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situation
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ルカは基本的に真面目人間である。
授業も朝からちゃんと受けるし、出された課題もきっちりこなしているし。
自分で行きたいと望んで進んだ大学生活で、学びたいからここにいるのである。
が。しかし。
たとえどんなに真面目な人間でも、そこは十代の遊びたい盛りのオトコノコである。
昨夜、課題が終わって気まぐれにオンラインゲームなんぞ開いてみたら、偶然坂本もログインしていたせいでやたらと盛り上がってしまい、結果夜中三時頃の記憶を最後に寝落ちしてしまうという、稀にみるやらかしをしてしまったせいで、今現在睡魔と格闘中。
朝一番一コマ目、大部屋、一般教養の英語、しかも睡眠不足。
この、どうしようもない状況の中、坂本なんて既に隣で爆睡中である。
どんなに真面目人間なルカでも、この状況であくびの一つも出ないなんてあり得ないわけで。
まじくそきつい。
内心独り言ちて机に突っ伏しそうになった瞬間、マナーモードにしていた携帯が光り、メッセージが表示された。
“この間はありがとう、助かったよ”
というそれの発信者はゆかりで。
一気に覚醒する。
“それはいいけど、どしたの、こんな時間に?”
平日の十時前なんて、会社員がメッセージ入れられるような時間じゃないと思い、ルカが返した。
“あ。ごめん、るーちゃん授業中?”
“うん。けどそれは大丈夫。
てゆーか、ゆかりちゃん今日お休み?”
“今日ねー、七海の授業参観あるから休んだの。最初は昼からしか休めないと思ってたんだけど、ちょうど一段落したトコだったから、えいって一日有給取っちゃった”
ゆかりのメッセージを読んで、あーそういえば美紅も清華の参観日があると言っていたな、と思い出す。
“まさか休めると思ってなかったから美紅も午前中はパート出てるみたいだし、久しぶりにまったりしてるよー。あ、けどるーちゃん暇じゃないよね”
ごめんなさい、なスタンプが来る。
“大部屋だからラインは余裕”
“えー。いっけないんだー。美紅にバレたら怒られるよー”
文面が、文章と違ってのほほんとしてる様子。ゆかりがクスクスと笑いながら喋ってる感じが伝わってくる。
“ゆかりちゃんが言わなかったらバレないし”
“悪いコねー。あ、でもあたしが授業の邪魔しちゃいけないね”
“いや。眠くてしょーがないから、ゆかりちゃんが寝ないように見張ってて”
“見張るって?”
“このまま喋っててよ。専門的な授業は楽しいけど、一般教養は眠い”
眠ってるスタンプ入れて。
“わかるー。あたしも大部屋はよく寝てたー”
ゆかりも、某国立大学の出身なので、この気持ちはわかって貰える。
“参観日。何時から?”
“五時間目だから、二時くらいに行くよー。美紅ともそういう話になってる”
“さやとななちゃん、同じクラスだっけ?”
“そだよー。二年になってもクラス離れなかったから七海がすっごい喜んでた”
ルカの妹、清華とゆかりの一人娘七海は同じ中学二年生。ゆかりは「狙った」ってよく話していたが、娘同士が同級生になったことを、美紅もとても喜んでいたのをルカも覚えている。
ルカが六年生の時は、一年生二人を連れて学校に行っていたし。
ルカにとっても双子のような妹たちである。
“そー言えば。るーちゃんに何かお礼しようと思ってたんだけど”
お礼?
何のことかわからず、ハテナなスタンプを送る。
“若い男の子が何欲しいのか。なんてあたしにはわかんなくて。るーちゃん、何欲しい?”
“いや、お礼って。何のこと?”
“お洋服とか、かなー?”
ゆかりがルカの問いをスルーしたので、ルカが再びハテナのスタンプ。
“デート、してくれたでしょ。そのお礼だよ”
そう、ゆかりはそういう人なのだ。
いつも誕生日プレゼントなんて貰っていて、貰うばかりだと悪いからと欲しいものを聞いた時、だったらデートしてよと言われ、ここ数年ゆかりの誕生日には二人で出かける。しかもゆかりのおごりで、というわけのわからないプレゼントになっていて。
結局ゆかりはルカを頼ることをしてくれないのだ。
今回のことも、そんなのお礼なんてしてもらうことじゃなくて、自分がしたくてしたことで。
だから何もいらないから! と、突っ込みかけて。一つ。思いつく。
“だったらさ、今日これからデートしよ?”
そうだ。だったら逆に、甘えてやろう。
咄嗟にそう思って、ルカがメッセージを入れると。
“えー!?”
驚いているスタンプが返って来る。
“次、二限目は友達に代返頼めるからさ、この授業終わったら迎えに行くよ”
“ダメだよ!”
“いーの、いーの。でさ、ゆかりちゃん車貸してよ。俺が運転するからどっか行こ。そんで、ランチおごってよ。お昼一緒に食べたらななちゃんの学校まで送るから”
ちょっと緊張しながらも、努めて軽く。ルカはメッセージを送った。
せっかくだから、ゆかりに甘えてみようと。
そしてメッセージはすぐに既読になる。
でも、返事がない。
自分でも、焦っていた。今まで、ルカからこんな風に強引に誘ったことはなくて。
いつもいつも、誘ってくれるのはゆかりの方だから。
でもこれくらい、いいよな? 重く、取らないで欲しい。
“いーのかなー。美紅にバレたらあたしが怒られちゃうよー”
あ、良かった。予想通りの方向に悩んでくれていた返事で。
“ゆかりちゃんが言わなきゃ、バレない!”
嬉しくなって、いつものように軽いメッセージを送って。
ゆかりからの“OK”スタンプに、ルカは小さくガッツポーズをした。
“学校出るときに連絡するから。おごって貰うからゆかりちゃんのオススメのお店、考えといて”
授業も朝からちゃんと受けるし、出された課題もきっちりこなしているし。
自分で行きたいと望んで進んだ大学生活で、学びたいからここにいるのである。
が。しかし。
たとえどんなに真面目な人間でも、そこは十代の遊びたい盛りのオトコノコである。
昨夜、課題が終わって気まぐれにオンラインゲームなんぞ開いてみたら、偶然坂本もログインしていたせいでやたらと盛り上がってしまい、結果夜中三時頃の記憶を最後に寝落ちしてしまうという、稀にみるやらかしをしてしまったせいで、今現在睡魔と格闘中。
朝一番一コマ目、大部屋、一般教養の英語、しかも睡眠不足。
この、どうしようもない状況の中、坂本なんて既に隣で爆睡中である。
どんなに真面目人間なルカでも、この状況であくびの一つも出ないなんてあり得ないわけで。
まじくそきつい。
内心独り言ちて机に突っ伏しそうになった瞬間、マナーモードにしていた携帯が光り、メッセージが表示された。
“この間はありがとう、助かったよ”
というそれの発信者はゆかりで。
一気に覚醒する。
“それはいいけど、どしたの、こんな時間に?”
平日の十時前なんて、会社員がメッセージ入れられるような時間じゃないと思い、ルカが返した。
“あ。ごめん、るーちゃん授業中?”
“うん。けどそれは大丈夫。
てゆーか、ゆかりちゃん今日お休み?”
“今日ねー、七海の授業参観あるから休んだの。最初は昼からしか休めないと思ってたんだけど、ちょうど一段落したトコだったから、えいって一日有給取っちゃった”
ゆかりのメッセージを読んで、あーそういえば美紅も清華の参観日があると言っていたな、と思い出す。
“まさか休めると思ってなかったから美紅も午前中はパート出てるみたいだし、久しぶりにまったりしてるよー。あ、けどるーちゃん暇じゃないよね”
ごめんなさい、なスタンプが来る。
“大部屋だからラインは余裕”
“えー。いっけないんだー。美紅にバレたら怒られるよー”
文面が、文章と違ってのほほんとしてる様子。ゆかりがクスクスと笑いながら喋ってる感じが伝わってくる。
“ゆかりちゃんが言わなかったらバレないし”
“悪いコねー。あ、でもあたしが授業の邪魔しちゃいけないね”
“いや。眠くてしょーがないから、ゆかりちゃんが寝ないように見張ってて”
“見張るって?”
“このまま喋っててよ。専門的な授業は楽しいけど、一般教養は眠い”
眠ってるスタンプ入れて。
“わかるー。あたしも大部屋はよく寝てたー”
ゆかりも、某国立大学の出身なので、この気持ちはわかって貰える。
“参観日。何時から?”
“五時間目だから、二時くらいに行くよー。美紅ともそういう話になってる”
“さやとななちゃん、同じクラスだっけ?”
“そだよー。二年になってもクラス離れなかったから七海がすっごい喜んでた”
ルカの妹、清華とゆかりの一人娘七海は同じ中学二年生。ゆかりは「狙った」ってよく話していたが、娘同士が同級生になったことを、美紅もとても喜んでいたのをルカも覚えている。
ルカが六年生の時は、一年生二人を連れて学校に行っていたし。
ルカにとっても双子のような妹たちである。
“そー言えば。るーちゃんに何かお礼しようと思ってたんだけど”
お礼?
何のことかわからず、ハテナなスタンプを送る。
“若い男の子が何欲しいのか。なんてあたしにはわかんなくて。るーちゃん、何欲しい?”
“いや、お礼って。何のこと?”
“お洋服とか、かなー?”
ゆかりがルカの問いをスルーしたので、ルカが再びハテナのスタンプ。
“デート、してくれたでしょ。そのお礼だよ”
そう、ゆかりはそういう人なのだ。
いつも誕生日プレゼントなんて貰っていて、貰うばかりだと悪いからと欲しいものを聞いた時、だったらデートしてよと言われ、ここ数年ゆかりの誕生日には二人で出かける。しかもゆかりのおごりで、というわけのわからないプレゼントになっていて。
結局ゆかりはルカを頼ることをしてくれないのだ。
今回のことも、そんなのお礼なんてしてもらうことじゃなくて、自分がしたくてしたことで。
だから何もいらないから! と、突っ込みかけて。一つ。思いつく。
“だったらさ、今日これからデートしよ?”
そうだ。だったら逆に、甘えてやろう。
咄嗟にそう思って、ルカがメッセージを入れると。
“えー!?”
驚いているスタンプが返って来る。
“次、二限目は友達に代返頼めるからさ、この授業終わったら迎えに行くよ”
“ダメだよ!”
“いーの、いーの。でさ、ゆかりちゃん車貸してよ。俺が運転するからどっか行こ。そんで、ランチおごってよ。お昼一緒に食べたらななちゃんの学校まで送るから”
ちょっと緊張しながらも、努めて軽く。ルカはメッセージを送った。
せっかくだから、ゆかりに甘えてみようと。
そしてメッセージはすぐに既読になる。
でも、返事がない。
自分でも、焦っていた。今まで、ルカからこんな風に強引に誘ったことはなくて。
いつもいつも、誘ってくれるのはゆかりの方だから。
でもこれくらい、いいよな? 重く、取らないで欲しい。
“いーのかなー。美紅にバレたらあたしが怒られちゃうよー”
あ、良かった。予想通りの方向に悩んでくれていた返事で。
“ゆかりちゃんが言わなきゃ、バレない!”
嬉しくなって、いつものように軽いメッセージを送って。
ゆかりからの“OK”スタンプに、ルカは小さくガッツポーズをした。
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