ねぇ、神様。わたしはあなたに復讐したい。

鏡上 怜

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第2章・ただ春の夜の夢のごとし

3・深い夜に

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 高校進学を控えた春休み。
 誰もわたしを知らないところに行きたくて選んだ進学先への入学式が刻一刻と迫ってくるこの期間に、わたしはある2人の家に泊めてもらうことになった。もう、育ってきたはわたしにとって変える場所ではなくなってしまったから。

 だからわたしは、優しく手を差し伸べてくれた西島にしじま 美希みきさんと、美希さんの恋人の植草うえくさ れんさんの住む家に泊めてもらった。

 というか、泊めてもらってる。
 家に帰りにくい事情がある――としか言っていないわたしに、「帰りたくなるまでここにいな」と言ってくれる美希さん。最初の夜、2人のアパートに連れて来られるまでの道のりでは、「もしかしたら何かあるのかも」なんて身構えてしまっていたけど、たぶんそういうわけでもない人たちなんだと思う。

 美希さんは「妹ができたみたい」と楽しそうな態度を見せてくれて、煉さんも「まぁ、美希がいいなら」ということみたいで、別に何か特別なことをしてくれるわけでもないけど、拒絶もしないし冷たい目で見るようなこともない。ちょうどいい距離感も心地よかった。
 2人の家は、とっても居心地が良い。

 でも、ちょっと困ってることもある。
 困ってるというか……戸惑ってること。

 2人は、ほとんど毎晩セックスしている。
 初めて泊まった次の朝に裸でいるところをわたしが見てしまってから、美希さんの方はちょっと恥ずかしくなったみたいで、絶対にわたしが寝たことを確認してからじゃないとしなくなったけど。
 でも、そんなの寝たふりだってできる。

『じゃあさ、もういいだろ?』
 ちゅっ……
『ん、ふっ――!!』
 ちゅぷ、ちゅっ ぴちゃ、ちゅぴっ
『――、はっ、ん』

 煉さんは、まず美希さんの体を舐めるみたいだった。形のいい綺麗な胸とか、キュッとしたお腹とか、指に、脚に、それからあそこも。
 そのたびに、美希さんも普段なら絶対出さないような切羽詰まった高い声を出している。
 聴いているたびに、ほっぺたが熱くなってくる。
 それから、体が奥から熱くなってきて。

「……っ」

 じりじりした感覚に誘われるように触ったそこは、やっぱり、濡れていた。
 ゆっくり指でなぞると、くちゅ、と音が立ってしまうくらいで。
「――ふ、」
 でも、我慢なんてできなかった。

 ん、ちゅ、ちゅぷ、

 隣の部屋から聞こえてくる音が変わった。たぶん、今は美希さんが煉さんのを舐めているところだ。時々聞こえてくる煉さんの低い呻き声と、水音と混ざって漏れてくる美希さんの息遣いを聴きながら、わたしも自分の指をくわえてみる。
 右手は相変わらず濡れたあそこに挿入れたままで。
「……ん、ふぅ、んぅ」
 左手の指に舌を絡みつかせながら、右手の指を出し入れしていると、まるで本当にわたしが舐めているみたいな感じがしてくる。想像したらますます濡れてきて、止まらなくて。

『な、なぁ、そろそろ……っ』
『んっ、いいよ?』

 そんな会話のすぐ後に始まるセックスはいつも激しくて、たぶん声なんて全然抑えてないから。
 だからその間は、わたしも全然隠すことなんて考えずに、没頭できる。それで、煉さんと美希さんがイクのと同時に、わたしの方も終わる。

 そんなのを、毎晩繰り返しているうちに、迎えた3月終わりの日。
 それは、突然だった。
 
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