2 / 9
-2-
しおりを挟む
「りつー。えっちしよー」
どこぞのトレンディドラマ的なセリフで、鹿倉が律にキスをしてきたのは、半分仕事の時間。
「かぐちゃん!」
二人きり、という状況ではあるが。
堀案件の絡みで古い旅館に泊まりで出張、なんて美味しい状況ではあるが、そうは言っても何故ここに泊まるかというのは勿論、仕事の為で。
以前ここに泊まった堀が、鹿倉が広い和室で一人で寝るのは嫌がるから、三人まとめて一部屋で寝られるように手配しておいた、と言ったのは一週間前。
律、鹿倉と戸波の三人で当たっていた仕事だったので、当然三人で一緒に泊まる予定だったのだが、急遽田村の業務で戸波も引っ張られることになり、律にとっては嬉し恥ずかし二人でお泊まりという状況になってしまったわけだ。
「いいじゃん、戸波っちいないしー」
打合せが終わり、そのまま用意されていた食事――とは言えそこでも当然仕事の話をしていたのだが――を終えるとあとは「ゆっくりされて下さいねー」と言われて部屋に通された。
一応、VIP待遇らしく部屋にはちゃんと露天風呂まで完備されているし、広い部屋には大きな布団が三組敷かれているわけだが。
「なこと、言われても。いつ中津さんが入ってくるかわかんねーだろ」
従業員がいろいろと世話を焼いてくれるのがわかるので、イマイチ二人きりになれている気になれなくて。
律は手を出したい気持ちと、冷静に“今はまだ仕事”なんて意識とが綯い交ぜになって、鹿倉のキスに応えられずにいた。
「入ってくるわけねーじゃん。も、こっから先は時間外。ふっつーに客としてタンノーしちゃえばいいってことじゃん」
「あ……ま、そうか。客としての、感想、欲しいよな」
「でしょ? したら、ふっつーのお客様んトコ、ずかずか入って来ないよ」
だから、えっち、しよ。
なんて、目が、言ってる。
鹿倉の可愛くて、一番怖いトコ。
それはもう、セックスに関するスイッチが入ってしまえば、それにこっちが全く抗えなくなる魅力。いや、それはもはや魔力か。
布団に、ぼす、と押し倒される。
そのまま、上から濃厚なキスが降ってくる。
丸い目が細められ、心の底から“欲しい”と言っていて。
「畳にお布団でえっち、って、たまんないねー」
無邪気にくふくふ笑いながら、唇の間でそんなことを言う。
そんなことをされて、律の理性が保てるわけがなく。
下からその小さな頭を抱き寄せて、唇を合わせて舌を潜り込ませる。
鹿倉の力がなくなるまで、口の中を貪って。
自分の上に寄りかかって来た小さな体を抱きしめた。
「重くない?」
「平気」
日頃、何のために鍛えてるってもう、鹿倉を抱くようになってからは、そのためだけ、と言ってもいいくらいで。
どうやって鹿倉を善がらせるか。
どんな体位でも気持ちイイと言わせるためには、どんな筋肉も鍛えてやる、なんて妙な方向に筋トレの目的が向かっているのは、自覚している。
ある意味、今までの無目的な筋トレより、全然意味がある。
なんて、自分でもちょっと変態ちっくだな、と笑えるけど。
律は自分の上に鹿倉を載せたまま、鹿倉を裸にする。
どこぞのトレンディドラマ的なセリフで、鹿倉が律にキスをしてきたのは、半分仕事の時間。
「かぐちゃん!」
二人きり、という状況ではあるが。
堀案件の絡みで古い旅館に泊まりで出張、なんて美味しい状況ではあるが、そうは言っても何故ここに泊まるかというのは勿論、仕事の為で。
以前ここに泊まった堀が、鹿倉が広い和室で一人で寝るのは嫌がるから、三人まとめて一部屋で寝られるように手配しておいた、と言ったのは一週間前。
律、鹿倉と戸波の三人で当たっていた仕事だったので、当然三人で一緒に泊まる予定だったのだが、急遽田村の業務で戸波も引っ張られることになり、律にとっては嬉し恥ずかし二人でお泊まりという状況になってしまったわけだ。
「いいじゃん、戸波っちいないしー」
打合せが終わり、そのまま用意されていた食事――とは言えそこでも当然仕事の話をしていたのだが――を終えるとあとは「ゆっくりされて下さいねー」と言われて部屋に通された。
一応、VIP待遇らしく部屋にはちゃんと露天風呂まで完備されているし、広い部屋には大きな布団が三組敷かれているわけだが。
「なこと、言われても。いつ中津さんが入ってくるかわかんねーだろ」
従業員がいろいろと世話を焼いてくれるのがわかるので、イマイチ二人きりになれている気になれなくて。
律は手を出したい気持ちと、冷静に“今はまだ仕事”なんて意識とが綯い交ぜになって、鹿倉のキスに応えられずにいた。
「入ってくるわけねーじゃん。も、こっから先は時間外。ふっつーに客としてタンノーしちゃえばいいってことじゃん」
「あ……ま、そうか。客としての、感想、欲しいよな」
「でしょ? したら、ふっつーのお客様んトコ、ずかずか入って来ないよ」
だから、えっち、しよ。
なんて、目が、言ってる。
鹿倉の可愛くて、一番怖いトコ。
それはもう、セックスに関するスイッチが入ってしまえば、それにこっちが全く抗えなくなる魅力。いや、それはもはや魔力か。
布団に、ぼす、と押し倒される。
そのまま、上から濃厚なキスが降ってくる。
丸い目が細められ、心の底から“欲しい”と言っていて。
「畳にお布団でえっち、って、たまんないねー」
無邪気にくふくふ笑いながら、唇の間でそんなことを言う。
そんなことをされて、律の理性が保てるわけがなく。
下からその小さな頭を抱き寄せて、唇を合わせて舌を潜り込ませる。
鹿倉の力がなくなるまで、口の中を貪って。
自分の上に寄りかかって来た小さな体を抱きしめた。
「重くない?」
「平気」
日頃、何のために鍛えてるってもう、鹿倉を抱くようになってからは、そのためだけ、と言ってもいいくらいで。
どうやって鹿倉を善がらせるか。
どんな体位でも気持ちイイと言わせるためには、どんな筋肉も鍛えてやる、なんて妙な方向に筋トレの目的が向かっているのは、自覚している。
ある意味、今までの無目的な筋トレより、全然意味がある。
なんて、自分でもちょっと変態ちっくだな、と笑えるけど。
律は自分の上に鹿倉を載せたまま、鹿倉を裸にする。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる