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原田くんは、諦めない人だ
うそつきな原田くん8
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違う違う、違うよ絶対!原田くんの変な話に惑わされちゃだめ!
原田くんの話を信じないと決めたわたしができること、それは原田くんを否定し続けること。
はらはらし出した自分を深呼吸で落ち着かせ、きびすを返すわたし。しかしマンションから一歩出たところで、その呼吸が止まりかけた。
「え……?」
希望の空、青い空。それを一目見ようと上を向けば、そこにはもうそんなもの、存在していなかったから。
後ずさり、壁にもたれる。足から順に、力が抜けた。
「うそ、でしょう……?」
その瞬間、ピカッと放たれた強烈な光に目を細めた。先ほどまでとは打って変わり、グレー一色になった空が、ゴロゴロと怒るようにうなり出す。
うずくまり、腕の中へと顔を埋める。何も見えない真っ暗な世界が、わたしに恐怖を与えていく。
うそだうそだ、うそだっ。なんで天気が変わってるの?雷が落ちる話は、原田くんの作り話のはずなのにっ。
暗闇の中、落雷に遭う自分を想像してゾッとした。「うそだうそだ」を連呼するが、突然の雨に昇降口で途方に暮れていた日の出来事を思い出せば、嘔吐しそうになった。
言ったろ?すぐやむって。
焦って帰らなくてよかったな。
原田くんは天気博士。そう自分でつけた彼の異名なのに、わたしはどうして彼の口から聞かされる雷の話を疑えたのだろう。
もう原田くんは助けに来ない。彼はわたしを救うことを、諦めたに違いないから。
「原田くんっ……」
わたしは相当、身勝手な人間だと思う。
「ねえ原田くん、原田くんっ……」
だってこんな状況に追いやったのは自分自身なのに、まだ原田くんを責めることができるのだから。
原田くんの話を信じないと決めたわたしができること、それは原田くんを否定し続けること。
はらはらし出した自分を深呼吸で落ち着かせ、きびすを返すわたし。しかしマンションから一歩出たところで、その呼吸が止まりかけた。
「え……?」
希望の空、青い空。それを一目見ようと上を向けば、そこにはもうそんなもの、存在していなかったから。
後ずさり、壁にもたれる。足から順に、力が抜けた。
「うそ、でしょう……?」
その瞬間、ピカッと放たれた強烈な光に目を細めた。先ほどまでとは打って変わり、グレー一色になった空が、ゴロゴロと怒るようにうなり出す。
うずくまり、腕の中へと顔を埋める。何も見えない真っ暗な世界が、わたしに恐怖を与えていく。
うそだうそだ、うそだっ。なんで天気が変わってるの?雷が落ちる話は、原田くんの作り話のはずなのにっ。
暗闇の中、落雷に遭う自分を想像してゾッとした。「うそだうそだ」を連呼するが、突然の雨に昇降口で途方に暮れていた日の出来事を思い出せば、嘔吐しそうになった。
言ったろ?すぐやむって。
焦って帰らなくてよかったな。
原田くんは天気博士。そう自分でつけた彼の異名なのに、わたしはどうして彼の口から聞かされる雷の話を疑えたのだろう。
もう原田くんは助けに来ない。彼はわたしを救うことを、諦めたに違いないから。
「原田くんっ……」
わたしは相当、身勝手な人間だと思う。
「ねえ原田くん、原田くんっ……」
だってこんな状況に追いやったのは自分自身なのに、まだ原田くんを責めることができるのだから。
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