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黒騎士4
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「あの~、ちょいとよろしいですか?」
「なんだ!まだいたのか!」
俺が恐る恐る声をかけると、アスは再びこちらに噛みついてきた。だがそれを俺が手を挙げて制す。
「まあまあ!そこのブラウンくんは被害者の彼氏か旦那さん?それならちょっとくらい融通をきかせてあげても・・・」
「違う!こいつはリリーアに片想いしてただけの鉱夫だ!それを毎回毎回泣きながら花を供えに・・・!」
OK、OK。いくつか情報が出てきたぞ。被害者のリリーアに片想いしてたブラウンが毎回花を供えに来ている、と。
・・・怪しい。犯人は現場に戻るというが・・・あれ?"毎回"?毎日じゃなくて?
「こいつを疑ってんなら無駄だぞ!確かにこいつはこの街で起きた連続殺人の被害者全員に片想いしておった!だがこいつは犯人じゃあない!なぜか!?その理由はホトケの殺され方にある!」
なんか盛り上がってペラペラ喋りだしたぞ。いいぞーっ、もっと喋れーっ。
「遺体はみんな刃物で斬られとったわけだが、その全てに共通する特徴は"殺されてからこねくり回されてる"ってことだ。殺してから遺体を解剖するかのようにグチャグチャとなぁ。それで、必ず遺体には正中線をバッサリ綺麗に斬られた跡があるんだ。3件ともだぞ!?ありゃ、剣の達人じゃなきゃできねえ!そこにいる鉱夫のくせに腕っぷしがからっきしな男にゃ無理な芸当ってわけよ!・・・何言わせてんだ!誘導尋問はやめろ!」
いや、あんたが勝手にしゃべったんだろ!
俺たち(ブラウン含め)はアスに怒鳴られ、犯行現場を追い出された。裏路地を抜け通りに出ると、ブラウンが伏し目がちに俺たちに話しかけてきた。
「あ、あの・・・あなた方はあそこで何を?」
「あたしらはゴルディアの騎士団よ。友好国で起きた事件を調べてたってワケ。」
赤髪ロングをかきあげるシルバの顔をブラウンがじっと見つめて、何か考えているようだった。そしてハッ!と何か思いついたかのような表情をして俺たちに提案してきた。
「・・・あ、あの!よかったらうちにいらっしゃいませんか。その・・・相談したいこともありまして・・・事件のことで・・・。」
ブラウンの家は住宅地の中で上等な地区に構えられた一軒家だった。二階建てで立派な門が家を守っている。鉱夫だって言ってたけど、親は商人か?とても鉱夫が住める家じゃない。
中に入ると余計にその思いは増した。洒落た照明に、飾られた絵画、ブラウンがお茶を出そうと用意しているのはアンティークの茶器だ。
「どうぞ、粗茶ですが。」
茶は高級品だ。庶民の手には渡らない。俺たちはテーブルに着き、家の中をジロジロと見回した。なかなか失礼な客人に映ったようで、ブラウンもこっちを値踏みするかのように見つめている。
「なんだ!まだいたのか!」
俺が恐る恐る声をかけると、アスは再びこちらに噛みついてきた。だがそれを俺が手を挙げて制す。
「まあまあ!そこのブラウンくんは被害者の彼氏か旦那さん?それならちょっとくらい融通をきかせてあげても・・・」
「違う!こいつはリリーアに片想いしてただけの鉱夫だ!それを毎回毎回泣きながら花を供えに・・・!」
OK、OK。いくつか情報が出てきたぞ。被害者のリリーアに片想いしてたブラウンが毎回花を供えに来ている、と。
・・・怪しい。犯人は現場に戻るというが・・・あれ?"毎回"?毎日じゃなくて?
「こいつを疑ってんなら無駄だぞ!確かにこいつはこの街で起きた連続殺人の被害者全員に片想いしておった!だがこいつは犯人じゃあない!なぜか!?その理由はホトケの殺され方にある!」
なんか盛り上がってペラペラ喋りだしたぞ。いいぞーっ、もっと喋れーっ。
「遺体はみんな刃物で斬られとったわけだが、その全てに共通する特徴は"殺されてからこねくり回されてる"ってことだ。殺してから遺体を解剖するかのようにグチャグチャとなぁ。それで、必ず遺体には正中線をバッサリ綺麗に斬られた跡があるんだ。3件ともだぞ!?ありゃ、剣の達人じゃなきゃできねえ!そこにいる鉱夫のくせに腕っぷしがからっきしな男にゃ無理な芸当ってわけよ!・・・何言わせてんだ!誘導尋問はやめろ!」
いや、あんたが勝手にしゃべったんだろ!
俺たち(ブラウン含め)はアスに怒鳴られ、犯行現場を追い出された。裏路地を抜け通りに出ると、ブラウンが伏し目がちに俺たちに話しかけてきた。
「あ、あの・・・あなた方はあそこで何を?」
「あたしらはゴルディアの騎士団よ。友好国で起きた事件を調べてたってワケ。」
赤髪ロングをかきあげるシルバの顔をブラウンがじっと見つめて、何か考えているようだった。そしてハッ!と何か思いついたかのような表情をして俺たちに提案してきた。
「・・・あ、あの!よかったらうちにいらっしゃいませんか。その・・・相談したいこともありまして・・・事件のことで・・・。」
ブラウンの家は住宅地の中で上等な地区に構えられた一軒家だった。二階建てで立派な門が家を守っている。鉱夫だって言ってたけど、親は商人か?とても鉱夫が住める家じゃない。
中に入ると余計にその思いは増した。洒落た照明に、飾られた絵画、ブラウンがお茶を出そうと用意しているのはアンティークの茶器だ。
「どうぞ、粗茶ですが。」
茶は高級品だ。庶民の手には渡らない。俺たちはテーブルに着き、家の中をジロジロと見回した。なかなか失礼な客人に映ったようで、ブラウンもこっちを値踏みするかのように見つめている。
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