従者が記す世界大戦記

わきげストレート

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子犬の秘密4

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「い、いや、だって・・・情報が・・・」
「情報ならもう仕入れた!金のありがたみを知らない奴ね!」
ええっ!?戒厳令が敷かれていたのに、なぜ?
聞くところによるとシルバは1度店を出て、散歩しているご婦人に話しかけたらしい。

「あらあら、素敵なわんちゃん!」
「あらありがとう。今、そちらから出てきたように見えたけど・・・」
「そうなんです。うちもこちらでわんちゃんを買ったんですよ。」
「そうなのね!・・・でも、ほんとに気をつけてね。誰かに自慢話なんかしたらすぐに国から調査が入って、一家諸共連れてかれちゃうんですって。」
「ええっ!?国から!?」
「そうよ~。国営って説明あったでしょ?そしたら予防接種も受けさせてもらえなくて、わんちゃんも死んじゃうのよ。」
「そうなんですよね~。でもなんの予防接種なんでしたっけ?」
「わからないわ~。でも"ずっと子犬でいさせるため"には仕方ないんですって~。」

なるほど。旦那連中はより奥様方のほうが世間話の敷居は低いか。そしてシルバは俺がペットショップの奥の部屋でした話に聞き耳を立てていたらしい。探偵かっ。
「つまり、ここで買った子犬は成長せずにずっと子犬のまま・・・?」
ソビトは研究者で、その研究内容は伏せられている。子犬を子犬のままにする研究?そんなことができるのだろうか。
「実際子犬が恐ろしいほどの高値で取引されてる。あたしはかなり確度高いと思うよ。」
シルバの言う通りだ。だがベールウールの資金源になり得る研究であり、一大事業だろうけど・・・なんだか胸がムズムズする。
「なあなあ、なんで子犬のままにするんだ?」
オーリィが素朴な疑問を投げかけてきた。
「そりゃ、子犬の方がかわいいからだろう。ずっとかわいいままのほうがペットとして売れるからだ。」
俺の答えに「ふーん」と反応したオーリィは納得いかない風に続けた。
「じゃあ、どうやって子犬のままにするんだ?」
どうやって??俺は腕組みして少し考えたが、ろくな答えが浮かばなかった。
「たぶん・・・薬を飲ませるか、注射するか・・・」
「じゃあさ、その薬を人間の子供に使ったら人間も子供のままなのか?」
「・・・っ!!」
子供のまま・・・歳を取らない人間?それって・・・
「・・・不老・・・不死?」
シルバが呟いた言葉こそ、おそらくこの指令の答えだ。ソビトは子犬を作る研究をしていたわけじゃない・・・不老不死の研究をしていたのだろう。
そしてたまたま副産物として子犬のままの子犬が出来上がった。それを国の資金源にしているが・・・問題は本命のほうだ。
「おそらくまだ不老不死の研究は完成してないはずだ。完成してたら世界情勢がひっくり返ってるはずだからな。なんらかの理由で犬にしか効かないんだ。」
「犬ってのが問題よね。"不老"は確認出来るけど、"不死"は寿命の確認が必要よ。犬は寿命が長いから・・・」
「それに"予防接種"をしないと死んでしまうんだろう?なんにせよ研究は不完全だ。とにかくここではなんだ・・・宿を取って、部屋で話そう。」
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