39 / 62
十三・狙われた図書館組
狙われた図書館組(3)
しおりを挟む
「なぜ?こんなことを?」えりが後ずさりしながら、やっと問う。
「決まってるだろう?生き残るため。そいつみたいに、消えかけたやつにはバトルが効かない」
一度は桜(さくら)にもバトルを試してみたんだろうか。
それで、効かないと知った?
「だけど、お前らからはまだ答えを盗れる」悪魔のような笑みをして見せた。
高山(たかやま)さんだけじゃなくて、他の人も全部?こんな短時間に?
「なぜ、そんなに何人もの答えがわかるんです?」
「おれは、いいものを拾ったんだよ。こんな幸運、活かさずに終わるわけにいかない」圭吾(けいご)は胸ポケットから、小さなメモを出して見せた。
「これ何だかわかるか?参加者の答えリストだ。ご丁寧に印刷までしてある。きっと管理者がミスで、落としてったんだろうな。全部じゃないみたいだが」
ぴらっと見せた表には、知った名前と……答えらしき文字が並んでいる。
一瞬だから、はっきりとは見えない。
「ちょっと!卑怯な手使うんじゃないわよ!」えりのこぶしが怒りで震えている。
「卑怯?これは立派な方法だ。では、そろそろお前らの答えを頂こう?」
圭吾は、逃げようとしたわたしとえりに向かって手を掲げた。
「バトル!二人一度に!」
意外なことばを聞いた。そんな。同時にって?できるの?
圭吾が画面にイエスと答える。
すぐさまわたしとえりを囲む、白い糸が群れをなして出現した。
糸は倒れている桜のことは、避けるように動いた。やっぱり、先に傷ついているとバトルが効かないんだ。
「何これ!どうして?こんなの知らない!助けて!」
泣きじゃくるえりとは別に、わたしは周りにできていく結界をぼんやりと見ながら考えた。
リストなんて、何で落ちてるのよ?
ミスで?……ちがう。わざとだ。
”そうだねえ、みんながやりやすくできるように考えてみるよ。”
円(えん)のあの声。
円がわたしたちを陥れるために……リストをわざと作って、落とした。
「ちょっと!何落ち着いてるの?ここ、結界の中!」えりが取り乱している。
わたしは、自分でもおどろくほど冷静だった。
わたしとえりに向き合うように、圭吾が立っている。
ここは結界の中。人が三人、やっと入れるような狭い繭。
「さて。どっちから行こうかな?……あれ。どういうことだ?」
リストを見る顔が、とまどっている。さっとリストを隠し、えりに向き直る。
「お前からだ、中村えり!」
「決まってるだろう?生き残るため。そいつみたいに、消えかけたやつにはバトルが効かない」
一度は桜(さくら)にもバトルを試してみたんだろうか。
それで、効かないと知った?
「だけど、お前らからはまだ答えを盗れる」悪魔のような笑みをして見せた。
高山(たかやま)さんだけじゃなくて、他の人も全部?こんな短時間に?
「なぜ、そんなに何人もの答えがわかるんです?」
「おれは、いいものを拾ったんだよ。こんな幸運、活かさずに終わるわけにいかない」圭吾(けいご)は胸ポケットから、小さなメモを出して見せた。
「これ何だかわかるか?参加者の答えリストだ。ご丁寧に印刷までしてある。きっと管理者がミスで、落としてったんだろうな。全部じゃないみたいだが」
ぴらっと見せた表には、知った名前と……答えらしき文字が並んでいる。
一瞬だから、はっきりとは見えない。
「ちょっと!卑怯な手使うんじゃないわよ!」えりのこぶしが怒りで震えている。
「卑怯?これは立派な方法だ。では、そろそろお前らの答えを頂こう?」
圭吾は、逃げようとしたわたしとえりに向かって手を掲げた。
「バトル!二人一度に!」
意外なことばを聞いた。そんな。同時にって?できるの?
圭吾が画面にイエスと答える。
すぐさまわたしとえりを囲む、白い糸が群れをなして出現した。
糸は倒れている桜のことは、避けるように動いた。やっぱり、先に傷ついているとバトルが効かないんだ。
「何これ!どうして?こんなの知らない!助けて!」
泣きじゃくるえりとは別に、わたしは周りにできていく結界をぼんやりと見ながら考えた。
リストなんて、何で落ちてるのよ?
ミスで?……ちがう。わざとだ。
”そうだねえ、みんながやりやすくできるように考えてみるよ。”
円(えん)のあの声。
円がわたしたちを陥れるために……リストをわざと作って、落とした。
「ちょっと!何落ち着いてるの?ここ、結界の中!」えりが取り乱している。
わたしは、自分でもおどろくほど冷静だった。
わたしとえりに向き合うように、圭吾が立っている。
ここは結界の中。人が三人、やっと入れるような狭い繭。
「さて。どっちから行こうかな?……あれ。どういうことだ?」
リストを見る顔が、とまどっている。さっとリストを隠し、えりに向き直る。
「お前からだ、中村えり!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる