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最終章
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ゴーン、ゴーンという鐘が鳴り響く
少し開いた窓から外の音が聴こえてくる。
「サフィ、起きろ」
眠たい目を擦り開ければ、騎士の顔がいっぱいに見える。
「おはよう」
そう言って両頬に軽くキスを落として微笑む
「…おはよう、騎士」
「姫はまだ夢の中か?もう準備する時間だ」
上半身を起こされてベッドの上に座った状態でハテ?と首を傾げて騎士を見ると
「…今日の夜まではガマンと己を言い聞かせているんだ、挑発するなサフィ、ガマンがきかなくなる。」
腰かけたまま私の頬に手を添えて、唇の端にキスを落とす騎士
何をするのよ!?と思ったところで昨日の記憶がフラッシュバックする。
騎士じゃない…ユーグス陛下だったわ!
なんてことなの、これが現実なのね…。
「さぁ、サフィ結婚式の準備をしよう」
そう言って横抱きをして寝室をでる。
「ユーグス陛下、まだ準備が出来ていませんわ!」
「気にするな、長官であるメイドに任せている」
食堂とはまた別の道を歩く
「朝食を共にできず、ゆっくりする間も無いが披露宴をさっさと終わらせる為だ。許せ」
昨日は今日を楽しみだといい、今日は早く終わらせる為だという…楽しみにしていたんじゃないの?
「昨日も言ったが、必要最低限の会話で頼む。」
本当に自分勝手な発言だわ、困ったものね。
「…えぇ」
「さぁ、着いた。」
ドアが自動で開けられる。
それに驚いていたらメイド二人がドアを開けてくれたようだった。
「お待ちしておりました、よろしくお願いします。」
頭を軽く下げて挨拶をしてくれるメイドの横をなんの反応も示せず通り、部屋の真ん中に合ったとても贅沢気回りないボディの椅子に体を下ろされる。
私の体重を支え包みこむような低反発性の座り心地に小さく感動を覚え思わず手で確かめてしまう。
「サフィ、その椅子が気に入ったのなら寝室に移動させておくから…今は俺の為に結婚式の衣装を見に纏いおめかしをする時間だ。」
頭を撫でながらまるで幼い子に言う様に言い聞かせてくる。
「俺は隣の部屋にいる、何かあれば直ぐに言え」
そう言い額にキスを落として、部屋と部屋の繋ぎ壁の左奥にある扉を開けて消えていった。
「早速ですがお着替えからお手伝いさせて頂きます。」
その声の近さにビクッとなる。
ユーグス陛下に向いていた顔を前に向ければ、音もなくなのか単に私が気づかなかっただけなのか分からないが、メイドが目の前に少し腰を屈めた状態で立っていた。
「えぇ、よろしくお願いします。」
そのあとは、無駄のない動きで淡々とウエディングドレスへと着替えさせられ化粧や髪までも全て整えてくれた。
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ゴーン、ゴーンという鐘が鳴り響く
少し開いた窓から外の音が聴こえてくる。
「サフィ、起きろ」
眠たい目を擦り開ければ、騎士の顔がいっぱいに見える。
「おはよう」
そう言って両頬に軽くキスを落として微笑む
「…おはよう、騎士」
「姫はまだ夢の中か?もう準備する時間だ」
上半身を起こされてベッドの上に座った状態でハテ?と首を傾げて騎士を見ると
「…今日の夜まではガマンと己を言い聞かせているんだ、挑発するなサフィ、ガマンがきかなくなる。」
腰かけたまま私の頬に手を添えて、唇の端にキスを落とす騎士
何をするのよ!?と思ったところで昨日の記憶がフラッシュバックする。
騎士じゃない…ユーグス陛下だったわ!
なんてことなの、これが現実なのね…。
「さぁ、サフィ結婚式の準備をしよう」
そう言って横抱きをして寝室をでる。
「ユーグス陛下、まだ準備が出来ていませんわ!」
「気にするな、長官であるメイドに任せている」
食堂とはまた別の道を歩く
「朝食を共にできず、ゆっくりする間も無いが披露宴をさっさと終わらせる為だ。許せ」
昨日は今日を楽しみだといい、今日は早く終わらせる為だという…楽しみにしていたんじゃないの?
「昨日も言ったが、必要最低限の会話で頼む。」
本当に自分勝手な発言だわ、困ったものね。
「…えぇ」
「さぁ、着いた。」
ドアが自動で開けられる。
それに驚いていたらメイド二人がドアを開けてくれたようだった。
「お待ちしておりました、よろしくお願いします。」
頭を軽く下げて挨拶をしてくれるメイドの横をなんの反応も示せず通り、部屋の真ん中に合ったとても贅沢気回りないボディの椅子に体を下ろされる。
私の体重を支え包みこむような低反発性の座り心地に小さく感動を覚え思わず手で確かめてしまう。
「サフィ、その椅子が気に入ったのなら寝室に移動させておくから…今は俺の為に結婚式の衣装を見に纏いおめかしをする時間だ。」
頭を撫でながらまるで幼い子に言う様に言い聞かせてくる。
「俺は隣の部屋にいる、何かあれば直ぐに言え」
そう言い額にキスを落として、部屋と部屋の繋ぎ壁の左奥にある扉を開けて消えていった。
「早速ですがお着替えからお手伝いさせて頂きます。」
その声の近さにビクッとなる。
ユーグス陛下に向いていた顔を前に向ければ、音もなくなのか単に私が気づかなかっただけなのか分からないが、メイドが目の前に少し腰を屈めた状態で立っていた。
「えぇ、よろしくお願いします。」
そのあとは、無駄のない動きで淡々とウエディングドレスへと着替えさせられ化粧や髪までも全て整えてくれた。
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