従者が記す世界大戦記

わきげストレート

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15年前の手記

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建国記念日を翌日に控えた日の夜、私は恐ろしい計画を耳にしてしまった。
ふと、記念祭の式典の段取りが気になり、なかなか寝つけなくなってしまった。夜の城内でも見回ろうと、そこかしこを歩いて廻った。
特に何か考えていたわけではない。フラフラと歩いていたら、右大臣室の前まで来てしまった。中から灯りが漏れていることに気づく。こんな時間に?
右大臣のサルモアは5年前に右大臣に昇格した女である。王の寵愛を受けているのでは?と噂が絶えないが、その敏腕なる政治力には舌を巻く。
どうやら誰かを部屋に招いて話しているようだ。私はそっと扉に耳をつけた。
「では聖女アリアが王に渡す花束に短剣を仕込み、国王殺しの罪を着せるということで・・・」
サルモアの声だった。
なんという恐ろしいことを・・・私はさらに続きを聞いた。
「これで不老不死の秘密、"聖女の瞳"が手に入るな。目をえぐる前に、聖女の破瓜を頂くとしよう。キズモノになる前に犯したい。」
なんということだ・・・私の背筋に冷たいものが流れた。サルモアと話している相手の声は・・・王の声だった!
急いで聖女に伝えなければ・・・!私はその場から駆け出した。
しかし、その時に焦ってトーチを落としてしまった!ガシャン!という音が辺りに響いた!
一刻を争う状況に、私はトーチを捨ておき聖女の部屋へと急いだ。
途中、曲がり角で誰かとぶつかった。サルモアの追手かと思い肝を冷やしたが、バーロック騎士団長だった。ひとり鍛錬を行って部屋に戻るところだという。
私はすがる思いでバーロックに全てを打ち明けた。サルモアのことだ、糾弾しようとしても裏で手を回しているに違いない。
とりあえず2人て聖女の部屋へと向かった。
聖女の部屋をノックして名を名乗ると、アリア様は鍵をあけて我々と対面してくださった。
私は状況を告げ、アリア様とバーロック殿に進言をした。この国を出なさい、と。
私は城外へと通じる秘密の地下道へと2人を押し込んだ。
私は今、自分の部屋でこの手記を書いている。そしてサルモアの手が迫る前に、鳥便で君に真相を託す。
もしもアリア様とバーロック殿が捕まることがあれば、どうか勇気を出して声を挙げて欲しい。そうならないことを願う。
最後に、私の家族のことを頼みたい。私と妻は死罪になるだろうが、この国の法律で息子だけは命を取られることはないだろう。まだ幼い息子の引き取り先が君であれば、私も安心して逝くことができる。
どうか元気で。親愛なるワッツ=フングルス殿。

ゴルディア王国左大臣
モッツ=カルヒネスト
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