原田くんの赤信号

華子

文字の大きさ
上 下
51 / 101
原田くんは、思わせぶりな人だ

原田くんの天気予報3

しおりを挟む
「……わたしの家、知らないじゃん」
「うん。だから教えて」
「エレン先生の家は教えてくれないのに?」
「うん。瑠夏の家ってどこ」

 本当、変な人だよ。

「教えるわけないじゃん」

 わたしは、原田くんの顔を見ずに答えた。

「なんで?」
「だって教えたら、わたしの家に来るんでしょ」
「うん」
「じゃあ教えない。原田くんが来るなら教えない」

 はっきりそう告げると、隣からは髪をかきむしるような音が聞こえてきた。

「じゃあ俺は行かないよ。潤とかに行かせるわ」

 そしてまた、変なことを言ってくる。

「やっぱり瑠夏は、家から出ない方がいいと思うから、瑠夏んちで潤と遊んで」

 意味がわからない。原田くんは頭をどこかにぶつけて、おかしくなってしまったのだろうか。

「やだよ。なんで潤くんが家に来るの」
「だって、瑠夏は俺じゃ嫌なんだろう?」
「潤くんでもやだよっ」

 そう強く言っておいて、なんとなく潤くんに悪い気がした。

「じゃあ石森」
「いや」
「じゃあナベちゃん」
「またそのラインナップ?」
「ナベちゃんでいいっしょ?」
「い・や・だ!」

 もー!と叫んだ原田くんは、また髪をかきむしる。

「なんなの、男が嫌なの?じゃあ美希だったらいい!?」
「はいい!?美希ちゃんと遊ぶ日は美希ちゃんと決めるよ、原田くんが決めることじゃない!」
「じゃあ担任!」
「来るわけないでしょ!?」
「じゃあうちのオカン!」
「お、オカン!?」
しおりを挟む

処理中です...