9 / 9
-9-
しおりを挟む
で、当然それが引き金になるから、流されるようにヤってしまったけど。
しかも鹿倉が求めるから、とにかく息吐く間もなく、というまさに“抱き潰す”勢いで。
でも。
鹿倉が疲れ果てて寝息をたて始めて、その体をやわやわと抱きながら、思う。
いや、考えるべきことは二点、ある。
堀さんと、寝た、という事実。これがリアルにただ眠っただけというヤツならまだ、いい。
でも、あの堀さんが……いや、あの堀さんだしな。
無類の女好きと言われる堀さんが、男である鹿倉を抱くか?
抱かないだろう。
……否、そうとは言い切れない。
だって。
自分だってそうだから。
まさか、自分が女じゃない鹿倉を抱くことになるなんて、思いもよらなかった。
それなのにこの腕の中に眠る悪魔のような天使は、こんな女好きな自分を虜にしてしまったわけで。
じゃあ、堀さんだって。
ダメだ。想像できるだけに、怖すぎる。
こんなこと、考えていたら堀さんのことがまともに見れなくなる。
だからやめよう。うん。
そしてもう一点。
あの、焦点の合わない目でぶつぶつと呪文のように何かを言っていた鹿倉は、あれは何だったんだ?
姉の旦那を寝取ろうとした、って?
まさかそんな、かぐちゃんがそんなこと、するわけない。
でも。
鹿倉のあの、魔力のような色気で迫られたら?
妻帯者とて、抗えなくなる可能性は、無きにしも非ず。
いやでも、鹿倉はこの間“ちょっと実家帰ってくる”なんて、けろっと帰省してお土産まで買って帰ってくれて。
そんな実姉とトラブルがあるような雰囲気ではなかったし。
もうわからん。
何がなんだか、さっぱりわからん。
堀さんの件も、呪文の件も、鹿倉にゆっくり話を訊きたいのに。
あーでも。
この小悪魔が、自分に都合の悪い話をまともにするわけがないし。
くふくふ笑って、綺麗に嘘ついて、そんで色気を振りまいてえっちに逃げるんだ。
もう、間違いない。
律は腕の中に眠る、愛しい悪魔を見つめた。
そうされるのが当たり前な形で、腕の中に収まる。
白い肩を撫でると、安心したように口角が上がって。
頬にキス。瞼にキス。鼻にキス。唇にキス。
あー、もう。
だめだ。可愛いしかない。
しょーがない、惚れた弱みだ。
この悪魔に、付き合ってやる。
もういいよ。どこで何やってんのか、もー知らん。
とにかくこの腕の中で眠る時だけは、間違いなく俺のモンだ。
誰にも渡さん! 悪魔だろうが、悪霊だろうが、かかってこい。
絶対に指一本触れさせない。
これは、俺のモノだ!
少なくとも、俺の前でだけは俺のモノだ。
ぎゅっと抱きしめて。
いろんな疑問を押しやって、律はやっと眠りについた。
しかも鹿倉が求めるから、とにかく息吐く間もなく、というまさに“抱き潰す”勢いで。
でも。
鹿倉が疲れ果てて寝息をたて始めて、その体をやわやわと抱きながら、思う。
いや、考えるべきことは二点、ある。
堀さんと、寝た、という事実。これがリアルにただ眠っただけというヤツならまだ、いい。
でも、あの堀さんが……いや、あの堀さんだしな。
無類の女好きと言われる堀さんが、男である鹿倉を抱くか?
抱かないだろう。
……否、そうとは言い切れない。
だって。
自分だってそうだから。
まさか、自分が女じゃない鹿倉を抱くことになるなんて、思いもよらなかった。
それなのにこの腕の中に眠る悪魔のような天使は、こんな女好きな自分を虜にしてしまったわけで。
じゃあ、堀さんだって。
ダメだ。想像できるだけに、怖すぎる。
こんなこと、考えていたら堀さんのことがまともに見れなくなる。
だからやめよう。うん。
そしてもう一点。
あの、焦点の合わない目でぶつぶつと呪文のように何かを言っていた鹿倉は、あれは何だったんだ?
姉の旦那を寝取ろうとした、って?
まさかそんな、かぐちゃんがそんなこと、するわけない。
でも。
鹿倉のあの、魔力のような色気で迫られたら?
妻帯者とて、抗えなくなる可能性は、無きにしも非ず。
いやでも、鹿倉はこの間“ちょっと実家帰ってくる”なんて、けろっと帰省してお土産まで買って帰ってくれて。
そんな実姉とトラブルがあるような雰囲気ではなかったし。
もうわからん。
何がなんだか、さっぱりわからん。
堀さんの件も、呪文の件も、鹿倉にゆっくり話を訊きたいのに。
あーでも。
この小悪魔が、自分に都合の悪い話をまともにするわけがないし。
くふくふ笑って、綺麗に嘘ついて、そんで色気を振りまいてえっちに逃げるんだ。
もう、間違いない。
律は腕の中に眠る、愛しい悪魔を見つめた。
そうされるのが当たり前な形で、腕の中に収まる。
白い肩を撫でると、安心したように口角が上がって。
頬にキス。瞼にキス。鼻にキス。唇にキス。
あー、もう。
だめだ。可愛いしかない。
しょーがない、惚れた弱みだ。
この悪魔に、付き合ってやる。
もういいよ。どこで何やってんのか、もー知らん。
とにかくこの腕の中で眠る時だけは、間違いなく俺のモンだ。
誰にも渡さん! 悪魔だろうが、悪霊だろうが、かかってこい。
絶対に指一本触れさせない。
これは、俺のモノだ!
少なくとも、俺の前でだけは俺のモノだ。
ぎゅっと抱きしめて。
いろんな疑問を押しやって、律はやっと眠りについた。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ありがとうございます。
鹿倉のトラウマについてのお話も改めてアップする予定なのでまたよろしくお願いいたします。