原田くんの赤信号

原田くんは、赤信号みたいな人だ

ジョーカーの話７

　その言葉に彼は半分お尻を上げて、「うそ！エレン先生もやってるの！？どうやって倒したの！？まじで！？」と次々に質問を飛ばす。エレン先生はいたずらに舌を出し、「シークレット」とウインクを投げていた。

　生徒みんなに、優しい顔を向ける。

「まだまだ若い君たちは、これから大人になるにつれて、やりたいことや目標が次々芽生えていくと思う。それって持ってるだけでもとても素晴らしいけど、せっかくなら水を与えて大きく花咲かせたいよね。目標達成への一番の近道はね、もう一度やってみることだよ。そしたら次に君たちの目の前に現れるのは、最強なジョーカーかもしれない」

　腕時計に目を落としたエレン先生は言った。

「よし、じゃあジョーカーの話はこれでおしまい。本当は神経衰弱でもしたかったのに、喋りすぎちゃったかな」

　席を立って、扉を開ける。振り向きざまに、こう言った。

「何度チャレンジしてもだめな時もきっとある。その時は僕も一緒に泣かせてよ。とことん一晩中だって泣いちゃうんだから」