キュートな悪魔の甘い蜜

月那

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 完全に、溺れている。

 という自覚が、律にはあった。
 抱いても抱いても、全然飽きない体。
 細くて、小さくて、可愛くて、フワフワで、でも絶対に掴めない、愛し過ぎる存在。

 鹿倉を意識するまでは、ずっと、女だけ抱いてきたのに。
 鹿倉よりずっと柔らかな体ばかり、抱いて来たのに。
 鹿倉よりずっと御しやすい、自分のことだけを見てくれる女ばっか、抱いて来たのに。

 いつの間にか、鹿倉の虜になっていた。

 くるくる変わる表情、目だけで誘うのに、手の中をするすると逃げて行く。
 翻弄されているのも、ちゃんと自覚しているのに。
 自分だけのモノにしたくて、堪らないのに。
 いつだって、どこかで誰かに抱かれている、悪魔のような鹿倉。

 なのに。
 どうしても、欲しい。

 そして今夜も。
 腕の中で善がらせて、抱き潰してしまうまで啼かせて。
 耳元に愛を囁いて、奥の奥に楔を打ち込んで。

「俺のモノに、なれよ」
 心の中で、呟く。

 けれども鹿倉の喘ぎ声が、決してそれに宜わない。
 こんなにも悦んでいるのに? 
 散々イかせて、もう何も出ないと涙を流して寄りかかってきて、それでもキスを強請るのに?

 なんて恐ろしい存在なんだろうと、思う。
 だってもう、この体を知っている自分は他の何物も代替えできないのに。

 鹿倉のナカ程気持ちのイイ場所なんてない。
 鹿倉のキス程、甘い食べ物なんて、他にない。
 鹿倉の肌程、抱き心地のいい毛布なんて、ないんだ。
 他に、何も、替えられないんだ。

 結局。
 律は今夜もまた、鹿倉の意識が薄れるまで抱いて、その柔らかな体を抱きしめて眠った。

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