僕らの10パーセントは無限大

華子

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傘不要の降水確率と、チャップリンの名言と

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 だらんと垂れ下がった腕の先、握られたのは震える拳。

 急激に湧き出てきた怒りにも似た感情が、まるで風呂敷の如く、わたしの爪先から頭まで全てを包んでいった。

 キッと三角の目を向けるわたしのことを、今度はテメさんの方が不可解に思ったかもしれない。

 和子?とユーイチの声が聞こえてきた気もしたけれど、それを無視してテメさんの元へと近寄った。

「なんで笑えるの、テメさん」

 奥二重の、茶色い瞳。そこに映る、鬼のような顔をした自分と目が合った。

「テメさん、ひどいことされたんだよ……?テメさんはなにも悪くないのに、こんな散々な目に遭って、どうして笑っていられるの……?」

 自分でも、どうしてこんなにイライラしているのかわからなかった。目の前にあるテメさんの丸い瞳を見ていれば、彼は本当に、怒りなんて微塵も感じていないと読み取れるのに、一体なぜ、当の本人でないわたしの方が、こんなにもむしゃくしゃしているのだろうかと不思議だった。

 えくぼをしまったテメさんが、時間をかけて瞬いた。

「大事なウクレレを、取り戻すことができたんだ。こんな嬉しいこと、他にないでしょ。そりゃあ笑っちゃうよ」

 そう言って、次に作られたのは優しい笑み。わたしの目線の斜め上、緩いカーブを描く口元。

 一瞬、胸がざわめいた。
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