俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始

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学園のマドンナたちが次々と現れる

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昼休みになった途端、悠真はすぐに教室を出ようとした。  

転入して数日が経ち、すでにこの時間が危険だということを学んだからだ。  

悠真の存在は、クラスだけでなく学年全体に知れ渡っていた。  

転入初日から話題になり、廊下を歩けば誰かしらに話しかけられる。  

「転入生の藤堂くんでしょ?」  

「写真より実物のほうがカッコいいって噂になってるよ」  

「今度、生徒会の手伝いとか興味ない?」  

どこへ行ってもそんな調子だった。  

「…落ち着いてご飯を食べる時間すら確保できないのか」  

そう思いながら、教室を出ようとした瞬間、目の前に人が立ちはだかった。  

「藤堂くん、ちょっといいかしら?」  

背筋の伸びた美しい女子が、涼しげな目でこちらを見ていた。  

生徒会長、綾城玲奈だった。  

長い黒髪をなびかせ、知的な雰囲気を漂わせる彼女は、学年トップの成績を誇る才女だ。  

さらに端正な顔立ちと上品な仕草で、学園中の男子の憧れの的になっている。  

「あなたのような優秀な人材を生徒会に迎えたいの」  

玲奈は、淡々とした口調で言った。  

「生徒会?」  

「ええ。転入初日から話題になっているあなたを見て、直感で分かったわ。統率力があり、周囲の注目を集めるカリスマ性を持っている」  

「…いや、俺は何もしていないんだけど」  

玲奈は静かに微笑んだ。  

「そういうところが、まさに適任なのよ」  

何かがおかしい。  

本当に人材を求めているのなら、もう少し能力を見極めるはずだ。  

そもそも、悠真は転入してまだ数日しか経っていない。  

統率力もカリスマ性も、何も発揮していないのにスカウトされるのは明らかに不自然だった。  

「つまり…これは、ただの口実ってことか?」  

そんな疑念を抱き始めたとき、別の声が割って入った。  

「ちょっと待ってくれる?藤堂くんは、まず私が試してからよ」  

今度は、明らかに高貴な雰囲気を纏った女子が悠真の前に立った。  

金髪に近い栗色の髪をゆるく巻き、華やかな笑みを浮かべている。  

一条マリア。学園の有名なお嬢様だった。  

家柄が良く、成績も優秀。気品あふれる振る舞いと、どこか高飛車な態度が特徴的だ。  

「あなた、私に相応しい男かどうか試させてもらうわ」  

「試す…?」  

「そうよ。せっかく転入してきたのだから、どの程度の器を持っているのか見極める必要があるわね」  

腕を組み、まるで王侯貴族のような態度で悠真を見下ろす。  

明らかに興味を持たれているのが分かった。  

この手のタイプは、簡単には人を認めない。  

だが、一度気に入った相手にはとことん執着する傾向がある。  

「なるほど、これは完全に恋愛的な意味で絡んできているな」  

そんな分析をしていると、今度は後ろから腕を引かれた。  

「ねえねえ、一緒に昼ご飯食べようよ!」  

屈託のない笑顔で、元気よく声をかけてきたのは、クラスメイトの椎名美咲だった。  

ショートカットの快活な雰囲気が特徴的で、誰にでもフレンドリーに接する性格の持ち主。  

「朝から何も食べてないんだよね!ね、購買行こ!」  

「いや、俺まだ…」  

「大丈夫大丈夫!あ、でもすぐ売り切れるから、急がなきゃ!」  

彼女の勢いに押されそうになった瞬間、今度は別の方向から声がした。  

「あの…先輩…!」  

顔を上げると、そこには制服のリボンの色が違う少女が立っていた。  

一年生の女子だった。  

小柄で華奢な体型。  

柔らかそうな黒髪と、大きな瞳。  

控えめな仕草が、まるで子猫のようだった。  

「私、先輩を見たとき…一目で好きになりました!」  

目をキラキラと輝かせながら、真っ直ぐに告白してくる。  

悠真は、完全に言葉を失った。  

これは、もう間違いない。  

どう考えても、転生前にはありえなかった状況だった。  

学園のマドンナたちが、次々と自分に興味を示してくる。  

「…まるでラブコメの主人公みたいな状況じゃないか」  

思わず、心の中で呟いた。  

転生したばかりの頃は、この世界で静かに暮らそうと思っていた。  

だが、どうやらそれは不可能らしい。  

悠真は、現実を受け入れるしかなかった。
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