妹を助けたら異世界転生。現実世界でもう二度と味わえない幸せな生活を異世界で

風都 蒼

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知らない世界、知らない国、知らない街

『フォールドネル』

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 【ほれ、もうすぐだ。しっかりしろ。】
 氷狐ひょうこが軽くキクの肩を叩く。
 「はぁ・・疲れた。」
 キクと氷狐の目には霧で薄くなった建物が見えて来た。
 「・・・やっとか。」
 【ほれ、我の言った通りだろう?我の指示だからここまで来れたのだ!」
 キクの肩に立って腰に手を置く。ドヤっと自慢げな顔をする。キクはため息をついて「当たり前だろ」っと溢してしまった。そうすると氷狐は地団駄を踏んだ。キクは肩を叩く。
 「痛い・・やめろ。」
 氷狐はキクの手を避け、キクの目の前に飛んでくる。
 【早く、入ろう。】
 スピードを上げてキクを置いて行く。キクは息を吐いて走り出した。







 あと一人で、『気配察知』のテストを合格できるまで行った。
 「あと一人っ!」
 喜びと疲れが混ざったような言葉。でも、自信がちゃんとあった。
 「・・っ。」
 最後の一人が中々難しい。魔法の遠距離攻撃。気配も消されていて場所がわからない。バカな弓使いと違ってボロを出さない。
 「・・・・どこっ!」
 炎の魔法、水の魔法、風の魔法。それぞれ違う魔法を放ってくるところがムカついてくる。
 「・・・“我、ハクラ・ツバキの名の下『水竜』!」
 ツバキは舌打ちをする。「これでもダメか」と呟きながら。
 「ふん。」
 微かに鼻で笑う音が聞こえた。それをツバキは見逃さなかった・・が、
 「我、ハクラ・ツバ・・・・うわっ。」
 相手の詠唱がツバキより早い。次は光の魔法を使ってくる。
 「・・・・」

 「ツバキは詠唱するまでの間に間があるな。」 
 「はい、相手の方が早いですね。」
 「・・・間を治すには・・どうすればいいと思う?サクラ。」
 アハマがチラッとサクラを見る。
 「・・そうですね・・あの、アハマさん。挑戦者に助言をするのはルール違反ですか?」
 「そのようなルールどこに書いてあるんだい?」
 ニヤッと楽しげな笑いをする。サクラはゴホンと咳払いをする。
 
 「あー、あー。“我、トアキ・サクラの名の下『天の声。』
 その詠唱ともにサクラは「ツバキさん聞こえていますか?」と呼んだ。
 『貴方の詠唱には間があります。その間は、隙のある間。さて、ツバキさんその間を埋めるためには何をすればいいと思いますか?その間がある以上、貴方は合格できない。間を埋めるヒントはスピード。』
 もう一度咳払いをする。
 「へぇー。そう言う助言なんだね。」
 「アハマさんはなんと言いますか?」
 「俺は・・俺は何も言わない。自分で気づいて、自分の力で成長させる。」
 「・・私には無理な方法ですね・・」
 人差し指で頬を掻く。
 「いいんだ。これは俺の方法だから。サクラはサクラの方法でツバキを成長させるべきだ。」
 「・・そうですね・・」
 「うん、そうだ・・よ。」
 アハマの視線がツバキの方へ戻った時、アハマの表情が変わった。
 「アハマさん?」
 サクラはアハマの視線の先を見るとそこにはオーナーがいた。
 「姉さん・・なんで、」
 「アハマさん?」 
 「あ、いや、ごめん、ごめん。ツバキちゃんの試合を見ようか。」
 「・・・」


 「間、間、間。」
 ツバキは助言の言葉を繰り返す。
 「詠唱の間、詠唱の間・・・スピード・・スピード」
 その間にも魔法がそれぞれ向かってくる。それを交わしつつ考える。
 「いつもなら、サクラさんは助言なんかしない。今回したのにも理由があるはず・・サクラさんは」


 『ツバキさん、自分の力に集中して、魔力を操作する。』
 この言葉しかツバキに言っていなかった。やり方なんかは一つも教えていない。ツバキが『魔法操作』を覚えられない要因はサクラにある。元々、サクラには魔法操作をツバキに教える気すらない。

 「サクラさんは私には何も教えてくれない。でも、今回は・・今回は何かあるはずだ。」
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