従者が記す世界大戦記

わきげストレート

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シルバを連れてこい6

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「すまんが、ここに隠れていてくれ!俺は追っ手を迎え撃つ!」
女性はすぐに袋小路へと身を隠した。
さあ!どっからでもかかって来やがれ!
・・・
・・・・・
・・・・・・・まだかな?
一向に誰も出てこない。引き返したのか?
と、その時、中から誰かが近づいてくる音がした。ついに活躍の時!
俺は剣を振りかぶって待ち構え、扉が開くと同時にその剣を振り下ろす気満々でいた。
しかし、扉を開けて出てきたのは組織の関係者ではなかった。
「わっ!ま、待て!俺だ、グラン!」
「ダ、ダンドン!?」
俺は剣を鞘に納め、ダンドンから事情を聞いた。
「作戦は大成功と言っていい!オーリィはすごいな!ほとんど漏らさず捕縛完了だ!ただ、胴元は姿を現さなかったようだ。勘の鋭い野郎だぜ。」
「そうなのか・・・こっちは関係者は誰もこなかったし、取り逃しはその胴元だけか。」
「え?いやいや、こっちにシルバが来ただろう。保安兵がこっちに追い込んだんだ。」
「は?いやいやいや、来てないぞ。出てきたのは被害者の女性だけだ。」
「被害者の女性?組織にさらわれた"商品"は保護してるが・・・おいグラン。その女の髪の色は何色だ?」
「えっ?赤・・・?」
ハァ~~っと深いため息を出し、ダンドンが俺の胸を小突いた。
「お前、シルバの性別も知らんのか!シルバは"赤髪の女"だ!」
「な、なにぃっ!?」
俺は急いで振り返り、袋小路へと駆け出した。
しかしそこにはもう、誰もいなかった。

「馬鹿だなー、お前。」
大捕物を終えて、俺たちは事後処理の為に西D支部で腰を落ち着かせていた。
目の前にいたシルバをわざわざ逃がしたことを、ダンドンはずっとイジってきた。
「女なら女と・・・くっそ~!」
仕事中なので酒は飲めないが、エールに溺れたい気分だ。
しかし気になるのはシルバの行方だ。組織がほぼ壊滅して、どこへ行ってしまったのだろう。そしてシルバは組織にどう関係していたのだろう。そしてそして、袋小路に入れたのは間違いないのだが・・・はて?
「もうシルバは諦めろ。さすがに手の届かないところまで逃げちまってるさ。」
「それはそうかもしれないが・・・はぁ。ニエ団長にしこたま嫌味言われるかと思うと・・・はぁぁぁ・・・。」
「ねえ、そのシルバって奴はどんな奴だったの?」
オーリィが無垢な瞳で問いかけてきた。
「ん?腰まであるウェーブの掛かった赤髪で、身長は170cmくらいか。質素な綿のドレスを着てて・・・そうだ、独特な香水をつけてたな。」
オーリィの眉がピクっと動いた。
「・・・ねえ、見失ったところまで案内してよ。」
「は?」

夜の闇の中、俺はダンドンとオーリィを例の袋小路まで連れてきた。
「ここだ。ここに入ったところまでは確認したんだが・・・いや、外に出てきてないけどなぁ。」
袋小路は奥行5~6m。幅は1mもない。
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