男子高校生を生のまま食べると美味しい

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第23話 この資料は、もしかして

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 翌日、夜遅く。
 ダイチくんから「読み終わりましたよ」という読了メールが入った。
 また彼の部屋の前に飛んでいく。

「ど、どうだった!?」

 もうだいぶ朝晩は涼しくなってきている。
 だが彼は薄着が好きなののだろうか?
 扉の前で紙の束を片手に立っているその姿は、またハーフパンツにTシャツだ。

「はい。俺は読みやすいしわかりやすいと思いましたが。これって、もしかして――」
「おおおおっ! ありがとっ!」
「うわっ。だ、だからアオイさん!」
「ふぎゃああごめんなさいい!」

 また抱き付いてしまった。慌てて離れる私。

 と、そんなことは置いといて。

 これはいけそうだ。
 さっそく明日、この資料にて部長を討つ――。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



『ああ、そこに置いといてくれ。暇なときに読んでおくから』

 きっとそんな感じで受け取られるのだろう。
 資料を渡すまではそう思っていた。

 ところが部長は、私の資料を受け取るとニヤリと笑い、
「ちょっと打合せ室に行こうか」
 と、私と部長の二人ですぐに話をすることになった。

 そして打合せ室に入ると、部長は私の目の前で資料を読み始める。

「ふむふむ、なるほど。そうなんだよな。昨今の情勢を鑑みるに……内定者研修というのは必要だよな」

 そんなことをつぶやき、読み進めていく。
 テンポよくページをめくっているが、適当に嫌々流し読みしているという感じではない。時折うなずきながら、しっかりと文や図表を追っている。
 私はその姿を、意外に思いながら眺めていた。

「うん。いいんじゃないか? これを見せられれば、私もこれ以上嫌だとは言えない。
 文も図もわかりやすいし、このまま本部長に見せても大丈夫そうだな」

 あっさりオーケー。
 当然私としては突っ込みを入れるしかない。

「あの、もしかして。最初から内心ノリノリだったとかです?」
「ノリノリだったわけではないが、必要なことだからな」
「なんか意地悪じゃないですか?」
「意地悪で結構。だいたい、めんどくさいってのは本当だったからな」

 私は非難百パーセントの視線を部長に放ったが、見事にいなされてしまった。

「今回、こうやって相手が『うん』と言うしかない資料を作ってきたのは見事だ。
 意地悪はアオイくんの今後を考えてのこと……というか、そういうことにしておいてくれ」

「は?」
「まあ聞け。きみがこんなに積極的な提案をしてくるのは、今までで初めてのことだったろう?」
「……」

 部長は両手で持っていた資料を打合せ机の上に置くと、話を続けた。

「これは私の考えだが。『昨日と同じ事をする人』は、給料を徐々に下げていかなければいけないと思っている」
「同じ事が出来ているのに下げるんですか」

「そうだ。社会というものは常に進歩している。周りが前に進んでいるのに、昨日と同じ事しかしない。それは全体を見れば自分が下がっているのと同じことだからな。
 そんな社員の給料は下げなければいけない」

「でも部長はめんどくさいんですよね?」
「私は給料が下がってもいいんで昨日と同じことをしたいんだよ」
「ためになる話だなあと思ったんですけど、台無しですね」

「フン。うちの給与体系を考えると、もう私は役員を目指さない限りカネは上がらんしな」
「目指せばいいじゃないですか」
「嫌だね。定年になったら遊びたいからな」

 役員は従業員ではない。
 そのため、就業規則の定年ではなく、役員定年規定に定められている定年が適用される。
 確か七十歳だった気がするので、そこまで引っ張られるのが嫌だということだろう。

「まあ話を戻すが。
 つまりそういうことでだ。今回の件はいい経験だと思って挑発してみた。私程度の老害を倒せないようでは、今後も新しいことなどできんだろうからな」

「あら、自分で老害って言っちゃうんですね」

「フン、老害で結構。歳をとっても目がギラギラしている人はもちろんいるんだが、私は少なくともそうじゃないからな。
 世の中を見れば、私のようなタイプのほうが多いんだぞ?
 もうこの歳になると変化するのが面倒でな。変化しなければ同じことだけやっていればいい。そのほうが楽なんだよ」

「うわぁ……」

 思いっきり開き直る部長に、若干引いてしまう私。

「きみは若いから、今後もっと大きなことを提案したくなることもあるだろう。
 そうなると、決裁ルートや、関連部署にいる面倒なおじいさんたちを一人ずつ成敗していかないといけない。それは結構大変なことだぞ?
 今から少しでも慣れておいたほうがいいだろ」

 個室にいるせいか際どいことを言いながら、部長は広げていたメモ帳を閉じ、資料と重ねた。
 そしてそれを立てて揃え、トンという音とともにこの場を〆にかかった。

「資料はありがたく預かる。私からも本部長にしっかり説明しておこう。稟議書はもう作っておいてくれ」
「はい、ありがとうございます」
「今回は会社のためには良い提案だった。あの高校生の子への個人的感情が動機とはいえ、な」

 おお……この辺はさすが私のことをいつも見ている上司。
 よくわかってらっしゃ………………って、え?
 ……はい?
 ……!?

「このセクハラハゲジジイ! 余計なこと言うなボケ!」
「アオイくん……何度も言うが、心の声は「」じゃなく()だぞ? 間違えないようにな?」
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