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居
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自宅に引きこもり続けていた御手洗陽菜が、久しぶりに学校に来た。直接彼女の姿を見るのは、先日の雷のとき以来。彼女の顔をみたとき、彼女の部屋で抱きつかれたときのことを思い出し、顔を直視できなかった。
その日の昼休み、図書室に行くと、カウンターに御手洗がいる以外は、他に生徒は誰もいなかった。いつもなら他にも何人かの生徒がいるが、珍しく今日は一人もいない。二人きりだ。
「昨日は、ごめんなさい…」
彼女は僕をみると、少し目をそらしながら謝罪した。おそらく昨日、雷が鳴った拍子に抱きついたことだろう。
「いや、別に気にしてないよ…」
その後、沈黙が続いた。次に何を話そうか、頭の中の引き出しをいろいろ探ったが、適切な話題が出てこなかった。せっかく二人きりでの会話だというのに…。
そうこうしているうちに、昼休みが終わった。結局あれから何も会話できなかった。僕は図書室を出た。すると後ろから、僕の制服の袖をつまみながら、御手洗はつぶやいた。
「今日もうちに来て…」
それから僕は、頻繁に御手洗陽菜の家を訪ねるようになった。そして、メル友から恋人になるまで、そう時間はかからなかった。至福だった。このときは、本当に至福だった。
しかし、至福のときは、そう長く続かなかったのである。
その日の昼休み、図書室に行くと、カウンターに御手洗がいる以外は、他に生徒は誰もいなかった。いつもなら他にも何人かの生徒がいるが、珍しく今日は一人もいない。二人きりだ。
「昨日は、ごめんなさい…」
彼女は僕をみると、少し目をそらしながら謝罪した。おそらく昨日、雷が鳴った拍子に抱きついたことだろう。
「いや、別に気にしてないよ…」
その後、沈黙が続いた。次に何を話そうか、頭の中の引き出しをいろいろ探ったが、適切な話題が出てこなかった。せっかく二人きりでの会話だというのに…。
そうこうしているうちに、昼休みが終わった。結局あれから何も会話できなかった。僕は図書室を出た。すると後ろから、僕の制服の袖をつまみながら、御手洗はつぶやいた。
「今日もうちに来て…」
それから僕は、頻繁に御手洗陽菜の家を訪ねるようになった。そして、メル友から恋人になるまで、そう時間はかからなかった。至福だった。このときは、本当に至福だった。
しかし、至福のときは、そう長く続かなかったのである。
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