騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第三章

04

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「騎士…」

ただ、騎士の瞳を見つめることしかできず否定の言葉を口にするのも嫌で首を横にゆっくり振る。

「サフィは俺を愛していないのか?」
「いいえ、そんなことないわ」
「なら、「私の愛してるはね、騎士に対して家族のような感覚の愛してるなの。」」

『だから、通じ合えない気持ちなのよ。』

包み込まれていた片手を騎士の頬に宛てがい輪郭に沿って優しく撫でる。

「…ごめんなさい。」
「サフィ、気にするな。」

騎士が立ち上がったかと思えば、ギュッと抱きしめられる。

「サフィ、お前の思うように全てを進めるから悲しむな。」

気づけば流れるように瞳から涙が零れていた。
騎士が軽く吸い取るかのように頬に口付けを落とす

「騎士お願いよ、私の思いはこの国の平和なの。」

私の未来はエドウィー王子との婚約にかかっているということを分かって欲しい、そして貴方と私が一緒になる未来などないことを察して欲しい。

「あぁ、分かっている。全て上手く行く」

何かを考え決めた瞳で私を見下ろす騎士

「サフィ、ご飯を食べに行こう。」 
「えぇ、そうね。着替えなきゃ。」

横に置いていたドレスを手に取り渡してくれた。その流れで騎士は、また椅子に座り静かにこちらを見つめる。

「騎士、見つめないでちょうだい。恥ずかしいわ」
「気にするな、言われた通り我慢してるんだ見るくらい許せ。」

さっきの押し問答は何処へやら、『手伝うことを我慢してくれているのなら、恥ずかしいけど仕方ないわよね。あ!そうだわ、此処でではなくとも視界からズレて着替えればいいことじゃない!私ったら直ぐに思い浮かばないなんて、それこそ恥ずかしいわ。』と、ベッドから離れて着替えようと立ち出入口側へと身体を向けた瞬間、

騎士の長い足がベッドの上に乗り上がる。

「ちょ、「どこへ行く」」

強めの言い方に『もういいや』とエドウィー王子にバレなければもういいわ。と騎士から距離を取って着替えることを諦めた。

「…ここで、着替えればいいのでしょ?」
「あぁ」

旅の時とは違い、騎士の私への気持ちを聞いてしまったこともあり意識せずにはいられない状態で、着替えなきゃいけないことに対して、本当に何の公開処刑なのかと溜息がでそうになる。

『…無よ、無になるのよサファリーア』
自分を励ましながら、着替えていく。
そんな中で騎士の手が必要な所になると、言う前に手を差し伸べて手伝ってくれた。

無事着替えが終了して、エスコートされる様な形で自室から出ることになる。

どうかエドウィー王子がいたならばったり会うなんてことがありませんように。と願いながら食堂へと向かう。
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