従者が記す世界大戦記

わきげストレート

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黒騎士3

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街の東には鉱山が山脈を成しており、加工工場が点在している。中心部に行くほど宿や店舗、公共施設が多く、西に行くほど住宅が多い。
「とりあえず宿を取ったら現場の確認だ。"若い女殺害現場"のな。」
ゆっくりさせろ!と駄々をこねる上役共をどうにか(豪華な食事で釣って)説き伏せて、さっさと宿に荷物を置いて、俺たちは1番新しい殺人現場へと向かった。

現場は通りと通りを繋ぐ細い裏路地。街灯などあるはずも無く、昼間だというのに窓という窓には雨戸が閉められ、夜はよほど暗いのだろうと予想がつく。
「話によるとこの辺で若い女が死んでいた、と。」
宿の主人から聞き込みをして現地情報はあった。シルバがしゃがんで手を合わせた先には、まだ薄黒く血痕が残っていた。それもかなり広範囲の血溜まりだったようだ。
雨の少ないこの地域では、石畳にへばりついた凝固した血をなかなか綺麗に消し去ってはくれない。
ついついつられて俺もオーリィも合掌していると、「おい。」と声を掛けられた。
顔を上げるとそこには四角い顔に無精髭を蓄えた無愛想な中年男が立っていた。
「お前ら、ここで何をしてる?」
無愛想な男がぶっきらぼうに聞いてきた。こういう時は被害者の血縁とか婚約者ってのが相場と決まってるが・・・。
「何って、あたしたちは事件の調査を・・・」
「事件の調査だぁ?」
シルバの言葉に被せ気味に食いついてきた中年男は、俺たちを怪しんでる風味満開だった。
「俺はこの街の自警団長のアスという者だ。事件の調査と言ったな。お前らこの街の人間じゃないだろう。何者だ?」
「俺らはゴルディア王国の騎士団で・・・」
「ゴルディアだと?こちらから調査の要請をした記録はない!・・・ふん!まぁ犯人ではないようだな!だがよそ者が掻き回すんじゃない!」
まぁ言いたいことはわかるがムカつく!俺らをジロジロと観察して、女子供だから問題ないとおもったのだろう。こっちの女子供をナメるなよ!お前なんか秒で首が飛ぶからな!
だが調査できないとこちらも指令書の報告ができない。グッとこらえていたら、アスの背中越しに誰かが声を掛けてきた。
「あの・・・」
「ああん?」
アスが振り向いた先にはヒョロヒョロと背の高い青年が花を持って立っていた。
「またお前か!ブラウン!もうここには来るなと言ったろう!」
アスがブラウンにガーガーと文句を言っている。俺たちはどうしたものかと顔を見合わせたが、シルバとオーリィが俺を見ながら2人をアゴで指した。・・・俺かよ。
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