騎士とお嬢様。

奏 -sou-

文字の大きさ
37 / 58
第四章

03

しおりを挟む

「…ィ…フィ…サフィ」

誰かが私の名を呼びながら優しく髪を梳くように頭を撫でてくれている。

その触り方や声から懐かしい気がする。

ずっと私を見守ってきたくせに肝心な時にいなかった人の声に似てる。

肝心な時…あれ?肝心な、何か忘れてる

…サラン…サランは?

あの時どうだったかしら、私は彼女を助けようとして、助けれた?

…いいえ、助けれてない?
そうよ、助けれてないわ!早く目を覚まさなきゃ!
早く起きて彼女を助けなきゃ!!!

「サラン!!!」
目を開けると同時に上半身を起こしサランの名を叫んでいた。

現実か夢か分からないけど、サランを探さなきゃと周りを見回すが見当たらない。

「…サラン?どこ、どこなの?」
自分の身体の上にあった布を横にやり、乗っていた場所からドアが見えたのでもしかしたらドアの外にサランがいるかもしれないと地に足をつく

思った通りに足に力が入らず前に倒れかける前にふわっと横から腕がさし伸ばされ身体を受け止められた。

「サラン?」

もしかしてサランは視界外れにいただけ?

「…サフィ」

こんなにサランが声が低いわけないわ、誰?
身体を受け止めてくれた人物を見れば

「騎士…」
「サフィ、やっと目が覚めたと思ったら…」

言葉も途中でぎゅっと抱きしめられる。
騎士の身体が少し震えているように感じたが、私の頭の中は悲痛な叫び声で此方を見ていたサランの顔がフラッシュバックしてそれどころでは無い。
騎士なら知っているかもしれないと

「騎士、サランは?」

抱きしめ返すこともせずに問う私に
抱きしめる力を緩めることなく

静かな間の後で
「サランは残念だが、」
「…な、に?」

それ以上聞きたくないけど、聞かなきゃ

「サフィを見つけた時には、サランは馬車と一緒に崖下へ」
「そんな…そんなのって…」

有り得ない、ありえないわ!

そうよ、お父様やお母様に聞けばわかるわ。
もし、分からなくても兄さん達か城に仕える誰かしらが知っているはずよ!!

そうなれば、早くドアの向こうに行かなきゃ。
抱きしめる騎士から離れようとお互いの胸の間に両手を滑り込ませてできた隙間から騎士の胸板を押す。

「サフィどこに行く」

その行動に、私が離れたがってることを理解したようだが離す気は全くない様で腕の力が緩まない。

「はな、して!」
「サフィ」
「お父様やお母様にも確認したいの!」
「サフィ、落ち着け!」

騎士の声にハッとなり、瞳からポロポロと涙が零れ落ちる。それを自分ではとめることができず、「サランに会いたい…」騎士の胸元で小さく呟くように声に出してみたが、会えるわけなく

「守れなかった…守れなかったのよ!サランを守りたかっ…た、のに!なんで、私だけが生きてるのよおおぉ!」

騎士に当たったところで彼女は戻ってきやしないって分かってる、分かってるけど、止めどない涙を零しながら騎士の胸板をグーでドンドンと叩きながら、抑えきれない気持ちを騎士に訴える。

「サフィ…誰しも死に逆らえない。俺もサフィもだ。彼女は無惨だったが彼女の決められた最後だった、それを変えることはできない。だが、サフィがそれだけ悲しみ哀れんで悔いてくれてるなら彼女も嬉しいだろう。今やきっと天国へ導かれているはずだ。悲しみは直ぐには癒えぬだろうが彼女を思うならこれ以上彼女への未練を強く思ってやるな。」

抱きしめなおされ、頭から肩まで優しく何度も私を落ち着かせるためにゆっくり撫でながら優しく穏やかな声で語りかける。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた

宮野 楓
恋愛
幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。 リサは25の誕生日である日に誕生日プレゼントも届かず、婚約に終わりを告げる事決める。 だがエリックはリサの事を……

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

転生者と忘れられた約束

悠十
恋愛
 シュゼットは前世の記憶を持って生まれた転生者である。  シュゼットは前世の最後の瞬間に、幼馴染の少年と約束した。 「もし来世があるのなら、お嫁さんにしてね……」  そして、その記憶を持ってシュゼットは転生した。  しかし、約束した筈の少年には、既に恋人が居て……。

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

処理中です...