87 / 144
あり得ない今と、あり得ない未来と
11
しおりを挟む
.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*
海に来た。
と言うか、ユーイチに連れて来られた。
テメさんと別れたわたしたちは、お昼ご飯には少し早い、コンビニのおにぎりを小腹満たしに食べて、このあとどうしようかって会議をして。
家にはまだ、帰りたくない。
そう言ったら、「じゃあ海でも行くか」ってユーイチは軽いノリで言ってきて。まさかとは思ったけれど、電車に二時間乗って本当の本当に、海に来た。
東京から日帰りで行ける海はいくつかあるけれど、ユーイチは千葉県の銚子っていうところにある海を選択していた。
わたしたちが住む東京からなら、もう少し近い距離にも海はあるのに。
海岸の最寄り駅からレンタサイクルを一台借りた彼は、その後ろにわたしを乗せた。
「ちゃんと掴まってろよ、和子」
「うん」
「よし、しゅっぱ~つ!」
やたらとテンションの高いユーイチがペダルを踏めば、ゆっくりと動き出すまわりの風景。
ぎゅっと彼の腰付近にある生地を掴み、身を任せると、柔らかな潮風が頬を撫でていく。
「俺、海久々ーっ。和子は?」
「わたしも」
「そーいや、こうして和子とする二尻も久しぶりだよな。最近は取り締まりが厳しいらしいから、警察に捕まらないようにしねーと」
小さい頃よく、親たちに注意された自転車のふたり乗り。それをあろうことか、高校生になってもするなんて思ってもみなかった。
少し斜め上のこの角度、そして近距離で見るちょっとくせのある襟足が懐かしくて、心をくすぐられた。
海に来た。
と言うか、ユーイチに連れて来られた。
テメさんと別れたわたしたちは、お昼ご飯には少し早い、コンビニのおにぎりを小腹満たしに食べて、このあとどうしようかって会議をして。
家にはまだ、帰りたくない。
そう言ったら、「じゃあ海でも行くか」ってユーイチは軽いノリで言ってきて。まさかとは思ったけれど、電車に二時間乗って本当の本当に、海に来た。
東京から日帰りで行ける海はいくつかあるけれど、ユーイチは千葉県の銚子っていうところにある海を選択していた。
わたしたちが住む東京からなら、もう少し近い距離にも海はあるのに。
海岸の最寄り駅からレンタサイクルを一台借りた彼は、その後ろにわたしを乗せた。
「ちゃんと掴まってろよ、和子」
「うん」
「よし、しゅっぱ~つ!」
やたらとテンションの高いユーイチがペダルを踏めば、ゆっくりと動き出すまわりの風景。
ぎゅっと彼の腰付近にある生地を掴み、身を任せると、柔らかな潮風が頬を撫でていく。
「俺、海久々ーっ。和子は?」
「わたしも」
「そーいや、こうして和子とする二尻も久しぶりだよな。最近は取り締まりが厳しいらしいから、警察に捕まらないようにしねーと」
小さい頃よく、親たちに注意された自転車のふたり乗り。それをあろうことか、高校生になってもするなんて思ってもみなかった。
少し斜め上のこの角度、そして近距離で見るちょっとくせのある襟足が懐かしくて、心をくすぐられた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる