キュートな悪魔の甘い蜜

月那

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「……あ……り、つ?」
ふっと鹿倉の目の焦点が合った。
「あ、あれ? ……あ、俺……あれ?」
「かぐちゃん、大丈夫?」
「え……あれ、何か俺、変なこと、ゆった?」
 目を白黒させて、鹿倉が言う。

「うん、ずっとなんか、変だった」
「……こ、こっわ。こわっ! あーもう! やっぱこの旅館ヤバいって!」

 鹿倉の声が、いつものちゃんとした声になって。
 目の色が、元に戻った。
 いつもの、キャラメル色に輝く、少しだけ潤んだ目。
 律を虜にする、鹿倉のくるくるした、目。
 やっと、戻って来た。
 でも。やっぱ、ってどゆこと?

「前、堀さんと来た時もヤバかったんだってば。俺、一人で部屋いたらなんか、とにかく気持ち悪くなっちゃって。怖くなったから堀さんトコ、逃げたんだよ」
「……まじで?」
「まじで! も、めちゃくちゃ怖いし。でも、堀さんと一緒に寝たら全然大丈夫だったし、今回律一緒だし、全然大丈夫って思ったのに!」

 その表情も言葉も、全然嘘が見えない。
 いやもちろん、鹿倉が平然と嘘を吐くコだってことはわかっているけれど。
 でも、さっきのあの表情が嘘だったとは思えないし。
 あまりにもおかしな様子を呈していて、今の、このいつもの鹿倉では、明らかになかったから。
 ……ていやまて。ちょっと、待て。
 じゃなくて。いや、勿論それはそれで気になるが。
 ……堀さんと、一緒に、寝たのか?

「もお、やだー。今回も、ほんとはちょっと怖かったけど、律といっぱいセックスしたらそのまま寝られると思ってたのに」
「堀さんと、寝たの?」
 そっちの内容も気にははるけど、今の律にはこっちの方が気になるわけで。

「あー、もお。なんだろ。律は何ともないんだよね?」
「あ、うん。全然。てか堀さんと」
「俺だけー? まじ、何なん?」
 堀さんの話をしたい。のに、一切受け付ける気はないらしい。

「あのお、かぐちゃん?」
「律、律。も、とにかくいっぱいヤろ! も、俺なんも考えないでいいくらい、抱き潰して」
「……おまえ、とんでもなく単純にエロいな」
「だって、怖いじゃん!」
「そりゃ、別にいっくらでも抱いてやるけど」
 そう言った瞬間、鹿倉がキスをしてきた。
 噛みつくように。
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