24 / 26
5.activity
決意
しおりを挟む
夜が明けようとしている。“君”もこの暁空を見ることができればよかったのに――などと嘆いたところで、もう遅いことはわかっているけれど。
それでも、ちゃんと“君”には伝えておかなくては。
だっていつも言っていたでしょう、世界には愛が満ちているのだから……、って。
その証明をしなくちゃね。
“君”よ。
この世界に普く息付き、浪費され、消費され、消化された名もなき唯一無二の命達よ。またひとり“君”は今日、喪われてしまったのだろうか?
それとも、まだ痛みと苦しみを抱えて喪失の時を待っているのだろうか?
“君”よ。
まだ名前のついていない命達よ。
命である意味すら知らぬ者達よ。
私には、“君”の悲嘆に寄り添えない。
私には、“君”の痛みを癒せもしない。
私には、“君”の苦痛など代われない。
私には、“君”が伸ばす手を握れない。
私には、“君”を守るような体がない。
私には、“君”を喜ばせるものもない。
だけど、“君”を心底愛しているから。
だから、せめて“君”の結末を綴ろう。
無限に、消えていく“君”を想おうか。
この世界に70億と存在する命に、この世界には愛が確かにあると知ってほしくて。
少なくとも私が抱いているこの感情は、哀にせよ穢にせよiにせよ、それら全てを内包するものとして【愛】でるはずだから。
だから、世界に散りばめられた70億の“君”よ、今日はどの“君”が星空に羽ばたいた? どの“君”が海原へと漕ぎ出した? どの“君”が地の底に身を横たえた?
聞かせておくれ、“君”の物語を。
暁に響き渡る弔砲が止まり、暁の赤が青に変わっていくときに、“君”たちの物語を綴ろうと思うから。さぁ、“君”よ。
今日あの空に近付いた“君”よ。
どうか聞かせてほしい。
君には、この世界はどう見えた?
この世界は、君に優しかったか?
この世界は君に何をもたらした?
この世界は君にとって何だった?
この世界に、君は何を残したい?
その全てを、必ず物語にしよう。
それこそが、私にできる約束だ。
消えてゆく“君”に捧げる誠意だ。
やがて、暁の空はその色に青みを帯び始めて、弔砲はその残響すらも途絶えて。
私は、筆を執ったのだ。
それでも、ちゃんと“君”には伝えておかなくては。
だっていつも言っていたでしょう、世界には愛が満ちているのだから……、って。
その証明をしなくちゃね。
“君”よ。
この世界に普く息付き、浪費され、消費され、消化された名もなき唯一無二の命達よ。またひとり“君”は今日、喪われてしまったのだろうか?
それとも、まだ痛みと苦しみを抱えて喪失の時を待っているのだろうか?
“君”よ。
まだ名前のついていない命達よ。
命である意味すら知らぬ者達よ。
私には、“君”の悲嘆に寄り添えない。
私には、“君”の痛みを癒せもしない。
私には、“君”の苦痛など代われない。
私には、“君”が伸ばす手を握れない。
私には、“君”を守るような体がない。
私には、“君”を喜ばせるものもない。
だけど、“君”を心底愛しているから。
だから、せめて“君”の結末を綴ろう。
無限に、消えていく“君”を想おうか。
この世界に70億と存在する命に、この世界には愛が確かにあると知ってほしくて。
少なくとも私が抱いているこの感情は、哀にせよ穢にせよiにせよ、それら全てを内包するものとして【愛】でるはずだから。
だから、世界に散りばめられた70億の“君”よ、今日はどの“君”が星空に羽ばたいた? どの“君”が海原へと漕ぎ出した? どの“君”が地の底に身を横たえた?
聞かせておくれ、“君”の物語を。
暁に響き渡る弔砲が止まり、暁の赤が青に変わっていくときに、“君”たちの物語を綴ろうと思うから。さぁ、“君”よ。
今日あの空に近付いた“君”よ。
どうか聞かせてほしい。
君には、この世界はどう見えた?
この世界は、君に優しかったか?
この世界は君に何をもたらした?
この世界は君にとって何だった?
この世界に、君は何を残したい?
その全てを、必ず物語にしよう。
それこそが、私にできる約束だ。
消えてゆく“君”に捧げる誠意だ。
やがて、暁の空はその色に青みを帯び始めて、弔砲はその残響すらも途絶えて。
私は、筆を執ったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる