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週末のツケがまわってくる
しおりを挟むいつも通りの土日を過ごした私は、妙にルンルンとした気持ちで教室へと向かった。
結局口止めはできなかったけど、青葉くんは周りに言い振り回すような人じゃないって思ったからもういいんだ。……あとはただ、日常に戻るだけ。うん、戻るだけ。
それより、今日はお母さんが休みだから放課後マリたちと遊べる日!楽しみだなあ。
「おはよう」
「おはよう~」
そんなことを考えながらカバンの中身を机にしまっていると、ちょうどマリが教室に入ってきた。いつもみたいに、綺麗なウェーブ髪を披露しながら。
あれ、私も同じだからわかるんだけど、セット大変なのよね。マリの姿見てると、私もおしゃれ頑張らないとなあって気合が入るの。
「あれ、ワックス変えた?」
「さすが梓!変えたよ~」
「フローラル系?すごく良い匂い」
「そうそう。一昨日からCMやってるやつ!」
「へえ、じゃあ新作だ」
うーん、家じゃテレビは子供たちに取られるから見たことないんだよね。どんなCMだろ?
私は、マリと会話しながらも1限目の準備に取り掛かる。あと5分ちょっとで時間になっちゃう。
「セレナさんがやってるCMだから、昨日即買いしちゃった!」
「マリってセレナさん好きだよねえ」
「大好き!あんな大人になりたい」
セレナさんとは、年齢不詳の女優さん。演技の幅が広く、いろんなCMやドラマ、バラエティに引っ張りダコな芸能人なの。マリが大好きでよく雑誌見せてくるから、私も覚えちゃった。
……ああ、そうだ。そういえば、青葉くんが持っていたあの黒いリュックもセレナさんがCMやっていたな。彼も好きなのかな。
「私も、マリとお揃いがいいな」
「本当!?じゃあ、放課後コスメショップ行こう!」
「いいね。ふみかたちは?」
「お昼聞いてみる!今日は、数学も日本史も宿題やったからお昼ゆっくりできる~」
「……え?日本史の宿題?」
週末に、日本史の宿題なんてあった?
私は、マリの言葉を聞き返す。すると、
「用語集書き写しと、室町時代の年表書き~。昨日夜終わらせた!」
「…………忘れた」
結構な量出てるじゃないの!
……そういえば、金曜は色々ありすぎて先生の話聞いてなかったかも。私の馬鹿!
「え、梓が!?明日大雨かも……」
「日本史って6限目だよね」
「そうそう。写せるものじゃないから、休み時間使って自分でやるしかないね」
「ああ、もう!すっかり忘れてた」
「あはは~。梓も忘れるんだ、安心した」
私は、茶化してくるマリを形だけ睨みつけながら日本史の用語集を取り出した。……休み時間で終わりますように!
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