<竜騎傭兵> ナイン・スペード・ドラグドライブ

蒲生たかし

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第26話 ジョーカー

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「スパニア国
 ナインさんの求めてる答えはな
 間違いない」
「根拠は?」

ナインは要求された金額を仲介屋ジャン・リガナに渡し
その情報を聞いているところだ

「獅子竜傭兵団は基本ルーズな連中ばかりだが
 3人だけ
 真面目でそれでいて腕が立つ連中がいた」
「ああ、アンリたちの事かニャ」
「ああそうだ
 あいつらと急に連絡がとれなくなって
 商売あがったりになって困ってな
 奴らがいないと仕事がちゃんと回らないって
 事情があったし」
「それは
 なんとなく理解できる」
ナインはティジャーンを見て言う
ティジャーンには自覚が無い様だ
「なんで
 仲介屋の意地でそいつらの居場所を突き止めた
 そして
 ファジャス半島に向かったって情報だけは掴んだ
 しかも
 その情報を俺に流した人間は死んじまった
 正確には
 殺されたらしい
 完全に
 痕跡を消しにかかってる」
「じゃあ
 アンタも狙われてるのか」
「うまく情報経由をしたつもりだが
 一応その危険があるから
 一か所に長居はしない様にしてる
 正直に言うが
 この件
 かなりヤバいと
 俺の勘が言っているぞ」

スパニア太陽竜国
エウロパの最西にあるファジャス半島にある大国
翼竜の産地でもあり
大航空時代で栄華を極めた国だ
世界が真の意味で一つになるきっかけを作った国ともいえる
現在は東西南北様々な文化が入り交じり
様々なテロ組織の温床となっていると噂される

「竜爪の旅団」
イリアスの国家シンボルである時計塔を破壊したテロ組織
その本体もスパニアにあるとみられる

「とにかく行くしか無いな
 スパニアか
 何年ぶりだろうな」
ナインは遠い西を向いてつぶやいた


ナインたち一向はスパニアの首都マジュードにいた
半島の中央に位置するこの都はこのスパニアの中心
という訳ではない
そこにはスパニア特融の事情がある

スパニアには覇竜が2頭いる
中央に位置するマジュードを首都とする
東に位置するバルチナダを首都とする
元々は別の国家だったが
他の国家へのけん制の意味もスパニア同盟が結ばれ
その後なし崩し的に1つの連邦国家の様な形で何世紀も続いた

だが両国は互いを独立した国家と考えており
相手を自国の属国という認識でいる

これではまとまる物もまとまらない

その混乱の状態の
多くのテロ組織が暗躍しているという

ナインは以前スパニアを来た際に頼った情報屋を探した
しかし中々見つけられなかった
中には殺されてるんじゃないのかと言う者もいた

そんな街を探索している時に
見慣れた人間を見つけ
ナインはこっそりと後をつける
サイとティジャーンにはカフェで待ってるよう言いつけた

人のいない
路地裏で
背後からナインはその男に近づき銃を向ける

すかさずその男は銃を持ったナインの手に回し蹴りを決め
隠し持っていたマスケット銃を取り出しナインに向ける
ナインはその銃の撃鉄を掴み銃を無効化し
その男の顔に自分の顔を近づけた
「ようサッソ
 こんなところで奇遇だな」
その男はイリアス国のアルカディア傭兵ギルドの職員のサッソ・リンクス
ナインの専任職員でもある
「いやー奇遇だね
 ナインさん」
「ただの職員じゃねーとは思っていたが」
ナインは銃をホルスターしまう
「何を言ってるんですか
 私はしがないギルド職員ですよ」
「分かってんだよ
 お前が
 『ジョーカー』
 だって事は」
「何の事ですか?」
「とぼけるな
 トランプの41人目
 お前だろ」
まっすぐサッソの目を見るナイン
観念したのか顔からいつもの笑顔が消えるサッソ

「どうして
 気付いたんですか」

「俺には警戒十分だったが
 サイには油断したな
 団員しか知らない情報を
 お前はサイに話しちまったんだよ」

ナインはナイフを一つ取り出した
「マイアーナイフ
 これをその名前でこのナイフを呼ぶのは団員だけだ
 サイはお前にその呼び方を聞いていた」

このナイフは
ダイヤ・ファイブことマイアー・ロスチャイルドが
学習過程の終了時に卒業証書替わりに
団員に渡すナイフ
トム・オークによる特別製で
トランプのスーツ4種が刻まれている

「あいつの記憶力は凄くてな
 お前の言葉一言一句
 そのまま話してくれたおかげで気付けたんだ」
「サイくんか
 優秀な子だとは思ってましたが
 まさか
 こんなことになるとはね
サッソは眼鏡を取りナインを鋭い眼光を向ける
「ジョーカーとしては
 始めましてですね
 ナイン・スペード」
「色々聞きたいことがある」
「団の最後ですよね」
「やはりジョーカーのあんたが絡んでたのか」
「いいでしょう
 すべて話します
 団の裏切り者を見つける
 それが団長から私への最後のオーダーでしてね」

「『裏切り者はジュダ』
 そう告げた日の夜
 襲撃を受けてトランプは壊滅したんです」
「経緯は」
「詳しくは私も知らない
 ただ
 告げた日
 あらかじめジュダは団の壊滅を狙っていたようです
 準備は前もって進められていたようですし
 段取りも完璧でした」
「そうか
 で
 ここに来てる理由は」
「やっとこのスパニアが怪しいと掴んでここまで
 調べに来たんですが
 どうやらナインも来たという事は
 ビンゴの様ですね」
「今は
 誰の依頼で動いてる」
「マイヤーさんですよ
 ちなみに私の事を知っているのは死んだ団長とマイヤーさん
 そして今日しったナイン君だけです」
「奴の居場所に
 目星はついたのか」
「私の依頼人はマイヤーさんであって
 君ではないんだけどな
 ナイン」
「いいから教えろ」
「そうはいかない
 元ジョーカーだって知られた以上は猶更だ
 情報を知りたければ
 一つお願いを聞いてもらおうかな」
「分かったよ
 何だ」
「簡単な事です
 ヴィトーリア姫を
 殺してください」
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