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十三・狙われた図書館組
狙われた図書館組(2)
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図書館へ、大通りから入る道へ向かう。
さっきわたしが珍しく歩ける、と思ったあの道だ。
思えば、今日は初めからおかしかったのかもしれない。
道ができていたこと自体、図書館組以外の人も入れるということだったのか。
だから、島田圭吾(しまだ・けいご)が図書館に近づけた。そして高山郁生(たかやま・いくお)を襲った。
「そこを曲がって。建物の陰よ!」えりについて曲がる。
白いコンクリートの地面に、だれかが倒れていた。
ケガをしているみたいだ。地面に血がついている。
抱き起こすと、その人はわたしを見て弱々しく笑った。
「恩田、先輩!」
どういうことなの?バトルをされたなら、消えるんじゃないの?
でも恩田桜(おんだ・さくら)は、目を閉じて動かない。制服のスカートが赤く染まっていた。
「何が、起こったんです?」
何度か揺さぶって、ようやく目を開けた。すごく弱っている。ケガのせい?
「……あなたが先に行った後、島田にみんなで襲われた。けど、わたしは脱出を試した。予言が言ったから。”ゲーム通りに、動くな”……って」
げほげほ、と咳き込むとまた口から血が流れた。
「脱出?何です?」意味がわからず、えりを見た。
「先輩は図書館の階段から転んで落ちたの。それはわざとじゃなく逃げる間に、つまづいたんだけど」
「どういうこと?」
意味がわからなかった。
「たまたま転んだだけだったんだけど、それでバトルからは助かったみたいなの。これはルールには書いていない……こと。この世界では、先にケガをしていると、バトルに巻き込まれないみたい、よ」
えりが納得いかなさそうに言った。
仮想世界だから?
円はそんなこと言わなかった。
でも、ケガがひどければバトル以外で先に、消える可能性がすでにあるかもしれないってこと?
「どちらにせよ、あなたに……話ができてよかった」
「でも……先輩。ぐったりしてて、大丈夫ですか?」
どれくらいのケガなのかわからないけど、すごく弱っている。
他の人は?図書館組はまだ、他にもいたはずだ。長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)や近藤七瀬(こんどう・ななせ)は?
背後から、のっそりと近づく足音がした。
「ばかだな。もうみんな、おれが食ってしまったんだよ」
不気味な笑いとともに、島田圭吾がそこにいた。
さっきわたしが珍しく歩ける、と思ったあの道だ。
思えば、今日は初めからおかしかったのかもしれない。
道ができていたこと自体、図書館組以外の人も入れるということだったのか。
だから、島田圭吾(しまだ・けいご)が図書館に近づけた。そして高山郁生(たかやま・いくお)を襲った。
「そこを曲がって。建物の陰よ!」えりについて曲がる。
白いコンクリートの地面に、だれかが倒れていた。
ケガをしているみたいだ。地面に血がついている。
抱き起こすと、その人はわたしを見て弱々しく笑った。
「恩田、先輩!」
どういうことなの?バトルをされたなら、消えるんじゃないの?
でも恩田桜(おんだ・さくら)は、目を閉じて動かない。制服のスカートが赤く染まっていた。
「何が、起こったんです?」
何度か揺さぶって、ようやく目を開けた。すごく弱っている。ケガのせい?
「……あなたが先に行った後、島田にみんなで襲われた。けど、わたしは脱出を試した。予言が言ったから。”ゲーム通りに、動くな”……って」
げほげほ、と咳き込むとまた口から血が流れた。
「脱出?何です?」意味がわからず、えりを見た。
「先輩は図書館の階段から転んで落ちたの。それはわざとじゃなく逃げる間に、つまづいたんだけど」
「どういうこと?」
意味がわからなかった。
「たまたま転んだだけだったんだけど、それでバトルからは助かったみたいなの。これはルールには書いていない……こと。この世界では、先にケガをしていると、バトルに巻き込まれないみたい、よ」
えりが納得いかなさそうに言った。
仮想世界だから?
円はそんなこと言わなかった。
でも、ケガがひどければバトル以外で先に、消える可能性がすでにあるかもしれないってこと?
「どちらにせよ、あなたに……話ができてよかった」
「でも……先輩。ぐったりしてて、大丈夫ですか?」
どれくらいのケガなのかわからないけど、すごく弱っている。
他の人は?図書館組はまだ、他にもいたはずだ。長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)や近藤七瀬(こんどう・ななせ)は?
背後から、のっそりと近づく足音がした。
「ばかだな。もうみんな、おれが食ってしまったんだよ」
不気味な笑いとともに、島田圭吾がそこにいた。
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