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プロローグ
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人が実際に飛び降り自殺をする瞬間。テレビドラマや映画では見たことがあるが、実際に見たことはない。少し見てみたい気もするが、見てしまったらトラウマになり、後の人生に差し支えるだろう。少なくとも当分の間は飯が喉を通らなくなる。ここは強引にでも自殺を阻止した方が懸命だろう。
「どうしても死ななきゃいけないの?なにも今死ぬこと無いじゃないか」
僕は少し遠回り気味に説得を試みた。
「死ぬ?あなた、なにか勘違いしてるようね。わたしは別に、死にたいからここに立っているわけじゃないわよ」
「え?」
「こないだの休みに、ホームセンターから接着剤を買ってきたの。テレビのコマーシャルでも有名な、超強力な粘着力を誇るものよ。試しにそれを手すりに塗って、今、その上に立ってみてるのよ」
彼女は自殺しようと手すりに立っているのではなく、『超強力』と唄われている接着剤の強度を確かめるために立っているという。もし彼女がバランスを崩しても、接着剤が超強力なら彼女の足は手すりにくっついたまま、下へ落下することはない。
「接着剤がはがれて下へ落ちるという恐怖は無いの?」
「無いわ。私、死ぬことは別に恐れてないもの。この世で私が恐れているといえば、『裏切り』よ。私は今、接着剤の製造会社を信用してここに立っているの。超強力なはずの接着剤がはがれたら、製造会社の信用が私の命とともに奈落の底へと突き落とされることになるわね」
「どうしても死ななきゃいけないの?なにも今死ぬこと無いじゃないか」
僕は少し遠回り気味に説得を試みた。
「死ぬ?あなた、なにか勘違いしてるようね。わたしは別に、死にたいからここに立っているわけじゃないわよ」
「え?」
「こないだの休みに、ホームセンターから接着剤を買ってきたの。テレビのコマーシャルでも有名な、超強力な粘着力を誇るものよ。試しにそれを手すりに塗って、今、その上に立ってみてるのよ」
彼女は自殺しようと手すりに立っているのではなく、『超強力』と唄われている接着剤の強度を確かめるために立っているという。もし彼女がバランスを崩しても、接着剤が超強力なら彼女の足は手すりにくっついたまま、下へ落下することはない。
「接着剤がはがれて下へ落ちるという恐怖は無いの?」
「無いわ。私、死ぬことは別に恐れてないもの。この世で私が恐れているといえば、『裏切り』よ。私は今、接着剤の製造会社を信用してここに立っているの。超強力なはずの接着剤がはがれたら、製造会社の信用が私の命とともに奈落の底へと突き落とされることになるわね」
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