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situation
situation -4-
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ふんわりしたピンク色のワンピース。に、明るいグレーのロングカーディガンを羽織って。
長い髪をハーフアップにしたゆかり。が。
「え。変?」
出会った瞬間。少し固まったルカにゆかりが慌てた様子で訊いてきた。
「いやいや! 変じゃない、変じゃない。ゆかりちゃんいつもスーツだから、ちょっとビックリしただけ」
ザ・キャリアウーマン。といったパンツスーツ姿のゆかりを見慣れているルカとしては、ちょっと焦るくらいかわいい姿で。
「だって、参観日だもん」
「うん、かわいいよ。ななちゃんも喜ぶんじゃない?」
俺も勿論嬉しいけど。ってのはとりあえず飲み込んで。
「どこ行く? プリウス、俺が運転していい?」
駐車場に停めてあったゆかりの愛車の横で。ちょっとだけオトナな自分を見せたくなって、彼女から鍵を貰う。
「いいよー。あでもちょっと怖いかもー」
「えー、何が?」
「だって。免許取り立てじゃないの?」
「にゃ、高三の夏休みで免許取ったし。美紅や親父の車は何度も運転してるよ」
「あそっかー、四月生まれだもんね」
ルカが運転席に乗り込むと、助手席にゆかりが収まった。
「ちょっと海岸まで出ようと思ったんだけど。イタリアンで、でもパンは食べ放題だからるーちゃんのお腹も満たされるかなーって」
「諒解」
女の子らしいお店。でもちゃんと考えてくれている選択にくすぐったい嬉しさを感じて。
ルカはいろんな意味でかなり高揚した気持ちでハンドルを握った。
「うわー、何か変な感じだよー」
隣で挙動不審なゆかりが、キョロキョロと見回しながら、音楽を流し始める。
「あんまり助手席乗らない?」
「まあ、この車だとね。てゆーか、そんなことより、るーちゃんの運転で横乗ってるのが不思議なんだよ」
「いやいや、こないだ一瞬だったけど乗ってたじゃん」
「あれはすっごい近くだったし。ほんとに一瞬だったし」
「まーねー」
気持ちも動転していただろうし。
「昔、小学校の頃はバスケの試合行くのに乗せて貰ってたよね」
「そうそう。美紅がどうしても行けない時に、たまにだけどね」
ちょっと、昔のことを思い出して。
二人で懐かしい思い出を話しているうちに車は海岸線を走っていた。
「海だね」
ゆかりが窓の外を見て言った。
太陽が水面に乱反射して眩しい。
こんな天気なのに、学校で勉強なんてやってるのがもったいない。
と、サボりの言い訳なんてしてみて。
「六月だし、まだ泳ぐには寒いけど、眺めるには気持ちいいね」
ゆかりが窓の外を見ながら目を細めた。
「天気いいし、晴れてるから車の中は暑いくらいだけど」
「あ、エアコン強くしよっか?」
「大丈夫、ゆかりちゃんが冷えない程度で」
「ふふ、年寄り扱い?」
「違うでしょ、レディ扱いです。あ、この店?」
明るいブルー基調の店構え。古くもなく新しくもない、いい感じのイタリアンレストラン。
まだ正午前のせいかそんなに込み合ってる様子はない。
駐車場に車を停めて、店に入った。
「あ。窓側の席だね。海が見えて素敵」
ゆかりが少しはしゃいだ様子で言った。
「よく来るの?」
「ううん、初めてー。前に会社の若い女の子達が話してたの。ここのお魚料理が美味しいんだって」
「パスタじゃなくて?」
「るーちゃんはパスタの方がいいかな? わりとボリュームあるらしいから。男の子だしいっぱい食べるよね?」
「そうでもないよ。さすがに部活しなくなってからはそんなに量入らなくなったし」
「高校の時は美紅が目を回してたよ。るーちゃんいるとご飯毎食五合でも足りないって」
クスクス笑いながら言って、とりあえず店員注文だけした。
「あ、パンはねー、食べ放題だから取りに行こ」
長い髪をハーフアップにしたゆかり。が。
「え。変?」
出会った瞬間。少し固まったルカにゆかりが慌てた様子で訊いてきた。
「いやいや! 変じゃない、変じゃない。ゆかりちゃんいつもスーツだから、ちょっとビックリしただけ」
ザ・キャリアウーマン。といったパンツスーツ姿のゆかりを見慣れているルカとしては、ちょっと焦るくらいかわいい姿で。
「だって、参観日だもん」
「うん、かわいいよ。ななちゃんも喜ぶんじゃない?」
俺も勿論嬉しいけど。ってのはとりあえず飲み込んで。
「どこ行く? プリウス、俺が運転していい?」
駐車場に停めてあったゆかりの愛車の横で。ちょっとだけオトナな自分を見せたくなって、彼女から鍵を貰う。
「いいよー。あでもちょっと怖いかもー」
「えー、何が?」
「だって。免許取り立てじゃないの?」
「にゃ、高三の夏休みで免許取ったし。美紅や親父の車は何度も運転してるよ」
「あそっかー、四月生まれだもんね」
ルカが運転席に乗り込むと、助手席にゆかりが収まった。
「ちょっと海岸まで出ようと思ったんだけど。イタリアンで、でもパンは食べ放題だからるーちゃんのお腹も満たされるかなーって」
「諒解」
女の子らしいお店。でもちゃんと考えてくれている選択にくすぐったい嬉しさを感じて。
ルカはいろんな意味でかなり高揚した気持ちでハンドルを握った。
「うわー、何か変な感じだよー」
隣で挙動不審なゆかりが、キョロキョロと見回しながら、音楽を流し始める。
「あんまり助手席乗らない?」
「まあ、この車だとね。てゆーか、そんなことより、るーちゃんの運転で横乗ってるのが不思議なんだよ」
「いやいや、こないだ一瞬だったけど乗ってたじゃん」
「あれはすっごい近くだったし。ほんとに一瞬だったし」
「まーねー」
気持ちも動転していただろうし。
「昔、小学校の頃はバスケの試合行くのに乗せて貰ってたよね」
「そうそう。美紅がどうしても行けない時に、たまにだけどね」
ちょっと、昔のことを思い出して。
二人で懐かしい思い出を話しているうちに車は海岸線を走っていた。
「海だね」
ゆかりが窓の外を見て言った。
太陽が水面に乱反射して眩しい。
こんな天気なのに、学校で勉強なんてやってるのがもったいない。
と、サボりの言い訳なんてしてみて。
「六月だし、まだ泳ぐには寒いけど、眺めるには気持ちいいね」
ゆかりが窓の外を見ながら目を細めた。
「天気いいし、晴れてるから車の中は暑いくらいだけど」
「あ、エアコン強くしよっか?」
「大丈夫、ゆかりちゃんが冷えない程度で」
「ふふ、年寄り扱い?」
「違うでしょ、レディ扱いです。あ、この店?」
明るいブルー基調の店構え。古くもなく新しくもない、いい感じのイタリアンレストラン。
まだ正午前のせいかそんなに込み合ってる様子はない。
駐車場に車を停めて、店に入った。
「あ。窓側の席だね。海が見えて素敵」
ゆかりが少しはしゃいだ様子で言った。
「よく来るの?」
「ううん、初めてー。前に会社の若い女の子達が話してたの。ここのお魚料理が美味しいんだって」
「パスタじゃなくて?」
「るーちゃんはパスタの方がいいかな? わりとボリュームあるらしいから。男の子だしいっぱい食べるよね?」
「そうでもないよ。さすがに部活しなくなってからはそんなに量入らなくなったし」
「高校の時は美紅が目を回してたよ。るーちゃんいるとご飯毎食五合でも足りないって」
クスクス笑いながら言って、とりあえず店員注文だけした。
「あ、パンはねー、食べ放題だから取りに行こ」
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