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シルバを連れてこい5
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かくして一行は西地区の外れ、治安が最も良くない区画まで移動したのであった。
『西D(ダウンタウン)』と呼ばれるこの区画は、西地区の中でも最も中央区から離れている場所であり、労働率は最低、貧困率・犯罪率は最高という王国随一の問題区域だ。酒と麻薬と吐しゃ物と汚物の匂いがプンプンする。
人身売買組織に感ずかれないようにバラバラに行動することとなり、俺は"C出入口"という奴隷オークション会場から繋がる出入口の1つへ移動し、外で見張る役となった。
C出入口は一見すると何の変哲もない民家だ。隣りの家との隙間は無く、両隣りにギュウギュウに建物が並んでいる。
この出入口からは頻繁に出入りは無いらしく、"念の為"の配置らしい。だがなにかあるといけないので周りをよく確認しておかねば。
C出入口自体に2階はない。裏もビッチリ建物が迫っていてスペースはない。出入りできるのは正面の扉だけのようだ。
2軒隣りに細い袋小路がある。人が1人、体を擦らずに入れるくらいの狭さだ。周りの建物に窓はなく、ここに組織の関係者が逃げ込んだら袋のネズミだな。
C出入口からは5名の保安部隊が突入する。保安部隊が今か今かと待機している。
間もなく作戦開始の時刻だ。おそらくオークション会場の正面入口からは客が全員入ったことだろう。夜刻の鐘と共に保安部隊がなだれ込むことになっている。あ~、ドキドキしてきた!
"ゴーンゴーン"という鐘の音が響いた。夜を告げる鐘だ。
鐘を合図にC出入口も一斉に保安部隊が突入する。
俺は万が一外に逃げ出してきた関係者を取り逃さないように外で待機だ。C出入口は抜け道的出入口なので、ここから何人も出てくることはないだろうということだ。
・・・うーん。突入から30分ほど経っただろうか。こちら異常なし!
と、少し気を抜いていると中から物音が聞こえてきた。なにやらバタバタと・・・段々近づいてくる!
俺がいよいよかと外で身構えていると、バンッ!と扉が開いた。剣の切っ先を向けて、臨戦態勢を整えていたが・・・出てきたのは女性だった。
その女性は燃えるような赤い長髪で、比較的質素なドレスを着ていた。顔は・・・美人に分類されるだろう。吸い込まれるような藍色の瞳だ。珍しい香りの香水が鼻につく。
俺はハッとスイッチを見張りモードに切り替えた。女性に切っ先を向け、「動くな!」と言おうとした。しかし、女性の方から俺に駆け寄ってきた。
「助けてください!オークションから逃げてきたんです!すぐ後ろから組織の男が追ってきます!助けて!」
その瞳には涙を浮かべていた。
すぐに組織の関係者がくるとあれば取り逃す訳にはいかない。この女性は・・・野放しにできないし、袋小路に身を隠してもらおう。
『西D(ダウンタウン)』と呼ばれるこの区画は、西地区の中でも最も中央区から離れている場所であり、労働率は最低、貧困率・犯罪率は最高という王国随一の問題区域だ。酒と麻薬と吐しゃ物と汚物の匂いがプンプンする。
人身売買組織に感ずかれないようにバラバラに行動することとなり、俺は"C出入口"という奴隷オークション会場から繋がる出入口の1つへ移動し、外で見張る役となった。
C出入口は一見すると何の変哲もない民家だ。隣りの家との隙間は無く、両隣りにギュウギュウに建物が並んでいる。
この出入口からは頻繁に出入りは無いらしく、"念の為"の配置らしい。だがなにかあるといけないので周りをよく確認しておかねば。
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2軒隣りに細い袋小路がある。人が1人、体を擦らずに入れるくらいの狭さだ。周りの建物に窓はなく、ここに組織の関係者が逃げ込んだら袋のネズミだな。
C出入口からは5名の保安部隊が突入する。保安部隊が今か今かと待機している。
間もなく作戦開始の時刻だ。おそらくオークション会場の正面入口からは客が全員入ったことだろう。夜刻の鐘と共に保安部隊がなだれ込むことになっている。あ~、ドキドキしてきた!
"ゴーンゴーン"という鐘の音が響いた。夜を告げる鐘だ。
鐘を合図にC出入口も一斉に保安部隊が突入する。
俺は万が一外に逃げ出してきた関係者を取り逃さないように外で待機だ。C出入口は抜け道的出入口なので、ここから何人も出てくることはないだろうということだ。
・・・うーん。突入から30分ほど経っただろうか。こちら異常なし!
と、少し気を抜いていると中から物音が聞こえてきた。なにやらバタバタと・・・段々近づいてくる!
俺がいよいよかと外で身構えていると、バンッ!と扉が開いた。剣の切っ先を向けて、臨戦態勢を整えていたが・・・出てきたのは女性だった。
その女性は燃えるような赤い長髪で、比較的質素なドレスを着ていた。顔は・・・美人に分類されるだろう。吸い込まれるような藍色の瞳だ。珍しい香りの香水が鼻につく。
俺はハッとスイッチを見張りモードに切り替えた。女性に切っ先を向け、「動くな!」と言おうとした。しかし、女性の方から俺に駆け寄ってきた。
「助けてください!オークションから逃げてきたんです!すぐ後ろから組織の男が追ってきます!助けて!」
その瞳には涙を浮かべていた。
すぐに組織の関係者がくるとあれば取り逃す訳にはいかない。この女性は・・・野放しにできないし、袋小路に身を隠してもらおう。
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