仕事でしょ」
「こんな時におかーさんしないでよ」
ゆかりがルカの腕を引き、否応なしに駐車場に戻される。
「あー、なんかちっちゃい頃もあったよねー。公園で遊んでて、もう帰る時間よってゆったら、るーちゃんほんと帰るの嫌がって」
思い出して笑っているゆかりに、ルカとしては益々不機嫌になってしまう。
「また、来ようねー」
と、ゆかりが言う。
から。
「え?」驚いて目を見つめた。
「そう言って、ちっちゃいるーちゃん説得して帰ったんだよねー」
車のカギを渡されて、仕方ないから運転席に乗り込んで。
「……じゃあゆかりちゃん。ほんとにまた来ようよ」
エンジンをかけて、言ってみた。
「今日はさ、しょーがないからこれで帰るけど、また来よう」
一応、できる限り軽い口調で。
「えっと……あたしは、休みの日ならいつでもいいけど。でもるーちゃん、あたしに構ってる暇あるの?」
うん。大丈夫、下心には気付いてない。
ルカは少し安心して。
「俺にも休みの日はあるよ。それに、俺運転したいし」
「運転?」
「言ってなかったかな? 今自分の車買う為にバイトしてんだよね。頭金無しでローン組もうとしたら美紅にくっそ怒られて。だから一年間バイトしてある程度貯めたら、残りは親ローンにしてやるから我慢してなって」
「あー、だから運転したいのかー。美紅も通勤で使うから車空いてないもんね」
「そう。しかも二人とも自分たちが横に乗ってない限り、俺には運転させてくれないし」
まだ信用されてないんだろうけど。もう少し、自由に乗りたい。
「そっかー。あ、でもあたしだって勝手には乗せないよ?」
「そんなのわかってるって。でもゆかりちゃん、何も言わないから運転しやすい」
「何それ?」
「美紅も親父も、うるせーの。ブレーキのタイミングだとか、走ってる位置とか」
「あー、だからなのね。二人に鍛えられてるから、るーちゃんの運転全然怖くないの。あたしは、まあ元々運転上手じゃないから人の運転なんて何も気にならないけど、るーちゃんの運転は初心者っぽい感じは全然しないし、乗り心地いいよ?」
謙遜して上手じゃないとは言うけれど、通勤に車を使っているし運転に年季が入っているのは確かなゆかりである。だから、そんな風に言われてルカは純粋に嬉しいと思った。
「じゃあ、お互い時間が空いたら、気分転換にドライブでもしましょーね」
「いやったあー」
「その代わり、頑張って午後からちゃんと勉強すること!」
ゆかりが釘を刺すように言って、二人で笑った。
海に近く、郊外にある大学にはあっという間に着いてしまって。
学校の正門でルカは車を降りた。
「中学校まで送って貰ってたら、美紅にバレちゃってたかもね、おサボりるーちゃん」
「あ、ほんとだね。ごめん、ありがと」
「んーん、ありがとうはこっちだよ。今日はすっごく楽しかった」
じゃあね。と手を振って、ゆかりが去って行った後、ルカはもう幸せで踊りたくなるほどだった。ので、午後の授業がまるで頭に入らなかったのは言うまでもない。
「お腹いっぱい過ぎてヤバいー」
ゆかりが言うのももっともで。
「わかる。パスタ、かなりの量だったよ。ゆかりちゃんも、俺につられて結構パン食べてたよね」
「だってー、焼き立てのクロワッサンめっちゃ美味しかったんだもーん」
初夏、という気候で天気もいいから海風が心地よく、腹ごなしにちょうどいいお散歩。
大好きな彼女がふわふわと横を歩いているこの夢見心地な状況で。
「るーちゃん、午後の授業は?」
なのにゆかりが現実に引き戻してくれる。
「行かなきゃダメかなー?」
「そりゃそーでしょ」
「三コマ目は一時半からですが」
このままサボる気満々ですが。
「え? 今まだ一時過ぎでしょ? 間に合うじゃん。帰んなきゃ」
……帰りたくない。
「ブスくれないの。学生はお勉強がお仕事でしょ」
「こんな時におかーさんしないでよ」
ゆかりがルカの腕を引き、否応なしに駐車場に戻される。
「あー、なんかちっちゃい頃もあったよねー。公園で遊んでて、もう帰る時間よってゆったら、るーちゃんほんと帰るの嫌がって」
思い出して笑っているゆかりに、ルカとしては益々不機嫌になってしまう。
「また、来ようねー」
と、ゆかりが言う。
から。
「え?」驚いて目を見つめた。
「そう言って、ちっちゃいるーちゃん説得して帰ったんだよねー」
車のカギを渡されて、仕方ないから運転席に乗り込んで。
「……じゃあゆかりちゃん。ほんとにまた来ようよ」
エンジンをかけて、言ってみた。
「今日はさ、しょーがないからこれで帰るけど、また来よう」
一応、できる限り軽い口調で。
「えっと……あたしは、休みの日ならいつでもいいけど。でもるーちゃん、あたしに構ってる暇あるの?」
うん。大丈夫、下心には気付いてない。
ルカは少し安心して。
「俺にも休みの日はあるよ。それに、俺運転したいし」
「運転?」
「言ってなかったかな? 今自分の車買う為にバイトしてんだよね。頭金無しでローン組もうとしたら美紅にくっそ怒られて。だから一年間バイトしてある程度貯めたら、残りは親ローンにしてやるから我慢してなって」
「あー、だから運転したいのかー。美紅も通勤で使うから車空いてないもんね」
「そう。しかも二人とも自分たちが横に乗ってない限り、俺には運転させてくれないし」
まだ信用されてないんだろうけど。もう少し、自由に乗りたい。
「そっかー。あ、でもあたしだって勝手には乗せないよ?」
「そんなのわかってるって。でもゆかりちゃん、何も言わないから運転しやすい」
「何それ?」
「美紅も親父も、うるせーの。ブレーキのタイミングだとか、走ってる位置とか」
「あー、だからなのね。二人に鍛えられてるから、るーちゃんの運転全然怖くないの。あたしは、まあ元々運転上手じゃないから人の運転なんて何も気にならないけど、るーちゃんの運転は初心者っぽい感じは全然しないし、乗り心地いいよ?」
謙遜して上手じゃないとは言うけれど、通勤に車を使っているし運転に年季が入っているのは確かなゆかりである。だから、そんな風に言われてルカは純粋に嬉しいと思った。
「じゃあ、お互い時間が空いたら、気分転換にドライブでもしましょーね」
「いやったあー」
「その代わり、頑張って午後からちゃんと勉強すること!」
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「中学校まで送って貰ってたら、美紅にバレちゃってたかもね、おサボりるーちゃん」
「あ、ほんとだね。ごめん、ありがと」
「んーん、ありがとうはこっちだよ。今日はすっごく楽しかった」
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