57 / 58
第四章 目覚める才能
第13話 小手調べ
しおりを挟む
ビュン!
「あ、痛あ!」
背中に何か固いものがぶつかって、少し痛みを覚える。しばらく背中をさすった後、私は目を開けて周囲を見渡す。
「!」
私は驚いた。ここは室内じゃない。さっきまでいたような密閉された閉鎖空間じゃない。屋外で、しかもただの屋外じゃない。地面が見えない。背景の山のてっぺんが近くに見える。
「空の・・・上?」
私が自分で今の状況を認識させるようにはんすうすると、空から聞き覚えのある声がした。顔を上空に上げる。
「やあ、新人のゲスト君」
「!」
石園さん。いや、石園さんを操っている怪魔、と言った方が正しいか。彼は目に見えない不思議なスピーカーから、私に声を送っているようだ。その証拠に、喋った時にマイクを介したようなノイズが聞こえてくる。声の主は続きを話す。
「ここはメテスマのステージの一つ、『天空のバトルロイヤル』。彼の得意なステージだ。ここでお前の力試しをさせてもらおう」
「へ?力試し?」
「力試し?」
隣にいる近衛は、怪魔の言葉を繰り返す。それとほぼ同時に、矢代も全く同じ言葉を口にした。
ここは、いつも私が任務中の幻魔達を見守るモニター室だ。彼女達を送り出す転送室の隣にある。そこで私と近衛は、矢代の様子を企業秘密の小型カメラを介して眺めていた。ただ私が身を乗り出してモニターに張り付いているのに対して、近衛はすぐ近くのローラー付きの椅子をぐるぐる回しながら、たまにチラチラと画面を見ている。
発言のタイミングが合うのは、流石親友なんだなと思いながら、俺とヴァンにも同じようなことがあっただろうかと考えた。しかしすぐに思い出せず、記憶を探るのをやめた。
画面の中の目に見えない敵はゲームマスターがゲームの解説をするかのように説明をする。
「今から彼がお気に入りの最強キャラを召喚する。それを倒せたら次のステージに進める。お前が課題をクリアし、最終ステージまでつけたら俺と戦ってやる。このステージの勝敗の決め方は簡単。場外に落とすこと。2回落とすことができたらクリアだ。・・・ただし、お前が2回落ちたらゲームオーバー。落下判定がされた瞬間、お前の体は・・・・ボオン!!だ」
不快になるほど楽しげに擬音語を発する。それに眉をひそめたのは画面の中も外も同じだ。
「安心しろ。そのキャラクターには何の仕込みはしていない。正真正銘、正規のプログラムで動いている。お前には才能があるからな。退屈させないでくれよ」
逆に言えば、自分が弱いと思ったプレーヤーには問答無用でチートを使っていたのだ。弱いやつだけ狙うとは、卑怯にも程があるな。
「・・・つまり、もし私が期待外れだったら、そのチートで瞬殺するわけ?」
「あったりまえだろ!」
本気でそう思っているようだった。その発言に矢代は険しく表情を変えた。近衛は私の隣で、なっ・・・?と小さく怒りを滲み出している。拳が汗を滲ませて震えていた。何となくの予想だが、もし任務の受注者が彼女だったら、ここで手を出していただろう。対して矢代はまだ動かない。ここで攻撃しようとしても相手がいないからだ。
怪魔の卑劣な発言は続く。
「最近のeスポーツ界はぬりいんだよ。イケメンだったり、動画サイトで人気だからって実力もないくせに世界大会のアンバサダー?日本eスポーツ界の新星?バカじゃん。今この界隈に必要なのは、力。圧倒的な力。誰もが俺にひれ伏し、崇める。強大な力だよ!」
まるでテンプレートのような悪役のセリフを力強く吐く。近衛は額にも汗を流している。顔は俯いていてよく見えなかったが、歯を軋ませている音はした。
「・・・」
そんな悪霊に対峙する矢代は、拳を握り直し空に向けていた顔を元に戻す。
「あなたの言い分は分かった。でも共感はしない」
「・・・ん?」
「え?」
怪魔と近衛が声を合わせる。こいつは超能力者なのかと思うくらいいつもタイミングがぴったりだ。
矢代は自分のいた場所から武舞台の中央に向かって歩きながら、怪魔に語りかけた。
「確かに私も時々、全く知らない芸人さんとかがゲームして馬鹿騒ぎしたり、歌い手グループがよく知らないイベントに呼ばれたりで、突っ込みたい時もあるけど・・・」
私は一応のため近衛の方を向いて尋ねた。
「そうなのか?」
すると彼女は首を縦に振り、私にこう教えてくれた。
「はい。加奈の好きな歌い手グループに、『サマーオレンジ』・・・通称サマレンって言うんですけど・・・。先週、その人たちが、『バスターズナイン』というゲームとコラボして、公式大会にも出るって告知があったんです。でもそれまで歌一筋のグループで、おまけにグループの5人のうち、3人は全くの未経験だったので、界隈で解釈の食い違いがあったんです。加奈も、『なんでユウ君が苦手って言ってたシューティングとコラボするんだ!』って少しキレてましたw。そのユウ君が加奈の最推しです」
「・・・私には、その最推しというのがよく分からないのだが・・・タイムリーでそんなことがあったんだな」
「まあ、だからこそその部分は共感できたんでしょうね」
彼女は苦笑いを浮かべながらを目線を画面に戻す。
私もそれに倣って画面の方に顔を向ける。私達が話している間に矢代はもう戦いを始めようとしていた。
・・・そうだ、今日のログイン忘れてた。後でこっそり抜けてインだけしようか・・・。
私は彼の暴論にあえて乗らず、どうにか平静を保つ。由紀ちゃんだったらキレてただろうな。私は彼が私を見ている場所であろう空に向かって、笑いながらこう言ってやった。
「最弱が最強になることだってある。今から私が、それを証明してあげるよ」
「・・・よほど自分の才能に酔ってるみたいだな。いいぞ、努力だけじゃどうにもならない壁というのを、その身で体験するがいいさ」
バシュン!
私の正面から瞬間移動したような効果音が聞こえ、そこに目をむける。そこには、一人の顔も体もすごくイカつい武闘家がいた。そういえばCMにこんなやついたな、と思い出した。
「シリウス。このゲームの最強キャラ。パワーも防御も申し分なく、高レートのプレーヤー達に挑もうとすると、九割の確率でコイツを使ってくる。最強コンボである『狼翔拳』は上級者向きな高度な技だが、成功した場合、チート無しでも確実に敵を狩ることが出来る。どうだ?コイツの気迫は」
彼の説明通り、これまでの敵とはまた違った威圧を感じる。指の先まで鳥肌がたった。冷や汗もかいてる。
「・・・」
強者は多くを語らないとよく言うが、その言葉通り彼は何も言わず、ただ私を睨みつけている。
「どうだ?彼のパワーが分かっただろう?」
正直ここまで圧倒されるとは思わなかった。上には上がある。でも何だか、楽しみな気もした。ここでの最強を倒し、私が最強に成り変わる。別にここだけで戦ってるから、世間に何の影響もないし自己満足かもしれない。
「でも・・・こんなドキドキする人、余計力が見てみたくなった!」
そして私は、その場にジャンプしたり腕をぐるぐる回したりして体を慣らす。最後に一回ジャンプして、その間に足を広げ相手との距離を取る。最後の指を構えのポーズにして、準備完了だ。
「始めろ、シリウス」
彼がそう命令すると、シリウスも私と同じようにその場に構える。両者、臨戦体制はバッチリだ。
・・・2回落とせば勝ち。つまり、気絶はさせなくていい。どうにか端に誘導して落とせば、やれるかもしれない。でもさっきに言っていた最強コンボには注意しなきゃ。
「いけえ!!」
怪魔が叫んだ瞬間、敵は大きい体を真正面からぶつけようと襲ってくる。押し合いは確実に負ける。彼が私の体にぶつかる瞬間を見計らう。
・・・今だ!
私はジャンプして、巨体を回避する。危なかった。彼の腕を見ると、私を抱えようとしていたことが分かる。あんな手に捕まったら絶対放してもらえなかっただろう。避けて正解だった。
「・・・」
私は足元を見ながらあることを思いついた。離していた足をつけ、ドロップキックの準備をする。
ドン!
彼の背骨にキックは決まり、私は素早く彼の体の上を跳ねた。こうしないと彼の体の上で滑って、立ち直りが難しくなる。
「・・・っ!!」
ドロップの上に強い蹴りを喰らってびっくりしたのだろう。敵は腕を組んだまま前に倒れる。でも流石だ。1秒もしないうちに戻ってきた。振り返るのと体を回転させるのが、ほぼ同時に見える。
彼はそのまま腕を振り下ろし、武舞台の地面を打った。私の体には一ミリも当たっていないが、彼の放った衝撃波はヒリヒリと伝わる。
「うおっと」
・・・でも・・・、何だろう。そこまで強いか?今の衝撃波も、本当はこれで私を吹き飛ばすつもりだったんだろうけど、私が実際に動いたのは多分30センチもいっていない。
・・・もしかして、本当は弱い・・・?
「いや、そんなことないよね・・・」
私は前を向き直し、シリウスを待つ。彼は私をロックオンすると、大きな見た目に合わないほどめちゃくちゃ高速でこっちに向かってくる。流石に避けてばかりは何の展開もないし、相手の実力も見えない。私は彼の突進を真正面から受ける。彼は私に向かってパンチをしてくるが、腕で受け止める。それを皮切りに、連続で打撃が私を襲う。
「う・・・」
流石にこの重さに耐えきれず、後ろに下がる。ここぞとばかりに彼もスピードを上げてくる。
気づけば、武舞台の淵を踏んでいた。まずい。落とされる。・・・いや、あの技なら打開できるか・・・!
「ふ、もう落ちるのか。呆気ないな。・・・やれ、シリウス!」
「うおおお!!」
・・・・・・・。まだ、もう少し。あとちょっと。・・・よし!
「今だあ!」
バシュン!私は全神経を使って足腰に力を込める。そしてあまり高く飛ばないように膝を調節し。
「それっ!」
彼の頭上を跳ぶ。相手を私を見失って慌てている間に、張り手が失敗して前に倒れ始める。体が床につかないうちに!
「最初に落ちるのは・・・あなたです!」
骨を折る覚悟で大きく体を捻り、肘で彼の大きな背中を押した。
ドン!!!
「・・・っ!」
声にならない叫びの後、攻撃した場所を中心に衝撃波が起こる。痛みと波に押され私の目の前にあったはずの大きな体は、足場を降りて真っ逆さまに落ちて消えていった。
「・・・」
しばらくその空間は沈黙に満ちていた。
「何ですか、今の技!?」
私が矢代の戦いに夢中になっていたところに、隣の近衛が迫ってくる。
「・・・あれは竜王道式武術の一つ、『俊足の裡面打ち・瞬』。まず最初に前提の技があるというのに、いきなり応用技とは・・・」
「リュ、リュウオウドウ?」
「日本の武術には様々な流派があることは知っているだろう?」
「はい、空手も剣道も経験済みなので」
「幻魔の世界にも流派のようなものがあって、みんなそれぞれ自分に合う派を選んで修行する。その流派の中でも有名なものが、竜王堂派。日本が室町時代の頃に幻魔界に成立した道場で、独自の武術を展開していた。初心者でも掴みやすい動きや比較的簡単に技が完成できることが魅力となり、世間のファイターに広く知られるようになった。今の技、『俊足の裡面打ち』は初心者が最初に完成で息詰まる技だ」
『俊足の裡面打ち』は素早く相手の背後に回ってパンチやキックをする技だ。名前に瞬、と付いてる場合はそれを従来より素早く行う応用技である。普通と瞬の違いは、タイミングと微妙なスピードである。
ここで軽く幻魔と人間の速さの違いについて説明する。
人間の平均的な時速は12キロ。男性アスリートは2倍近くの23.7と言われている。幻魔は人間の限界の10から15倍以上の体力があり、その差は幻魔によって変わる。矢代は常人のおよそ12.5倍のステータスであった。人間の時速の限界は65キロと言われているので、矢代は最大でおよそ時速812.5キロメートルで走ることができる。これは日本で言うと、熊本県から長野県に一時間でいける速さである。常人では片道だけで一週間かかる距離を、二時間で往復できてしまう。これを秒速すると、約220メートル。とうに人間の肉眼の限界を越えるスピードだ。
少し長くなってしまったが、これで彼女がいかに速いか理解いただけただろう。
これを前提として矢代の技についてお話しできるが、流石に尺を取りすぎるので後回しにさせていただく。
「日本の竹内流とか堤宝山流みたいなものか・・・」
「普通の中学生からそんなワード出てこないだろうな・・・」
今近衛が挙げたのは、両方とも日本の柔道の流派である。中学生どころか大人でも聞かないだろう。
「あはは、そうでしょうねw」
「お前も知っての通り、矢代はフィジカルの面で君含めた他3人に劣っている。そんな彼女も会得できるよう竜王堂を選んだが・・・まさか自分で磨いてくるとは思わなかった。子供の向上心というのは恐ろしいな」
私がそう言うと、近衛は考えているような顔をしてそっぽを向いた。何か間違っていただろうかと思っていると、また彼女は親友のことについて話し始めた。画面の中からは体をぶつけ合う音がする。2回戦が始まっていた。
「・・・加奈の場合は、悔しいとか追いつきたいっていうのもあるかもしれませんね」
「追いつきたい・・・君達にかい?」
「そうです。加奈は自分の弱点をよく解っている。自分が私達より実力が下だということも。だからこそ加奈は私達より努力して、差を埋めようとする。昔、テストで私にどうしても勝ちたくて、テスト前日に勉強を徹夜でしていたことがありました。でも私に勝てなかった。その時、加奈は言ったんです。『由紀ちゃんはきっと、毎日毎日コツコツやってたから、ちゃんと点が取れたんだろうね。その差はどうしても埋められないって判ったよ』って。すごいですよね、小学生でこんなこと言うんだって今思いますよ」
そこで私は少し持っていた疑念が確信に変わったような気がした。
「・・・矢代にとっては、君が原動力なんだろうな。そして君はそんな彼女のことを、よく解っている」
「え?」
「修行の間の休憩中もな、ずーっと君の話ばっかりだった。君と行った場所、君と見た景色、君と話したこと。いろんなことを暇つぶしに話していた。君がかなりの金持ちの太っ腹だと言うことも。旅行に行くたびに皿を買うとは、流石に驚いた」
「ああっ!加奈、余計なことを・・・」
「でもすごく嬉しそうだった」
「へ?」
「今でも使ってるそうだぞ。君が彼女に譲った皿は。それから、こうも言った。『由紀ちゃんはすごいんです、私が簡単にできないことをやってのける。こないだ千代ちゃんを助けた時だって、そうじゃないですか。自分から敵に立ち向かって・・・。今私が肩を並べようとしても、きっと足手纏いになる。だから、私は今強くならなくちゃ』と」
すると彼女は顔を赤くして、再び戦う矢代の方に目をむける。そして言った。
「・・・本当、余計なんだから」
「へえ・・・よく落としたな。まさかあの状態からああ動くとは、予想外だ。だが・・・」
シュン!私の背後からリスポーンする音がする。再びシリウスが現れる。
「さあもう一回だ。まぐれじゃ、俺は納得しない」
「・・・」
私は体を反対側に向け、うおお!!と吠えるシリウスを見つめる。
「・・・分かった。やろう」
もう一度姿勢を整え、構える。今度は敵も本気を出したかのように、拳に力を入れる。うう・・・とうなる声が聞こえる。・・・流石にミームの悪魔みたいにはならないよね?あ、知らなくていいです。
「行け」
「がああっっ!!」
雄叫びを上げて襲いかかってくる。もしAI的なものがシリウスに含まれているとしたら、同じ手は食らわないだろう。もしまた私が寸前で避けても、先回りされる。だったら・・・何をしたらいい?ラリアットは体型的に無理だ。逆に私が飛ばされてしまう。
迷っている間に、彼はゼロ距離まで迫ってきていた。というか、さっきより異常にスピードが上がっている。やっぱりAIが入っているのか?そんなことを思っていたら_____。
「あぐっ!!?」
まずい。顔を掴まれた。大きな手のせいで目の前も見えない。このまま吹っ飛ばされるかと思った。
グン!!バキイッ!!
「うわあああ!!!」
武舞台の硬い地面が背中に強く打ちつけられる。同時に地面も割れていく。さらに・・・もう一回振り上げられ・・・、また叩きつけられる!!
「ううっっっ!!」
耳元で地面にヒビが入っていく音が聞こえる。しかも指の隙間から見える空が遠ざかっていくような気がする。
もしかして・・・このまま押し込んで?だとしたらもう逃げられない。と思ったけど、次の瞬間には手が離されていた。
よし!起き上がれる!!私はここぞと体を起こし、反撃に出ようとした。そう思った。
「!!?」
嘘でしょ。起き上がれない・・・!!体が重たい。なんだかまだ体を拘束されているみたい。確実に私を捕らえたシリウスは、私の足元でジャンプした。そして大きな靴の裏が私のみぞおちに直撃する!!
「うわあああ!!」
私の喉元に異変を感じる。最初は感じるだけだった。しかし彼はそれに飽き足らず、もう一度空を跳び鋭い踵がみぞおちに落ちてくる。
「ぎゃあ!!」
胃の中が気持ち悪くなる。これは確実に、胃の中を逆流させられている。!・・・まだ来るのか!!?
「うああっっ!!!」
私は我慢できず、とうとう酸っぱい唾と朝食のかけらが混じった液体を吐き出してしまった。
「はあっはあっはあっ・・・」
いつの間にか体の重みが消えていた。それでもお腹の痛みのせいで、動くのが苦しかった。その中でゆっくり横を向き、出しきれていない嘔吐物を吐く。
「かあっ・・・!」
口元を拭っている最中に、いつの間にか髪を縛っていたゴムが外れていたことに気づいた。まずい、こういう時って髪が邪魔になるのに。今度美容院に行ってきろうかな・・・。
「もう終わりか?」
天上から怪魔の声が聞こえてくる。私は首を上げようとするが、目が回って周囲をよく認識できない。
「シリウス。落とせ」
「うおおおお!!」
いつの間にか、しゃがみこむ私の胴を掴んでいる。
「!」
後ろに下がろうとしたが、力に押されて引き離せない。ダメだ・・・。一本取られた。
「うおおお!!」
彼は私の胴を放り上げ、そのまま縄投げのようにグルグル回す。
「うあああ・・・・」
私は頭も体も回され、もう気を失いそうだった。シリウスは私の力が抜かれたと知ると、ニヤッと笑って回転を止めた。と同時に、ぶわああん!!と大きく私を武舞台の外に放り投げた。
「・・・」
髪も服も乱れている私は・・・。遠ざかっていく空を最後に、気を失った______。
「あ、痛あ!」
背中に何か固いものがぶつかって、少し痛みを覚える。しばらく背中をさすった後、私は目を開けて周囲を見渡す。
「!」
私は驚いた。ここは室内じゃない。さっきまでいたような密閉された閉鎖空間じゃない。屋外で、しかもただの屋外じゃない。地面が見えない。背景の山のてっぺんが近くに見える。
「空の・・・上?」
私が自分で今の状況を認識させるようにはんすうすると、空から聞き覚えのある声がした。顔を上空に上げる。
「やあ、新人のゲスト君」
「!」
石園さん。いや、石園さんを操っている怪魔、と言った方が正しいか。彼は目に見えない不思議なスピーカーから、私に声を送っているようだ。その証拠に、喋った時にマイクを介したようなノイズが聞こえてくる。声の主は続きを話す。
「ここはメテスマのステージの一つ、『天空のバトルロイヤル』。彼の得意なステージだ。ここでお前の力試しをさせてもらおう」
「へ?力試し?」
「力試し?」
隣にいる近衛は、怪魔の言葉を繰り返す。それとほぼ同時に、矢代も全く同じ言葉を口にした。
ここは、いつも私が任務中の幻魔達を見守るモニター室だ。彼女達を送り出す転送室の隣にある。そこで私と近衛は、矢代の様子を企業秘密の小型カメラを介して眺めていた。ただ私が身を乗り出してモニターに張り付いているのに対して、近衛はすぐ近くのローラー付きの椅子をぐるぐる回しながら、たまにチラチラと画面を見ている。
発言のタイミングが合うのは、流石親友なんだなと思いながら、俺とヴァンにも同じようなことがあっただろうかと考えた。しかしすぐに思い出せず、記憶を探るのをやめた。
画面の中の目に見えない敵はゲームマスターがゲームの解説をするかのように説明をする。
「今から彼がお気に入りの最強キャラを召喚する。それを倒せたら次のステージに進める。お前が課題をクリアし、最終ステージまでつけたら俺と戦ってやる。このステージの勝敗の決め方は簡単。場外に落とすこと。2回落とすことができたらクリアだ。・・・ただし、お前が2回落ちたらゲームオーバー。落下判定がされた瞬間、お前の体は・・・・ボオン!!だ」
不快になるほど楽しげに擬音語を発する。それに眉をひそめたのは画面の中も外も同じだ。
「安心しろ。そのキャラクターには何の仕込みはしていない。正真正銘、正規のプログラムで動いている。お前には才能があるからな。退屈させないでくれよ」
逆に言えば、自分が弱いと思ったプレーヤーには問答無用でチートを使っていたのだ。弱いやつだけ狙うとは、卑怯にも程があるな。
「・・・つまり、もし私が期待外れだったら、そのチートで瞬殺するわけ?」
「あったりまえだろ!」
本気でそう思っているようだった。その発言に矢代は険しく表情を変えた。近衛は私の隣で、なっ・・・?と小さく怒りを滲み出している。拳が汗を滲ませて震えていた。何となくの予想だが、もし任務の受注者が彼女だったら、ここで手を出していただろう。対して矢代はまだ動かない。ここで攻撃しようとしても相手がいないからだ。
怪魔の卑劣な発言は続く。
「最近のeスポーツ界はぬりいんだよ。イケメンだったり、動画サイトで人気だからって実力もないくせに世界大会のアンバサダー?日本eスポーツ界の新星?バカじゃん。今この界隈に必要なのは、力。圧倒的な力。誰もが俺にひれ伏し、崇める。強大な力だよ!」
まるでテンプレートのような悪役のセリフを力強く吐く。近衛は額にも汗を流している。顔は俯いていてよく見えなかったが、歯を軋ませている音はした。
「・・・」
そんな悪霊に対峙する矢代は、拳を握り直し空に向けていた顔を元に戻す。
「あなたの言い分は分かった。でも共感はしない」
「・・・ん?」
「え?」
怪魔と近衛が声を合わせる。こいつは超能力者なのかと思うくらいいつもタイミングがぴったりだ。
矢代は自分のいた場所から武舞台の中央に向かって歩きながら、怪魔に語りかけた。
「確かに私も時々、全く知らない芸人さんとかがゲームして馬鹿騒ぎしたり、歌い手グループがよく知らないイベントに呼ばれたりで、突っ込みたい時もあるけど・・・」
私は一応のため近衛の方を向いて尋ねた。
「そうなのか?」
すると彼女は首を縦に振り、私にこう教えてくれた。
「はい。加奈の好きな歌い手グループに、『サマーオレンジ』・・・通称サマレンって言うんですけど・・・。先週、その人たちが、『バスターズナイン』というゲームとコラボして、公式大会にも出るって告知があったんです。でもそれまで歌一筋のグループで、おまけにグループの5人のうち、3人は全くの未経験だったので、界隈で解釈の食い違いがあったんです。加奈も、『なんでユウ君が苦手って言ってたシューティングとコラボするんだ!』って少しキレてましたw。そのユウ君が加奈の最推しです」
「・・・私には、その最推しというのがよく分からないのだが・・・タイムリーでそんなことがあったんだな」
「まあ、だからこそその部分は共感できたんでしょうね」
彼女は苦笑いを浮かべながらを目線を画面に戻す。
私もそれに倣って画面の方に顔を向ける。私達が話している間に矢代はもう戦いを始めようとしていた。
・・・そうだ、今日のログイン忘れてた。後でこっそり抜けてインだけしようか・・・。
私は彼の暴論にあえて乗らず、どうにか平静を保つ。由紀ちゃんだったらキレてただろうな。私は彼が私を見ている場所であろう空に向かって、笑いながらこう言ってやった。
「最弱が最強になることだってある。今から私が、それを証明してあげるよ」
「・・・よほど自分の才能に酔ってるみたいだな。いいぞ、努力だけじゃどうにもならない壁というのを、その身で体験するがいいさ」
バシュン!
私の正面から瞬間移動したような効果音が聞こえ、そこに目をむける。そこには、一人の顔も体もすごくイカつい武闘家がいた。そういえばCMにこんなやついたな、と思い出した。
「シリウス。このゲームの最強キャラ。パワーも防御も申し分なく、高レートのプレーヤー達に挑もうとすると、九割の確率でコイツを使ってくる。最強コンボである『狼翔拳』は上級者向きな高度な技だが、成功した場合、チート無しでも確実に敵を狩ることが出来る。どうだ?コイツの気迫は」
彼の説明通り、これまでの敵とはまた違った威圧を感じる。指の先まで鳥肌がたった。冷や汗もかいてる。
「・・・」
強者は多くを語らないとよく言うが、その言葉通り彼は何も言わず、ただ私を睨みつけている。
「どうだ?彼のパワーが分かっただろう?」
正直ここまで圧倒されるとは思わなかった。上には上がある。でも何だか、楽しみな気もした。ここでの最強を倒し、私が最強に成り変わる。別にここだけで戦ってるから、世間に何の影響もないし自己満足かもしれない。
「でも・・・こんなドキドキする人、余計力が見てみたくなった!」
そして私は、その場にジャンプしたり腕をぐるぐる回したりして体を慣らす。最後に一回ジャンプして、その間に足を広げ相手との距離を取る。最後の指を構えのポーズにして、準備完了だ。
「始めろ、シリウス」
彼がそう命令すると、シリウスも私と同じようにその場に構える。両者、臨戦体制はバッチリだ。
・・・2回落とせば勝ち。つまり、気絶はさせなくていい。どうにか端に誘導して落とせば、やれるかもしれない。でもさっきに言っていた最強コンボには注意しなきゃ。
「いけえ!!」
怪魔が叫んだ瞬間、敵は大きい体を真正面からぶつけようと襲ってくる。押し合いは確実に負ける。彼が私の体にぶつかる瞬間を見計らう。
・・・今だ!
私はジャンプして、巨体を回避する。危なかった。彼の腕を見ると、私を抱えようとしていたことが分かる。あんな手に捕まったら絶対放してもらえなかっただろう。避けて正解だった。
「・・・」
私は足元を見ながらあることを思いついた。離していた足をつけ、ドロップキックの準備をする。
ドン!
彼の背骨にキックは決まり、私は素早く彼の体の上を跳ねた。こうしないと彼の体の上で滑って、立ち直りが難しくなる。
「・・・っ!!」
ドロップの上に強い蹴りを喰らってびっくりしたのだろう。敵は腕を組んだまま前に倒れる。でも流石だ。1秒もしないうちに戻ってきた。振り返るのと体を回転させるのが、ほぼ同時に見える。
彼はそのまま腕を振り下ろし、武舞台の地面を打った。私の体には一ミリも当たっていないが、彼の放った衝撃波はヒリヒリと伝わる。
「うおっと」
・・・でも・・・、何だろう。そこまで強いか?今の衝撃波も、本当はこれで私を吹き飛ばすつもりだったんだろうけど、私が実際に動いたのは多分30センチもいっていない。
・・・もしかして、本当は弱い・・・?
「いや、そんなことないよね・・・」
私は前を向き直し、シリウスを待つ。彼は私をロックオンすると、大きな見た目に合わないほどめちゃくちゃ高速でこっちに向かってくる。流石に避けてばかりは何の展開もないし、相手の実力も見えない。私は彼の突進を真正面から受ける。彼は私に向かってパンチをしてくるが、腕で受け止める。それを皮切りに、連続で打撃が私を襲う。
「う・・・」
流石にこの重さに耐えきれず、後ろに下がる。ここぞとばかりに彼もスピードを上げてくる。
気づけば、武舞台の淵を踏んでいた。まずい。落とされる。・・・いや、あの技なら打開できるか・・・!
「ふ、もう落ちるのか。呆気ないな。・・・やれ、シリウス!」
「うおおお!!」
・・・・・・・。まだ、もう少し。あとちょっと。・・・よし!
「今だあ!」
バシュン!私は全神経を使って足腰に力を込める。そしてあまり高く飛ばないように膝を調節し。
「それっ!」
彼の頭上を跳ぶ。相手を私を見失って慌てている間に、張り手が失敗して前に倒れ始める。体が床につかないうちに!
「最初に落ちるのは・・・あなたです!」
骨を折る覚悟で大きく体を捻り、肘で彼の大きな背中を押した。
ドン!!!
「・・・っ!」
声にならない叫びの後、攻撃した場所を中心に衝撃波が起こる。痛みと波に押され私の目の前にあったはずの大きな体は、足場を降りて真っ逆さまに落ちて消えていった。
「・・・」
しばらくその空間は沈黙に満ちていた。
「何ですか、今の技!?」
私が矢代の戦いに夢中になっていたところに、隣の近衛が迫ってくる。
「・・・あれは竜王道式武術の一つ、『俊足の裡面打ち・瞬』。まず最初に前提の技があるというのに、いきなり応用技とは・・・」
「リュ、リュウオウドウ?」
「日本の武術には様々な流派があることは知っているだろう?」
「はい、空手も剣道も経験済みなので」
「幻魔の世界にも流派のようなものがあって、みんなそれぞれ自分に合う派を選んで修行する。その流派の中でも有名なものが、竜王堂派。日本が室町時代の頃に幻魔界に成立した道場で、独自の武術を展開していた。初心者でも掴みやすい動きや比較的簡単に技が完成できることが魅力となり、世間のファイターに広く知られるようになった。今の技、『俊足の裡面打ち』は初心者が最初に完成で息詰まる技だ」
『俊足の裡面打ち』は素早く相手の背後に回ってパンチやキックをする技だ。名前に瞬、と付いてる場合はそれを従来より素早く行う応用技である。普通と瞬の違いは、タイミングと微妙なスピードである。
ここで軽く幻魔と人間の速さの違いについて説明する。
人間の平均的な時速は12キロ。男性アスリートは2倍近くの23.7と言われている。幻魔は人間の限界の10から15倍以上の体力があり、その差は幻魔によって変わる。矢代は常人のおよそ12.5倍のステータスであった。人間の時速の限界は65キロと言われているので、矢代は最大でおよそ時速812.5キロメートルで走ることができる。これは日本で言うと、熊本県から長野県に一時間でいける速さである。常人では片道だけで一週間かかる距離を、二時間で往復できてしまう。これを秒速すると、約220メートル。とうに人間の肉眼の限界を越えるスピードだ。
少し長くなってしまったが、これで彼女がいかに速いか理解いただけただろう。
これを前提として矢代の技についてお話しできるが、流石に尺を取りすぎるので後回しにさせていただく。
「日本の竹内流とか堤宝山流みたいなものか・・・」
「普通の中学生からそんなワード出てこないだろうな・・・」
今近衛が挙げたのは、両方とも日本の柔道の流派である。中学生どころか大人でも聞かないだろう。
「あはは、そうでしょうねw」
「お前も知っての通り、矢代はフィジカルの面で君含めた他3人に劣っている。そんな彼女も会得できるよう竜王堂を選んだが・・・まさか自分で磨いてくるとは思わなかった。子供の向上心というのは恐ろしいな」
私がそう言うと、近衛は考えているような顔をしてそっぽを向いた。何か間違っていただろうかと思っていると、また彼女は親友のことについて話し始めた。画面の中からは体をぶつけ合う音がする。2回戦が始まっていた。
「・・・加奈の場合は、悔しいとか追いつきたいっていうのもあるかもしれませんね」
「追いつきたい・・・君達にかい?」
「そうです。加奈は自分の弱点をよく解っている。自分が私達より実力が下だということも。だからこそ加奈は私達より努力して、差を埋めようとする。昔、テストで私にどうしても勝ちたくて、テスト前日に勉強を徹夜でしていたことがありました。でも私に勝てなかった。その時、加奈は言ったんです。『由紀ちゃんはきっと、毎日毎日コツコツやってたから、ちゃんと点が取れたんだろうね。その差はどうしても埋められないって判ったよ』って。すごいですよね、小学生でこんなこと言うんだって今思いますよ」
そこで私は少し持っていた疑念が確信に変わったような気がした。
「・・・矢代にとっては、君が原動力なんだろうな。そして君はそんな彼女のことを、よく解っている」
「え?」
「修行の間の休憩中もな、ずーっと君の話ばっかりだった。君と行った場所、君と見た景色、君と話したこと。いろんなことを暇つぶしに話していた。君がかなりの金持ちの太っ腹だと言うことも。旅行に行くたびに皿を買うとは、流石に驚いた」
「ああっ!加奈、余計なことを・・・」
「でもすごく嬉しそうだった」
「へ?」
「今でも使ってるそうだぞ。君が彼女に譲った皿は。それから、こうも言った。『由紀ちゃんはすごいんです、私が簡単にできないことをやってのける。こないだ千代ちゃんを助けた時だって、そうじゃないですか。自分から敵に立ち向かって・・・。今私が肩を並べようとしても、きっと足手纏いになる。だから、私は今強くならなくちゃ』と」
すると彼女は顔を赤くして、再び戦う矢代の方に目をむける。そして言った。
「・・・本当、余計なんだから」
「へえ・・・よく落としたな。まさかあの状態からああ動くとは、予想外だ。だが・・・」
シュン!私の背後からリスポーンする音がする。再びシリウスが現れる。
「さあもう一回だ。まぐれじゃ、俺は納得しない」
「・・・」
私は体を反対側に向け、うおお!!と吠えるシリウスを見つめる。
「・・・分かった。やろう」
もう一度姿勢を整え、構える。今度は敵も本気を出したかのように、拳に力を入れる。うう・・・とうなる声が聞こえる。・・・流石にミームの悪魔みたいにはならないよね?あ、知らなくていいです。
「行け」
「がああっっ!!」
雄叫びを上げて襲いかかってくる。もしAI的なものがシリウスに含まれているとしたら、同じ手は食らわないだろう。もしまた私が寸前で避けても、先回りされる。だったら・・・何をしたらいい?ラリアットは体型的に無理だ。逆に私が飛ばされてしまう。
迷っている間に、彼はゼロ距離まで迫ってきていた。というか、さっきより異常にスピードが上がっている。やっぱりAIが入っているのか?そんなことを思っていたら_____。
「あぐっ!!?」
まずい。顔を掴まれた。大きな手のせいで目の前も見えない。このまま吹っ飛ばされるかと思った。
グン!!バキイッ!!
「うわあああ!!!」
武舞台の硬い地面が背中に強く打ちつけられる。同時に地面も割れていく。さらに・・・もう一回振り上げられ・・・、また叩きつけられる!!
「ううっっっ!!」
耳元で地面にヒビが入っていく音が聞こえる。しかも指の隙間から見える空が遠ざかっていくような気がする。
もしかして・・・このまま押し込んで?だとしたらもう逃げられない。と思ったけど、次の瞬間には手が離されていた。
よし!起き上がれる!!私はここぞと体を起こし、反撃に出ようとした。そう思った。
「!!?」
嘘でしょ。起き上がれない・・・!!体が重たい。なんだかまだ体を拘束されているみたい。確実に私を捕らえたシリウスは、私の足元でジャンプした。そして大きな靴の裏が私のみぞおちに直撃する!!
「うわあああ!!」
私の喉元に異変を感じる。最初は感じるだけだった。しかし彼はそれに飽き足らず、もう一度空を跳び鋭い踵がみぞおちに落ちてくる。
「ぎゃあ!!」
胃の中が気持ち悪くなる。これは確実に、胃の中を逆流させられている。!・・・まだ来るのか!!?
「うああっっ!!!」
私は我慢できず、とうとう酸っぱい唾と朝食のかけらが混じった液体を吐き出してしまった。
「はあっはあっはあっ・・・」
いつの間にか体の重みが消えていた。それでもお腹の痛みのせいで、動くのが苦しかった。その中でゆっくり横を向き、出しきれていない嘔吐物を吐く。
「かあっ・・・!」
口元を拭っている最中に、いつの間にか髪を縛っていたゴムが外れていたことに気づいた。まずい、こういう時って髪が邪魔になるのに。今度美容院に行ってきろうかな・・・。
「もう終わりか?」
天上から怪魔の声が聞こえてくる。私は首を上げようとするが、目が回って周囲をよく認識できない。
「シリウス。落とせ」
「うおおおお!!」
いつの間にか、しゃがみこむ私の胴を掴んでいる。
「!」
後ろに下がろうとしたが、力に押されて引き離せない。ダメだ・・・。一本取られた。
「うおおお!!」
彼は私の胴を放り上げ、そのまま縄投げのようにグルグル回す。
「うあああ・・・・」
私は頭も体も回され、もう気を失いそうだった。シリウスは私の力が抜かれたと知ると、ニヤッと笑って回転を止めた。と同時に、ぶわああん!!と大きく私を武舞台の外に放り投げた。
「・・・」
髪も服も乱れている私は・・・。遠ざかっていく空を最後に、気を失った______。
0
あなたにおすすめの小説
アリアさんの幽閉教室
柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。
「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」
招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。
招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。
『恋の以心伝心ゲーム』
私たちならこんなの楽勝!
夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。
アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。
心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……??
『呪いの人形』
この人形、何度捨てても戻ってくる
体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。
人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。
陽菜にずっと付き纏う理由とは――。
『恐怖の鬼ごっこ』
アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。
突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。
仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――?
『招かれざる人』
新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。
アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。
強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。
しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。
ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。
最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。
【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで
猫都299
児童書・童話
タイムリープしたかもしれない。中学生に戻っている? 夫に愛されなかった惨めな人生をやり直せそうだ。彼を振り向かせたい。しかしタイムリープ前の夫には多くの愛人がいた。純愛信者で奥手で恋愛経験もほぼない喪女にはハードルが高過ぎる。まずは同じ土俵で向き合えるように修行しよう。この際、己の理想もかなぐり捨てる。逆ハーレムを作ってメンバーが集まったら告白する! 兄(血は繋がっていない)にも色々教えてもらおう。…………メンバーが夫しか集まらなかった。
※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、Nolaノベル、Tales、ツギクルの6サイトに投稿しています。
※ノベルアップ+にて不定期に進捗状況を報告しています。
※文字数を調整した【応募版】は2026年1月3日より、Nolaノベル、ツギクル、ベリーズカフェ、野いちごに投稿中です。
※2026.1.5に完結しました! 修正中です。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
#アタシってば魔王の娘なんだけどぶっちゃけ勇者と仲良くなりたいから城を抜け出して仲間になってみようと思う
釈 余白(しやく)
児童書・童話
ハアーイハロハロー。アタシの名前はヴーゲンクリャナ・オオカマって言ぅの。てゆうか長すぎでみんなからはヴーケって呼ばれてる『普通』の女の子だょ。
最近の悩みはパパが自分の跡継ぎにするって言って修行とか勉強とかを押し付けて厳しいことカナ。てゆうかマジウザすぎてぶっちゃけやってらンない。
てゆうかそんな毎日に飽きてるンだけどタイミングよく勇者のハルトウって子に会ったのょ。思わずアタシってば囚われの身なのってウソついたら信じちゃったわけ。とりまそんなン秒でついてくよね。
てゆうか勇者一行の旅ってばビックリばっか。外の世界ってスッゴク華やかでなんでもあるしアタシってば大興奮のウキウキ気分で舞い上がっちゃった。ぶっちゃけハルトウもかわいくて優しぃし初めての旅が人生の終着点へ向かってるカモ? てゆうかアタシってばなに言っちゃってンだろね。
デモ絶対に知られちゃいけないヒミツがあるの。てゆうかアタシのパパって魔王ってヤツだし人間とは戦争バッカしてるし? てゆうか当然アタシも魔人だからバレたら秒でヤラレちゃうかもしンないみたいな?
てゆうか騙してンのは悪いと思ってるょ? でも簡単にバラすわけにもいかなくて新たな悩みが増えちゃった。これってぶっちゃけ葛藤? てゆうかどしたらいンだろね☆ミ
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
【奨励賞】花屋の花子さん
●やきいもほくほく●
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 『奨励賞』受賞しました!!!】
旧校舎の三階、女子トイレの個室の三番目。
そこには『誰か』が不思議な花を配っている。
真っ赤なスカートに白いシャツ。頭にはスカートと同じ赤いリボン。
一緒に遊ぼうと手招きする女の子から、あるものを渡される。
『あなたにこの花をあげるわ』
その花を受け取った後は運命の分かれ道。
幸せになれるのか、不幸になるのか……誰にも予想はできない。
「花子さん、こんにちは!」
『あら、小春。またここに来たのね』
「うん、一緒に遊ぼう!」
『いいわよ……あなたと一緒に遊んであげる』
これは旧校舎のトイレで花屋を開く花子さんとわたしの不思議なお話……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる