童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

Another episode 4

「おい、起きろ優」
眠る僕を起こす声。
いつも聴いている聴き慣れた声。
僕は目を覚ました。目の前にはヤスさんの姿があった。

「やっと起きたのか？　寝坊助だな優は」
と頭を撫でるヤスさん。
なんか今日は特に優しい気がする。

「本当に困った奥さんだ。なぁ、お前もそう思うだろ」
とヤスさんの手は頭から別の場所に移り、僕のお腹を触った。

どうしてお腹を触るのだろう。
寝ぼけた頭で考えても答えは出ない。

それに誰に言ってるんだろう。
お前と呼んでいたのはだろなんだろう。
と疑問に思った。

「どうした、ぼんやりして？　体調でも悪いのか？」

今日のヤスさんはものすごく優しい。
こんなの初めてだった。

「大丈夫だよ」

「そうか？　もう心配させるなよ。お前の体はもうお前だけのものじゃないんだからな」

お前だけのものじゃない？
そう言われて、ヤスさんの手が置いてある所をみた。

そこには、大きくなった僕のお腹があった。

「えっ、なにこれ」

戸惑う僕にヤスさんは不思議そうな顔でこちらを見ている。

「どうしたんだ？　そんな驚いた顔をして」

「いや、だってお腹が……」

「大きくなってるのか？昨日よりも？」

「うん、いや、大きくなってる。大きすぎるよ、まるで妊娠しているみたいに」

「なにを言っているんだ？　妊娠してるみたいじゃなくて、妊娠してるんじゃないか」

「えっ……」

僕はどまどいを隠せなかった。
妊娠している。僕が？
男の僕が妊娠している？

「俺とお前の赤ちゃんだろ」

そう言って、ヤスさんは僕にキスをした。
お腹を摩りながら。

あぁ、そっか、僕本当に妊娠しちゃったんだ。
男なのに……

「優、俺は嬉しいよ。お前と赤ちゃんができて」

僕はとうとうヤスさんに孕まされちゃったんだ……

「僕も嬉しいです」

僕は自分でもお腹をさすった。
すると、お腹の中にヤスさんの赤ちゃんがいる。
そう感じた。
不思議な感覚。
僕の体に新しい命がある。

ヤスさんが優しく抱きしめてくれる。
暖かい。
これが幸せなんだ。

高揚感と安心感に包まれる。
安らかな気持ち。
母親になるってこう言う事なんだ。家族になるってこう言う気持ちなんだ。

普通の男では感じる事のできなかった安心感に僕は、包まれていた。

「ヤスさん」

「なんだ、優」

「僕、幸せです」

「あぁ、俺もだ」

隣で抱いてくれるヤスさん。
お腹の中の赤ちゃん。
小さな部屋でも触れ合う事を幸せに感じる。
暖かさがまた、僕を眠りに誘う。

「どうした？　また寝るのか？」

「うん」

大好きな男性の胸で僕はまた眠りについた。

「幸せな顔をしてやがる」

ヤスさんの優しい声が眠る僕にささやいた。